瑞穂酒造は今年も3月18日(土)19日(日)の二日間、那覇市首里末吉町の瑞穂酒造本社において、恒例の「みずほ天龍蔵祭り」を開催した。奇しくもこの両日はうるま市の神村酒造でも「感謝祭」が開催されていた。
ボクは初日に「神村酒造感謝祭」で取材していい心地になったので、瑞穂酒造への取材は2日目に行った。当日はあいにくの小雨交じりとなったが、この日も広島県福山市の大学のゼミで醸造と発酵を勉強をしている息子を同行。12時前に家を出てバスとゆいレールを乗り継いで12時50分ごろに会場へ着いた。
会場に着くと泡盛の女王の阿波根あずささんがお客さんを迎え入れていた。それにしてもこういった泡盛関連のイベントには必ず参加する女王はえらいなぁ、と思い「いつもご苦労様です。毎回、大変ですね」と声をかけると、「それが私たち泡盛も女王の役目ですから」と笑顔で答えてくれた。
今年の「天龍蔵祭り」は新酒の首里天25度と瑞穂3年古酒の43度と35度と25度が500円で飲み放題となっており、しかも、数量限定早いものがちで豚の丸焼きのつまみが付いている。何はともあれ500円で飲み放題の証の手首のベルトを巻いて、これで好きなだけ泡盛が飲めると思い、まずは新酒の首里天25度を飲む。
ひと口飲んだところに「13時より工場見学が始まります」というアナウンスが。最初に工場見学を申し込んでいたので工場見学から。泡盛のつくり方や瑞穂酒造の特徴、もろみ酢のできるまでなどを勉強したあと天龍蔵へ向かい、中に並んでいる商品を試飲することに。
まずは瑞穂酒造の天龍蔵の名前を冠した「古酒 天龍蔵 30度」。まろやかな甘い口当たりで、30度とは思えない厚みのある味わい。古酒の旨みが感じられる逸品。あのサントリーとの共同開発により生まれたという商品だといい、天龍蔵に眠る古酒の原酒の中から選りすぐりをブレンドしたというだけあって完成度が高い古酒になっている。
続いて「黒糖酵母仕込み 原酒53度」。口に含んだ瞬間は甘く感じるけれど、直後にブワッと口中にいっぱいに泡盛のやんちゃな香りが広がり、ノドの奥から食道、胃にかけてほんわか落ちていくのがわかる。最後に鼻腔にバニリンの甘い余韻を残している。粗濾過だというだけあって強烈だけど旨みのある味わいになっている。いろいろな味わいがあるので古酒になったときは大変身しそうな予感がする。
次はその名もズバリ「粗濾過 四十四度」。粗濾過なので口に含む前から昔ながらの泡盛の香りが感じられる。甘さとやや油の匂いとちょっとだけ舌にピリッと来る味わいのあとに多重的な香りが余韻として残り、最後の最後にノドと舌の奥との境目に旨さが感じられる。雑味がいっぱいの濃い味わいは古酒として熟成させた時が楽しみの酒だと思った。
次はカクテルのベースを意識して造ったという「MIZUHO ISLAND SPIRITS 40度」。瑞穂酒造のいろいろんタイプの原酒をブレンドして泡盛独特の香りを抑えているので、コクとキレがありそのままストレートでもいける。担当者の話では、レモンやソーダとの相性も良く、ライムやシークヮーサーにも合うとのこと。カクテルだけでなくボトルごと冷凍庫でキンキンに冷やしパーシャルショットで飲むのも美味しいという。確かにパーシャルショットは美味しそうだなぁ、と思いつつ次の「ロイヤル瑞穂 熟成五年古酒 43度」を試飲。5年古酒だけどそれ以上の年数の選りすぐりの熟成古酒を独自にブレンド。43度ならではの濃厚な味わいで口当たりはまろやかで甘さが味蕾に広がる。ロイヤルを冠するだけあってノドの奥から芳醇な香りが口いっぱいに広がった。
続いて「瑞穂熟成3年古酒 30度」。古酒ならではの香りとまろやかさがあり、しっかりとした味わい。気軽に古酒が楽しめるよう水で割っても味が伸びる仕様だという。試しに水で割ってみたら度数は弱く感じたが味わいは薄まらなかった。
次は「マイルド瑞穂 熟成5年古酒 25度」。5年古酒だけど25度。マイルドですっきりしているけど古酒らしいコクと旨みが感じられる。ボトルを冷やしてロックやストレートでも美味しく飲める。ワイングラスに入れると香りが楽しめるため、料理とマッチングもしやすいという。
次は新商品の「珊瑚の森 7年古酒 35度」。35度とは思えない深みのある甘みとコク、ナッツのようなキャラメルのような甘い香りも感じられる。7年古酒だけに角が取れたマイルドな口あたりでストレートでもスっとノドの入る。息子がこれなら泡盛ビギナーの彼女が飲めそうで、デザインもかわいいからと広島土産として買っていった(父のおごりで…)。
次は平成4年に新発売された「Xiクロッシー 30度」。当時、山本寛斎デザインのボトルがおしゃれと評判になった泡盛だ。宮沢和史がCM出演し、その後、大ヒットする「島唄」がイメージソングだった。実はボク、そのイメージソングのシングルCDを今でも未開封のまま持っている。なので、クロッシーには思い入れがあるので試飲した。減圧ブレンドのためかフルーティーで独特な甘い香りがして、スッキリとした上品な甘さが感じられ、初心者に喜ばれる味わいだと思った。
続いて「首里天 樽貯蔵 古酒25度」。これまた飲みやすい。樽貯蔵ならではのバニラの香りと甘さが感じられる。大きめの氷を入れたロックにしたら何杯でもいけそうだ。今度はリキュールの「琉球アワモリモヒート 12度」。泡盛を試飲した直後なので、リキュール類は甘くて軽く感じてしまう。県産ミントを使っているというだけあって香りが爽やかで泡盛のコクと旨みとマッチしている。甘さもいい感じ。最後は同じくリキュールの「琉球ティーアワー 12度」。県産紅茶の香りと甘さがこれも泡盛とよく合っている。どっちもコップに氷を入れて注ぐだけで、息抜きとしてリキュールが楽しめると思った。
とりあえず、今回の試飲を終えていい気分で天龍蔵を出ると、ステージの横で司会進行を勤めているかつての「泡盛の女王」で、今では「クースの女王」と呼ばれ愛されている富永麻子さんが声をかけてきた。「1時間ごとに乾杯の音頭をお願いしているのでお願いします」という。試飲ですっかり気分が大きくなったボクは2つ返事でOK。時計を見る2時10分前だったので大急ぎで瑞穂3年古酒43度をお代わりしてノドを潤す。
2時になり乾杯のあいさつを済ますと本日の仕事は終了となった。早速、引換券で豚の丸焼きのつまみをもらい、息子は小腹がすいたと沖縄そばを2杯食べつつ、泡盛関係者といろいろゆんたくしていた。ボクは泡盛をおかわりしつつステージを楽しみ、焼き鳥や沖縄そばを食べて純粋に「みずほ天龍蔵祭り」を楽しみ、そして、息子と二人でほろ酔い気分でゆいレールに乗って帰ったのであった。