沖縄県の伝統的銘酒“泡盛”の品質評価を通じて、酒造技術の進歩・発展を促すために年に一度、沖縄国税事務所、沖縄県の共催により開かれる泡盛鑑評会は、復帰の年(1972年)からスタートし、今年で44回目を迎えた。
本年は、9月27日から2日間にわたり、税務大学校沖縄研修支所(浦添市宮城)及び北那覇税務署において泡盛に造詣の深い品質評価員による厳正なるきき酒による審査が行われた。
その結果、品質優秀と認められた古酒を出品した泡盛製造場及び製造責任者に対し、平成28年に11月1日にANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー(那覇市泉崎)にて、沖縄国税事務所長及び沖縄県知事が賞状を授与した。
なお、本年度より日本語賞状・英文賞状に併せて中国人観光客向け(漢字)賞状も授与された。また、表彰式においては、沖縄国税事務所が本年6月に委嘱した泡盛クイ-ンズサポーター (元泡盛の女王)も初めて参加した。
本年度の出品状況は、古酒部門が39場68点、一般酒部門が37場52点の合計44場120点となった。前年度に比べて1場8点増。
沖縄国税事務所長賞(16場)及び沖縄県知事賞受賞(5場)を受賞した製造場及び銘柄は次の通り。
(平成28年度泡盛鑑評会、小濱元沖縄国税事務所主任鑑定官の審査報告はこちらより)
沖縄国税事務所長賞(16場)
製造場名 | 製造場代表者 | 製造責任者 | 銘柄 |
---|---|---|---|
上原酒造 株式会社 | 上原 長榮 | 上原 弘嗣 | 神泉 |
株式会社 津波古酒造 | 津波古 章 | 大城 篤光 | 太平 |
まさひろ酒造 株式会社 | 新城 満 | 鈴木 一人 | 蔵出しまさひろ |
宮里酒造所 | 宮里 徹 | 手登根 真也 | 春雨 |
菊之露酒造 株式会社 | 下地 勝 | 山内 豊彦 | V.I.P GOLD |
株式会社 多良川 | 砂川 拓也 | 伊計 恵蔵 | 久遠 |
株式会社 石川酒造場 | 仲松 政治 | 平田 直樹 | 玉友甕仕込秘蔵古酒 |
沖縄県酒造協同組合 | 大城 勤 | 海乃邦 10年 | |
株式会社 久米島の久米仙 | 島袋 正也 | 島袋 淳也 | 久米島の久米仙 ブラック5年古酒 |
瑞泉酒造 株式会社 | 佐久本 学 | 仲栄真 兼昌 | 瑞泉 古酒 |
合資会社 恩納酒造所 | 佐渡山 誠 | 玉那覇 諒磨 | 萬座 |
有限会社 金武酒造 | 奥間 尚登 | 奥間 尚利 | 古酒 龍 |
合資会社 津嘉山酒造所 | 瑞慶村 實 | 幸喜 行有 | 國華 |
有限会社 今帰仁酒造 | 大城 洋介 | 兼次 勝 | 千年の響 |
北谷長老酒造工場 株式会社 | 玉那覇 徹 | 知念 秀人 | 北谷長老 |
有限会社 比嘉酒造 | 比嘉 兼作 | 山内 隆志 | 残波 2006年 |
沖縄県知事賞(5場)
製造場名 | 製造場代表者 | 製造責任者 | 銘柄 |
---|---|---|---|
上原酒造 株式会社 | 上原 長榮 | 上原 弘嗣 | 神泉 |
株式会社 多良川 | 砂川 拓也 | 伊計 恵蔵 | 久遠 |
沖縄県酒造協同組合 | 大城 勤 | 海乃邦 10年 | |
有限会社 今帰仁酒造 | 大城 洋介 | 兼次 勝 | 千年の響 |
有限会社 比嘉酒造 | 比嘉 兼作 | 山内 隆志 | 残波 2006年 |
平成28年度泡盛鑑評会品質評価員(24名)
氏名 | 所属・役職等 |
---|---|
高良 健作 | 国立大学法人琉球大学農学部 准教授 |
福田 央 | 独立行政法人酒類総合研究所 業務統括部門長 |
ティル ヴェーバー | 国立大学法人琉球大学法文学部 教授 |
山本 英樹 | 宮崎県食品開発センター 応用微生物部 副部長 |
喜屋武 善範 | 有限会社喜屋武商店 代表取締役社長 |
普久原 毅伸 | 忠孝酒造株式会社 製造部 製造課 主任 |
池原 優 | 池原酒造所 |
渡久山 研吾 | 株式会社渡久山酒造 |
大城 博明 | 瑞穂酒造株式会社 取締役 製造部 部長 |
大城 洋介 | 有限会社今帰仁酒造 代表取締役 |
渡久地 洋平 | 有限会社神村酒造 工場長 |
石川由美子 | 株式会社石川酒造場 製造部主任研究員 |
池原呂桜良 | 瑞泉酒造株式会社 営業部 営業推進グループ主任 |
中村 真紀 | 久米仙酒造株式会社 プロモーション推進部 主任開発・ブレンダー |
津波 志織 | 崎山酒造廠酒 製造部 |
野本 秀正 | 東京国税局 鑑定官室長 |
坂本 光一 | 東京国税局 鑑定指導室 鑑定官 |
辻井 将之 | 大阪国税局 鑑定官室 主任鑑定官 |
