逸材探訪 ~鑑定官が若き経営者に聞く~(池原酒造編)
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[公開・発行日] 2018/06/06
[ 最終更新日 ] 2019/01/29 - 飲む
池原:こまかい話になりますが、補助金の使い方は少し気になりますね。
小濱:補助金を使って何かやりたいことがあるんですか?
池原:資材のコストなどもう少し何とかならないかと。
小濱:離島ですから資材コストが高くなるかもしれませんね。
池原:瓶、蓋、原料が全てコスト高になります。
池原:現在、補助金の使い道が県外の販売促進系が多いのが原因だとは思います。もちろん県外へのPRも大切だと思いますが、県内や離島にももっと目を向けてもよいのかと。
小濱:実際、泡盛を多く飲んでいるのは県内の方なので、そのような県内の方に還元する方向も必要かもしれませんね。
池原:県内であれば、イベントも全社の参加が可能だとも思いますし。
小濱:確かに、県外の物産展などではなかなか全社参加は難しいと思いますが、県内であれば可能性がありますね。皆さん若い方が、どんどん意見を出していけば変わってくると思います。
池原:あとは、沖縄県内だけではなく、県外のメディアに出ていく工夫を業界全体でやるべきではないでしょうか?
小濱:なるほど。
池原:最近、テレビ番組でもマイナー商品を紹介しながらのトーク番組みたいなもの多いじゃないですか。「〇〇の知らない世界」とか「〇〇芸人」とか。そういうところに入っていけたらいいですよね。全酒造所の泡盛を何十種類も並べて、味の違いとか話すと面白いと思いますよ。
小濱:それでは泡盛のことを面白く話せる人も必要ですね。
池原:面白キャラですね。キャラを探したうえで営業する価値はあるかと。
小濱:最後の質問になりますが、池原さんにとって理想の泡盛、満足できる泡盛はどのような泡盛ですか?
池原:そうですね。今は造るのでいっぱいということもありますが、全ての方に愛されるというよりは、こだわりがある方、すでに白百合や赤馬を飲んでいただいている方に好まれる泡盛を造りたいです。欲を言えば、少しだけ新規に白百合が好きな方が増えればありがたいです。
小濱:今の白百合の酒質を保ちながら新しい泡盛も造っていく感じですか?
池原:今の酒をさらに丁寧に造っていきたいと思います。2年ほど前の話ですが、酒質を科学的に分析してもらったのですが、数多くの泡盛の中でも、白百合は4VG(古酒香の元の一つと言われている物質)が非常に多いという結果をいただきました。ご家庭で古酒を育てていらっしゃる方からも白百合は古酒にした時の変化がすごいという評価をいただくこともあります。まずは、うちの泡盛の新酒、そして古酒の甘みを楽しんでもらいたいと思っています。
小濱:量を造るもの大変な状況かとは思いますが、今後も白百合ファンに愛される泡盛、そして新規のファン獲得に頑張ってください。今日は、お忙しい中時間をいただきありがとうございました。
池原:こちらこそありがとうございました。
編集後記
取材当日、池原酒造では、一部をマスコミに公開した臨場技術相談(鑑定官による技術アドバイス)が行われた。毎年、各酒造所で随時行われているある意味日常的な行事にも関わらず、そこに集まったメディアの数は“異常”だと感じざるを得なかった。
全国に熱狂的な白百合ファンを持つ池原酒造だからこその注目度であることは間違いない。聞くところによると、本土には白百合党なる白百合オンリーの結社も存在するらしい。はからずとも増えていく熱狂的な白百合ファンに、戸惑いながらも若き社長は自信をにじませていた。
(二代目預)