宮古泡盛業界の協業化 話合いまだ流動的(昭和47年5月10日)

  • [公開・発行日] 1972/05/10
    [ 最終更新日 ] 2016/07/05
   

1972_5_10_miyako-awamori-industry-proceeds-is-discussion-of-cooperatives宮古酒造組合(古謝為吉組合長) では懸案の宮古本島業者の協業を強力に推進しているが、まだ最終的な結論を出すまでには至っていない。現在、宮古本島仁は9工場の泡盛メーカーがそれぞれ営業しているが、復帰に向けて企業の合理化を図り宮古本島一円市場の安定、価格面の確立維持、人権費の消減等抜本的な販売システムを確立しようと云うのがねらいだが、4月21日現在まだ煮詰まっていないようだ。

宮古泡盛業界は過去に於いて販売一本化を実現したことがあるが、当時は“品質の悪い酒もミックスされ、味が落ちた”とマスコミに散々に叩かれ、又元の各自営業に逆戻りした経緯があるだけに、前者のテツを踏むまいと今度は慎重な構えで話合いを進めている。

すでに3月20日現在で13回もの会合を重ねているが、20日午後3時から松竹食道(平良市)で開かれた会合では、200坪の協同瓶詰め場敷地もトントン拍子に話が進み、坪当たり30弗(ドル)の土地を協同で買上げ、支払いはあとでよいと云う地主との諒解(=了解)もついた。

それ以前、すでに製造業者4名、下地潔、古謝為吉、池間太郎、砂川武雄の各氏(下地潔組合長)、販売業者5名、池村タケ、渡久山知伝、宮国恵行、山内徹夫、友利盛次(渡久山知伝担当責任者)の各氏をそれぞれ決定している。

また、それぞれの実現までの期間、山内徹夫、下地潔の両氏が月200弗宛の報酬で対外的ないろんな面の解決に専任されている。

当初の設備面の計画では、各自500弗ずつ出資し、必要に応じて又出し合っていく予定で各自の設備を持ち寄って出発し、貯蔵タンク5本(1本500弗)も逐次設置するよう話し合われている。そして軌道に乗せてから自動瓶詰機、Zボイラー、ラベラーも導入しようと云う計画である。

ここまで調子よく進められてきた同計画も途中で、或る工場から是非製造をしたいとの物云いが出てきた。しかし今では組合員の説得に応じことなきを得たようである。残された問題点は減税の分配率と製造免許取り消しと云う主管局の税法に対する販売に廻る現在の製造業者の心の動揺であろう。

減税の配分率は当初製造業者が6で販売に廻る業者が4と云う案で協議されたようだが、その後原料取扱や工場経費等を計算すると、どうしても7でないと合わないとの意見がでて、現在その線で話し合われているようだ。

これは例えば現在20石の月販数量の製造業者が販売に廻った場合、それに対する30%の配分率と云うことである。

次に製造免許は当社、販売に廻る業者でも製造免許は存続するとしていたものが、主税局の見解では販売にまわる業者の製造免許は取り消しになると云う心の動揺、つまり絶ち切れ得ない未練であろう。

いずれにしても、宮古の泡盛業界がこんなにまで熱し和気あいあい裡(り)に話が進められてきていると云うことは、全琉の泡盛業界の注目の的となっているのは事実だが、何しろ足して2で割れば答えが出ると云う、足し算式に解決をみるのは泡盛業界では無理な話かもしれない。しかし以前はともかく、今度の縁結びは“良い”もの同志の結合(協同ブレンド)である。

特に昨年12月4日に多良川酒造(砂川武雄経営者)が金賞を受賞しており、他の3場製品も良い製品揃いであってみれば、“味”には自信があろう。

一方消費者サイドにしてみれば、“選択の自由はあるべきだ”との意見もあるが、ともあれ、熱しやすく冷めやすいと云われる宮古業界だが、今度の協業実現の可能性は極めて強いと云えるだろう。

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