相澤 常滋 | 熊本国税局 鑑定官室 主任鑑定官 |
比嘉 賢一 | 沖縄県工業技術センター 技術支援班 班長 |
玉村 隆子 | 沖縄県工業技術センター 企画管理班 主任研究員 |
前泊 智恵 | 沖縄県工業技術センター 技術支援班 研究員 |
小濱 元 | 沖縄国税事務所 主任鑑定官 |
宮本 宗周 | 沖縄国税事務所 鑑定官 |
表彰式において、谷口裕之沖縄国税事務所長及び翁長雄志沖県知事は次のように式辞を述べた。
谷口裕之沖縄国税事務所長式辞
本日ここに、ご来賓各位をお迎えして、 『平成二十八年度泡盛鑑評会表彰式」を挙行するに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
泡盛鑑評会は、「沖縄県の伝統的銘酒「泡盛」について、品質評価を通じて酒造技術の基盤強化と発展を促し、品質の向上を図るとともに消費の利益を守り、併せて沖縄県の重要な地場産業である泡盛製造業の発達に資すること」を目的として、昭和四十七年に第一回を開催し、今回で四十四回目を迎えております。
この間、泡盛製造業者の皆様のたゆみないご努力と、関係者の皆様のご尽力により、泡盛は沖縄県の重要な地場産品としての地位を確立し、今や沖縄県の製造業のけん引役を担うまでになりました。これまでの関係者の取組みに対しまして敬意を表する次第でございます。
さて、本年は、四十四の泡盛製造場から百二十点の出品がありました。泡盛の最高峰ともいえる古酒(クース)につきまして、優秀な成績を収めました十六製造場の代表者、並びに製造責任者の皆様に対し、日本語、英語、そして中国人向けの各賞状と表彰状を授与させていただきました。
中国人向け賞状については、今年から新規に設けるもので、昨今の中国人観光客が増加していることを考慮して実施したものでございます。
また、沖縄県知事からも五製造場の代表者に対し、賞状が授与されました。受賞者の皆様には、心よりお祝いを申し上げます。
なお、本年は、当国税事務所が歴代の泡盛の女王13名に泡盛クィーンズサポーターとして委嘱いたしました。
これは、今後の泡盛製造業の方向性として、品質の一層の向上はいうまでもなく、泡盛がもつ魅力を消費者に対して確実に伝えることが重要であるとの趣旨から若い消費者代表として泡盛鑑評会にオブ参加をお願いしたものであります。
泡盛製造業者の皆さまには、県内ばかりでなく県外・海外の消費者に対しても、よ
り一層、 「琉球泡盛」の特徴や飲み方等、多様な可能性が伝わるよう様々な施策に取り組んでいただき、益々の発展を期待するものであります。
そのため、酒類産業行政を所管する私どもといたしましても、泡盛製造業者の皆さまが取組む施策に対しまして、微力ながら支援していく所存であります。
結びに当たり、ご多用のところ、本日ご臨席を賜りましたご来賓の皆様方に厚く御礼申し上げますとともに、ご列席の皆様方のご健勝とご発展を祈念いたしまして、式辞とさせていただきます。
平成28年11月1日
沖縄国税事務所長 谷口裕之
翁長雄志沖縄県知事式辞
はいさい、 ぐす一よ一ちゅうがなびら。
平成28年度泡盛鑑評会表彰式の開催に当たり、御挨拶を申し上げます。
御来賓の皆様におかれましては、御多忙のところ御臨席を賜り、誠にありがとうございます。
これまで、酒造技術の向上等に御尽力され、本日表彰される皆様に、心からお祝いを申し上げますとともに、今後ますますの活躍を御期待申し上げます。
泡盛鑑評会は、泡盛の品質評価を通じて、沖縄県の重要な地場産業である泡盛製造業の振興を図るため、本土復帰の昭和47年から開催しており、品質の向上や技術者の育成などを推進することで、業界の発展に大きく貢献しております。
これもひとえに、業界関係者の技術向上に対する情熱と日々のたゆまぬ努力に加え、沖縄国税事務所長谷口裕之様をはじめ、職員の皆様の御指導の賜であり、心から感謝申し上げます。
御承知のとおり、泡盛は、沖縄の復帰以降、 -来年5月に期限を迎える復帰特別措置により酒税が軽減され、県民生活の安定や泡盛製造業の基盤強化、県内産業の振興に大きく寄与しております。
一方、泡盛業界を取り巻く環境は、消費者嗜好の多様化や他の酒類の台頭などにより、出荷数量が11年連続で減少するなど、大変厳しい状況に置かれております。
沖縄県においては、泡盛産業の振興のため、業界と連携して酒税軽減措置の延長に全力で取り組むとともに、引き続き、琉球泡盛が県外・海外への出荷を拡大していけるように支援してまいりますので、今後とも皆様の御協力をお願いいたします。
結びに、御臨席の皆様の今後ますますの御健勝と御活躍を祈念申し上げ、挨拶といたします。
平成28年111月1日
沖縄県知事 翁長 雄志