沖縄国税事務所及び沖縄県は平成29年9月27日(水)、北那覇税務署(浦添市宮城)において、平成29年度泡盛鑑評会品質評価会を開催した。
県内の45酒造場から古酒部門に69点、一般酒部門に52点の計121点の泡盛が出品され、26人の専門家で構成された品質評価員が審査した。
泡盛鑑評会は、昭和47年に始まり、今回で45回目を迎える。専門的な知識、技術を有する品質評価員が、泡盛の香り、味わいを詳細に評価するとともに科学的な分析を行い、そこで得られた情報を製造現場に還元することにより、製造現場の技術力を向上させ、泡盛の品質向上に貢献し続けている。
今回の泡盛鑑評会においては、一般酒に対して新たな評価方法として、泡盛フレーバーホイールを活用した定量的記述分析法が導入された。
評価員は泡盛フレーバーホイールの第1層(外周)のうちから「エステル」「酸臭」「ナッツ様」「キノコ様」「たくあん様」「カラメル様」「バニラ」「油臭」「焦げ様」「刺激感」「オイリー」の12項目について、その強度を一定の長さ(今回は10cm)の横線の左端を0(特性を感じない)、右端を10(最大限に感じる)として、直線上でどのあたりに位置するかを記述し、0からの距離(mm単位)を強度とすることで結果的に100段階での評価を行う。
評価の目安として、各項目の強度が7(左端から7.0cm)前後のサンプルが準備され、評価員は評価に先立ち基準を統一するための調整も行った。
本年4月に沖縄国税事務所にて公表された泡盛フレーバーホイールは、原則として一つの項目(香りや味わいの特性)に対して一つの表現に絞り込み、加えて対応する標準見本(安定した標準サンプル)を紐づける設計となっている。
そのため、今回のように項目ごとに基準となるサンプルを準備することも可能となり、製造者、販売者、消費者などの垣根を越えて共通認識を持ちやすいという特徴がある。その点で、これまで泡盛愛好家の間で個別に使われていた香りの表現集やチャートから飛躍的な進化を遂げた。
今回の泡盛フレーバーホイールを用いた評価に関する情報も、各酒造所に還元され、酒造所の製造技術向上や商品開発に役立てられる。
泡盛鑑評会品質評価会は9月29日(金)まで続けられる。なお、古酒部門において品質優秀と認められる泡盛を製造した製造場及び製造責任者には、11月1日(水)の泡盛の日に、沖縄国税事務所長及び沖縄県知事より賞状が授与される。
泡盛鑑評会品質評価会の冒頭において、脇本利紀沖縄国税事務所長は次のように挨拶した。
脇本利紀沖縄国税事務所長あいさつ(全文)
本日は、品質評価員の皆様方には、大変お忙しい中ご出席いただきまして、厚く御礼申し上げます。
皆様方には、平素から酒類行政はもとより、税務行政全般につきましても、深いご理解と多大なご協力をいただいており、心から感謝申し上げます。
さて、本日の評価会には、琉球大学農学部教授の平良東紀(たいらとうき)先生をはじめ、外国人泡盛同好会のパッカレ・アレクサンドルさん、県内の酒類関係者の皆様方、鹿児島県工業技術センターの安藤義則(あんどうよしのり)研究専門員、独立行政法人酒類総合研究所並びに各国税局の方々にもご出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
泡盛鑑評会は、沖縄県の伝統的銘酒であります「泡盛」について、造詣の深い専門家の皆様による品質評価の結果と、科学的な分析により得られた情報を製造の現場に還元することで、酒造技術基盤強化・酒造技術の発展を促進し、泡盛の品質の向上を図ることを目的としております。
また、消費者に安心して飲んでいただける製品を提供することと、併せて泡盛製造業の発達に資することも目的としており、昭和47年から開催し、今年で45回目を迎えております。
