バスに揺れて揺られて糸満まさひろ酒造蔵祭り(まさひろ酒造/文・嘉手川学)

   

3月25日の土曜日、バスに乗って糸満市西崎へ向かった。目的はただ一つ、ズバリ「まさひろ酒造蔵蔵祭り」を楽しむ、あ、違った。仕事で体験レポートを書くためである。
2017_03-25_masahiro-shuzo-brewery-festival01午前11時過ぎに繁多川の家を出て、パレットくもじ前で下車、市外線バスターミナル前バス停に移動し12時13分の西崎経由の糸満行のバスに乗った。12時50分頃に西崎2丁目バス停に到着。料金は520円だった。今回も大学のゼミで醸造と発酵を学び、泡盛造りの仕事がしたいという一人息子が同行した。

西崎2丁目バス停からまさひろ酒造まで歩いて10分ほど。小川の流れる細い長い公園のような道を植物を見ながら歩く。息子はアダンの仲間のタコノキの実をスマホに収め、エイプリルフールに、「沖縄ではパイナップルが普通に木に成っている見られるよ」と、SNSにアップすると言っていた。他にもモモタマナやガジュマル、ナッツのような実のなる木など、今、住んでいる福山市の植物との違いを比べながら歩いていたら、あっという間にまさひろ酒造に着いた。
2017_03-25_masahiro-shuzo-brewery-festival02会場に入るとステージからライブ演奏が聞こえ、出店は多くの客で賑わい、いかにもお祭りという雰囲気が流れていた。まずは工場見学をしようと販売コーナーやギャラリーのある建物へ入る。工場見学は随時行っており、申し込みなしですぐに見学できた。洗米から蒸し、製麹などを自動で行う機械、ぶくぶくと音を立てるもろみタンク、高さが9m、5万5千リットルの泡盛が入る数基の貯蔵タンクなどを見る。ちなみに5万5千リットルは一升瓶だとおよそ3万本になり、仮に1日1合1年365日毎日飲んだとしても、1000年以上かかることから社内では1000年タンクと呼んでいるという。そんな説明を受けながら順路に沿っておよそ、30分の工程を見た。ボクはこれまでいくつかの酒造所の工場見学したけれど、まさひろ酒造の工場は広く明るく、近代的な設備に思えた。もちろん近代的だけど製麹やもろみの状態など人の手が必要な部分はしっかりと手作業しており、そこにまさひろ酒造ならではこだわりと美味しさがあるのだと思った。

工場見学のあとは2階にあるまさひろギャラリーへ。ここには泡盛関係者にその名を知られた、泡盛コレクターの座間味宗徳氏のコレクションを展示している。
2017_03-25_masahiro-shuzo-brewery-festival03戦後、明日の食料にも事欠く時代の中で作られた泡盛をはじめ、今ではなくなった酒造所の銘柄などが並んでいる。物資のない時代はビンの確保が大変だったらしく、米軍から出たビールやジュースのビンをはじめ、ソースや醤油のビンまで代用した。また、ウィスキーのラベルを貼ったままのビンを使った泡盛もあった。初めて見る銘柄や子どもころに見た銘柄など懐かしく見ていると、他のお客さんに展示の説明をしている名誉館長の座間味氏がいたので写真を撮らせてもらった。

2017_03-25_masahiro-shuzo-brewery-festival04ギャラリーを見たあとは1階に降りて、いよいよ試飲である。まず最初は「リキュールまさひろ梅酒 12度」の試飲でノドを潤す。紀州産の梅をまるごと度数の低い泡盛に漬けて、糖分を加えた梅酒。甘さと酸味のバランスがよく、梅酒の味がするのに余韻に泡盛の風味が感じられ、それが梅の香りとマッチしている。泡盛好きが高じて盛岡市から沖縄に移住したという担当者の景山さんによれば、「かつて販売されていた梅人(うめんちゅ)をリニューアルして製造販売しています。香り豊かな梅を使用し、スッキリ飲みやすく美味しい梅酒です」とのこと。

 

2017_03-25_masahiro-shuzo-brewery-festival05続いて「まさひろ県産米仕込み30度」。蔵元限定発売の泡盛で、原料を県産米にこだわったことで、華やかでフルーティーな香りに仕上がり、日本酒のような甘さの中にスッキリとした味わいがある。

 

 

次は「五年古酒 まさひろ甕貯蔵 35度」。これも蔵元限定の泡盛。甕ならではの豊かな風味と35度とは思えないほどのマイルドな味わい。フワッとした飲み口の中に余韻として椎茸のような香りが感じられる。

次は蔵まつり限定の「蔵出しまさひろ十年古酒44度」。10年古酒なのでトンガリがなく、甘みがあってスッと飲める。甕貯蔵と比べて味も香りもまろやかで厚みがある。人によってはクセがなさすぎるので物足りないという人もいるほど穏やかな味わいになっている。(次ページへつづく)

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