シンガポールで、本場中華料理と琉球泡盛をストレートで合わせる(沼田まどかアジア局長)
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[公開・発行日] 2022/12/31
[ 最終更新日 ] 2023/02/16 - イベント報告
令和4年11月28日(月)に、シンガポールにある中華料理店「The Famous Kitchen」において、現地の第一線で活躍する飲食関係者を交えた意見交換会が開かれた。
これは、沖縄県酒造組合が内閣府の「令和4年度沖縄型産業中核人材育成事業」を活用し展開している「琉球泡盛人材育成プログラム」の海外研修カリキュラムの一環として実施されたもの。プログラムに参加している(合)伊是名酒造所、(株)新里酒造、(株)多良川からの各代表者と、現地の飲食店関係者12名および主催関係者の約20名が参加した。
多民族国家のシンガポールでは、中華料理、マレー料理、インド料理などルーツの異なる本格的な料理が楽しめる。中でも、マレー料理と中華料理が融合したプラナカン料理(ニョニャ料理)は伝統料理として知られる。一見すると中華料理のようだが、ココナッツミルクやスパイスを多用するのが特徴だ。どちらも、たっぷりと油を使った濃厚な味付けの料理が多い。この日の会場に選ばれた「The Famous Kitchen」では、中華料理とプラナカン料理を両方提供していた。
ちぶぐゎー(お猪口)を使ってストレートで合わせると、料理の旨味を引き出すと同時に、しつこくなりがちな油分がすっきりと洗い流される。度数を下げるためのミネラルウオーターやソーダもあらかじめ用意してあったが、筆者のテーブルでは出番はなかった(ビールをチェイサーにしている人はいたが)。
注:筆者は、通訳兼コーディネーターとして参加
「マリーナベイサンズ(シンガポールのシンボルともいえる統合型リゾート)」のヘッドソムリエによれば「正直なところ、日本料理やフランス料理との相性は想像しづらいが、中華料理との相性には可能性を感じる。ウイスキーやワインよりも美味しく合わせられる」。
また、今回のメニュー構成をした現地コーディネーターからは「器が小さく口に含む量が少ないので、意外にも度数の高さは気にならず、むしろ料理の味付けに負けない旨味を感じる。重たくなりがちな中華料理も最後まで楽しめた」との感想も聞かれた。
好意的な意見が目立つ一方で、流通については課題が残る。一般的に、現地の中華料理店に強い販路を持つ現地卸は中華系企業が多く、白酒など中国産アルコールの取扱いが中心だ。日本酒卸の経営者は「うちの顧客は日本食店が中心だが、泡盛を求める顧客は少ないので、採用するのは難しい」と断わったうえで「大手中華料理グループは独自の輸入会社を持っているケースが多い。こういう企業にアプローチしてみるのも一案ではないか」。
泡盛の輸出量は毎年わずかだが増加傾向にある。現地に赴き、生の声を聴くことで知見を広げ、個社の海外進出に弾みがつくことを願う。
ペアリングに提供した泡盛
・琉球プレミアム 35%
・長期熟成古酒 久遠 35%
・金丸 44%
・菊之露古酒VIPゴールド 30%(プログラム参加社)
Famous Kitchen
https://famouskitchen.com.sg/
(文・沼田まどかアジア局長)