今回も、当所が本年6月に委嘱いたしました泡盛クイーンズサポーターにも、オブザーバーとして品質評価に参加していただき、高品質の泡盛を体験していただくこととしておりますので、よろしくお願いします。
近年の泡盛製造業を取り巻く環境は、依然厳しい状況にあり、出荷数量が12年連続の減少となっておりますが、一方で平成28年度の沖縄への入域観光客は、過去最高の876万人を記録し、外国人は212万人と初めて200万人を突破するなど、明るい材料が増加しています。
このような状況にあって、日本産酒類の輸出促進の観点から政府一丸となり、当所においても各種施策に取り組み、関係機関と連携し、支援を行っているところです。
なお、本年度より一般酒の部については「泡盛フレーバーホイール」を活用した定量的記述分析法による評価を実施することといたしましたので、メーカーによる自社製品の品質把握及び新たな商品開発に活用していただけるようお願いいたします。
こうした努力により、泡盛が消費者に高く評価され、県内外をはじめ、広く海外においても、より一層地位を高めていくものと期待しております。
さて、本日の鑑評会の品質評価に当たりましては、45の酒造場から121点の出品がありました。
品質評価員の皆様方には、慎重かつ厳正な品質評価を行っていただくとともに、技術力及び品質の一層の向上並びに今後の泡盛の更なる発展のために、忌憚のない率直なご意見をいただきますようお願い申し上げます。
最後に、ご出席の皆様方の益々のご健勝を記念いたしまして挨拶とさせていただきます。
本日は、よろしくお願いいたします。
以上。
平成29年度泡盛鑑評会品質評価員(26名・敬称略)
氏名 | 所属・役職等 |
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平良東紀(たいら とうき) | 国立大学法人琉球大学農学部 教授 |
水谷治(みずたに おさむ) | 国立大学法人琉球大学農学部 准教授 |
玉城康智(たまき やすとも) | 独立行政法人国立高等専門学校機構 沖縄工業高等専門学校准教授 |
福田央(ふくだ ひさし) | 独立行政法人酒類総合研究所業務統括部門長 |
向井伸彦(むかい のぶひこ) | 独立行政法人酒類総合研究所醸造技術研究部門長 |
安藤義則(あんどう よしのり) | 鹿児島県工業技術センター研究専門員 |
パッカレ・アレクサンドル | 翻訳家(外国人泡盛同好会) |
照屋充子(てるや みちこ) | 国立大学法人琉球大学 非常勤講師 |
大岩迪子(おおいわ みちこ) | 南島酒販株式会社営業部 |
鈴木一人(すずき かずひと) | まさひろ酒造株式会社製造部次長 |
玉那覇有一郎(たまなは ゆういちろう) | 株式会社玉那覇酒造所代表取締役社長 |
下地勝(しもじ まさる) | 菊之露酒造株式会社代表取締役社長 |
田場俊之(たば としゆき) | 米島酒造株式会社代表取締役 |
平良義恒(たいら よしつね) | 有限会社龍泉酒造課長 |
當山博史(とうやま ひろふみ) | 有限会社比嘉酒造製造部 |
池原呂桜良(いけはら ろおら) | 瑞泉酒造株式会社営業部営業推進グループ主任 |
仲里彬(なかざと あきら) | 瑞穂酒造株式会社品質管理室 |
上間長亮(うえま ちょうりょう) | 株式会社石川酒造場製造部製造課長 |
宇都宮仁(うつのみや ひとし) | 東京国税局鑑定官室長 |
松本健(まつもと けん) | 東京国税局鑑定指導室長 |
原一広(はら かずひろ) | 大阪国税局鑑定官室主任鑑定官 |
相澤常滋(あいざわ じょうじ) | 熊本国税局鑑定官室主任鑑定官 |
比嘉賢一(ひが けんいち) | 沖縄県工業技術センター食品・化学研究班班長 |
玉村隆子(たまむら たかこ) | 沖縄県工業技術センター企画管理班主任研究員 |
小濱元(こはま はじめ) | 沖縄国税事務所主任鑑定官 |
宮本宗周(みやもと むねひろ) | 沖縄国税事務所鑑定官 |