厳しくなる企業問競争~原料として適当ではないが古米使用にも備えよう~(昭和46年4月29日)

  • [公開・発行日] 1971/04/29
    [ 最終更新日 ] 2016/02/23
   

沖縄の泡盛、味噌、醤油、ビール製造業界にとって、1971_4_29_awamori-raw-materials-crushed-rice_disappear_changes-to-the-old-rice-of-Japan復帰後の原料用輸入砕米の入手経路や税率がどうなるかという大きな不安を抱いている。

昨年11月20日に本土政府が発表した「沖縄復帰対策第一次分要綱」では、原料用輸入砕米も食管法の特別措置の中で処理し「復帰後も一定期間は、復帰時の水準を維持し、将来は本土と一元化するものとする」と明記されている。

しかし、米や麦とともに本土では砕米もIQ品目(輸入数料規制)になっており、現行どおりに沖縄の輸入業者や製造業者が外国から直輸入できるか、または本土商社からの間接的な輸入経路を取るかは不明確である。

ここで問題になるのは、数量や税率の面でも一定期間は「復帰時の水準」が維持できても、本土商社に輸入窓口が一本化される可能性がある。つまり、この間接輸入の中間マージンがつき、原料費の値上げになるのではないかという不安である。

本土政府は中間マージンが解消できるような措置も含めて最終的に「復帰時の水準」を維持することであるかに疑問が持たれている。

ところで、この一定期間という漠然とした表現について、1~3年、1~5年と解釈する者もあるが、いずれにしても、“つなぎ”の間であり、遅かれ早かれ本土と一体化され、厳しい企業間競争に直面することには変りはない。

砕米の輸入は、1970年は約1万トン(88万ドル)となっているが、用途別にみると泡盛製造用原料として8千トン(70万4千ドル)で輸入総量の80%を消質しており、復帰後の影響は最も大きいものと予想される。

このほか、味噌・醤油製造用原料として1千トン(8万8千ドル)、ビールは1千トン(8万8千ドル)となり、その他に家畜の飼料としても多少消費されているが、実数を把握するのが困難である。

一方、本土には食管法のシワヨセで大量の古米が累積されているが、これらの古米が琉球泡盛や味噌・醤油、ビールの原材料として現段階で使用できる見通しがついていない。このため、沖縄側は製品の品質と信用度を維持するには、やはり“輸入砕米”を使う以外に方法はなく、現段階では幾分コストが高くついても一朝一夕に本土古米に切り替えることはできないのが実状であるようだ。

ところで、これまでの原料試験の中間結果報告によると「本土の古米は琉球泡盛の原料としてあまり適しない」という。しかし、今後の各面の改善によっていずれ古米が多用途の原料米になることは十分に予測される。

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