逸材探訪 ~鑑定官が若き匠に聞く~(崎山酒造廠編)
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[公開・発行日] 2017/06/19
[ 最終更新日 ] 2018/06/06 - 飲む
小濱:20年後、30年後は、津波さんが造った甘い、甘い泡盛をみんなが飲んでいる。
津波:そうですね、そばにいるお酒にしてあげたい。せっかく最近まで沖縄県民の近くにいたのに、今は遠ざかっている感があるので。沖縄だけでも“泡盛くん”みたいな、何か近い感じにしたいと思います。
小濱:津波さんならその計画性をもって、着実にすすめられそうですね。比嘉さんはどうですか、理想の泡盛、造りたいと思う泡盛は?
比嘉:理想の泡盛。伝わるかはわからないのですが、香りや味という味覚的なものだけではなく気持ちがこもった泡盛が理想かと。古酒はやっぱり魅力的じゃないですか、そこには、味だけではなく10年、20年という時の流れという見えないものの魅力もあると思うんです。今、崎山は創業100年以上経っていますが、その間、先人たちの熱い気持ちが伝統や技術という形で受け継がれて自分たちが泡盛を造らせてもらっていると思うんです。そして100年後も職人さんたちが僕たちと同じ気持ちでいるといいますか、心を受け継いで造っているというのが理想の泡盛といいますか。
津波:なんかヒロさんの方が女性より繊細というか、ロマンチックを感じます。
小濱:そうですねロマンを感じますね。
比嘉:酒造りには、そこにロマンがあるじゃないですか!
津波:意外と男性の方がロマンチック。
小濱:そう男の方がロマンチックなんです。
比嘉:ワインにも共通しているんですが、古酒の魅力というものには、その時代の水なり、空気なり、造り手や時代の想いが詰まってる。美味しい、美味しくないという評価もありますが、続いているものの裏には造りつづけた人の想いがあると思うんです。泡盛の歴史は600年と言われていて、今というのも、その流れのほんの一点なのかもしれないですけど、これが続いて行って、終わりがないというのなら、自分の孫やひ孫がたまたま泡盛に興味を持って、酒造所に入ったり、泡盛を飲んでその想いに触れたとき、自分の想いが伝わるかもしれないと思うと、造り手としてもロマンがあるじゃないですか。酒ってそこが最大の魅力なのかなぁと。
宮本:壮大なるロマンを感じます。
比嘉:ロマンチックすぎますか??えっと、やっぱりそれをやるには、一にも、二にも麹。麹をですね、もっともっと追及して、それが…。
一同:笑い
津波:せっかく着地してたのに!
平良:想いって、あるじゃないですか?
津波:なんか今、入りがウソくさかった!!
一同:笑い
平良:いや!今、聞いていて、想いが伝わるってとってもすごいことだと自分も思った。例えば、すごい酒、時代背景を調べて、その時、どんな感じで造ったんだろうとか、誰が造ったんだろうって調べたくなるような酒に出会った時、やっぱり造った人の想いも伝わってくるなぁと思って。それが何年経っていても感じられるのはやはり酒の魅力だなって。ただ、それをやるためには、技術的にも、原料、麹、発酵、蒸留、ブレンドも含めてコントロールできる技術が必要だし、そうやって意識して造り分けした泡盛が理想の泡盛なんだろうと。
小濱:技術者としては、技術を駆使して思い通りにつくるのが理想ということですね。
津波:でも、お二人の気持ちの話ステキでした。
比嘉:中身がない?
宮本:伝わりましたよ。にじみ出るものもありますから。消費者にもきっと想いは伝わると思います。
比嘉:大丈夫ですかね?ロマンとか、私の話。
小濱:数年後、崎山の酒は、さらにモテモテになるかもしれませんよ。
平良:ロマンが通じて。
津波:いろんな濃い味がしそう(笑)。