ハワイで、ALOHA AWAMIRIを訪ねた(文・写/岡山進矢東京支部長)

  • [公開・発行日] 2024/03/21
   

歴史、人、文化。何かと繋がりのあるハワイと沖縄。気候風土や置かれた境遇など、共通点も多い。

そんなハワイに、「アロハ泡盛」というお酒が存在するのをご存知だろうか。

沖縄の酒造から取り寄せた泡盛原酒にフレーバーを付けたりブレンドをしたりしてハワイで製造している泡盛商品である。製造しているのは、首里系三世のハワイアン、ランディ・クバさん。

日本にも正規代理店があり、一部の商品は国内でもオンラインで購入できる。

2024年3月。ホノルルにある「ALOHA AWAMORI」本社を訪ねた。
+写真01_アロハ泡盛ワイキキの繁華街から西へ車で15分ほど、港沿いのインターナショナル・トレードリソースセンター2階にあるオフィスで出迎えてくれたのは、代表のランディさんと、コザ出身という奥様のフランシスさん。

小さなショールームを兼ねたオフィスには四方に棚が置かれ、取り扱い商品や泡盛文化を紹介するパネルなどがズラリと飾られている。

+写真02_アロハ泡盛

その中央に置かれたテーブルでたくさんの試飲をさせてもらいながら、フランシスさんの通訳のもとランディさんにお話を伺うことができた。

+写真03_アロハ泡盛

習っていた空手をきっかけに、自身のルーツでもある沖縄に通うようになったというランディさん。渡沖の度に空手仲間から泡盛のお土産を頼まれるので、荷物に制限の緩かった時代はスーツケースいっぱいに泡盛瓶を詰め込みハワイに持ち帰っていたそうだ。その後「そんなに人気なら」と、ライセンスを取り泡盛の輸入を始めた。同時に泡盛自体に興味を持つようになり、商品開発や、黒麹やもろみ酢などの研究も開始。現在は泡盛商品の製造・販売のほかに、ハワイや米国本土で泡盛の紹介活動にも尽力している。

+写真04_アロハ泡盛

多くの商品を試飲させていただいた。
『コナコーヒー』にはシナモンも入っており「日本人が好む上品で高級な味わい」(ランディさん)。アイスクリームにかける楽しみ方をお勧めしているそうだ。

『チリペッパー』は強烈な辛さで、まさにコーレーグースー。麺類やポキ(お刺身丼)にかけたり、ブラッディマリーにタバスコを入れるようにカクテルのアクセントとして使われることも多い。中にはそのまま飲む人もいるというから驚きだ。「お寿司のガリのように、口直しに飲んだりもします」(フランシスさん)

『レモン』には米国産ラムと、酸味がマイルドなハワイ産マイヤーレモンが使用されている。「これが嫌いな人は世界に一人もいないのでは?」と思ってしまうほど、丸く、棘のない優しい柑橘フレーバー仕立て。

+写真05_アロハ泡盛

筆者がこの日一番感動したのは、ラベルの貼られていない瓶に入った、商品化前だという濃い茶褐色のお酒。泡盛を炭を入れた樽で貯蔵し、さらにハワイに自生するキアヴェというマメ科の高木で燻製したものだという。

顔を近づけるとウイスキーのピートのようなスモーキーな香りが鼻腔を刺激し、口に含むとお米由来のアルコールの甘味の中で香りがもう一段階開く。泡盛にこんな可能性があるのか、と目から鱗の体験だった。

どのお酒も、泡盛のさらなる発展性を大いに感じさせ、何よりとても美味しかった。(注:いずれも日本の酒税法ではリキュールに分類)味わいの設計はハワイ在住のソムリエと一緒に行っているそうだ。

+写真06_アロハ泡盛

泡盛を新しい解釈で扱うだけでなく、甕貯蔵や仕次ぎで熟成させたり、カラカラ、ちぶぐゎーでの飲み方を紹介したり、トラディッショナルなアプローチも忘れない。

アメリカには一緒に飲む相手にお酒を注いであげるという文化はない。お酒を“酌み交わす”カラカラとちぶぐゎーは、良いコミュニケーションツールになるという。

「飲むだけじゃなく会話も楽しみながらコミュニケーションを取るには、この小さな酒器が相応しい。もっと大きな器でくれ、とも言われますが(笑)」(ランディさん)

直近の目標は、もろみ酢を普及させること。アメリカでは健康飲料としてリンゴ酢が人気で、もろみ酢を受け入れる土壌がある。飲料のほかにタブレットタイプのサプリメントも作っている。

そしてさらに未来の目標は、泡盛自体もハワイで造れるようになること。ハワイでの製造免許はすでに取得済み。沖縄から杜氏をパートナーとして迎えたいと考えている。「昨今、沖縄の酒造では人の入れ替わりが激しいので、タイミングによってはフリーの造り手さんが見つかるかもしれませんね」と伝えると「ぜひ紹介してください!」だそうだ。

興味を持ったという造り手さんがいらしゃったら、泡盛新聞までご一報ください。

※ALOHA AWAMORI HAWAII(アロハ泡盛)ホームページ(日本語)

(文・写/岡山進矢東京支部長)

+写真07_アロハ泡盛

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