沖縄産業まつりで3日続けての試飲巡り ”前編” (文/嘉手川学)

   

10月21日(木)から23日(日)までの3日間、那覇市の奥武山公園及び沖縄県立武道館で「第40回沖縄の産業まつり」が行われた。ボクは昨年に続いて今年も出店している酒造所を巡り、新商品やおすすめ商品の試飲をした。

去年はうちの会社「泡盛新聞」がリリースされたばかりで、酒造所も廻りも名刺交換を兼ねて遠慮がちに行い、おまけに初日に大雨が降ったので試飲は2日目と3日目に行ったのである。しかし、今回は初日の午後からすごいいい天気で、10月とは思えないほど暑い陽気になり絶好の産業まつり日よりとなった。

というわけで、初日は13時半ごろにゆいレールの壷川駅で下りて橋を渡って奥武山公園に入りまずは左に曲がった。多くの酒造所は芝生広場横の第2会場出店しているのは分かっていたのだが、その前に川沿いの第4会場の食品・飲料コーナーの県産品展示即売会場が見たくなったのである。

曲がってすぐにオキコや明治乳業のブースがあり、オキハムの出店に並ぶフランクフルトやウィンナーなど美味しそうだなぁと思いながら、じっと我慢をしながら通り過ぎる。さらにゆくとカマボコやサーターアンダギー、つまみ用の豆や田芋パイ、塩せんべいなどそれぞれのスタッフが試食をすすめるので遠慮なくいただいた。

弓道場近くまで来た時には時間はすでに14時過ぎになっていたが、太陽は斜め上から容赦なく照りつけてきており、汗がダラダラとこぼれてボクのノドはカラカラになっていた。あまりにも暑くてこれは限界だと思い、少し戻ってあの玉泉洞王国村の中にある南都酒造所の「OKINAWA SANGO BEER」を試飲することにした。玉泉洞の地下100mから汲み上げたカルシウムとミネラルが豊富なコーラルウォーター100%を使用したビールは麦芽100%で、生きた酵母とホップを贅沢に使用した4種類のビールの試飲ができたのである。

ビンの写真を取れなかったので生ビールを紹介。手前からIPA、BL、ACKALE、ALT、そしてKOLSCH(ケルシュ)

ビンの写真を取れなかったので生ビールを紹介。手前からIPA、BL、ACKALE、ALT、そしてKOLSCH(ケルシュ)。

まずは「KOLSCH(ケルシュ)」。フルーティーでやや酸味が有り白ワインのような風味というだけあって、軽やかな旨味がある。資料では世界的なビールコンテストのワールドビアカップで銀賞を受賞しているという。続いて「IPA(アイピーエー=インディア・ペールエール)」。アメリカンスタイルのビールだというが、柑橘系のような爽やかな香りが豊かでホップに苦味がきいてビール好きにはたまらない。次は「ALT」。上品な香りと苦味のバランスがよくコクと旨みが感じられて、いくら飲んでも飽きない味わい。個人的には好きな味わいだ。最期は「BLACK ALE(ブラックエール)」。焦がした麦芽が香ばしい黒ビールだが、軽やかでライト、また苦味の中にもノドの奥から甘味が感じられる不思議な味わいだ。4種類とも特徴的なうまいビールだが、試飲は少量なのでノドの渇きはまだ癒えない。

続いて同じく南都酒造の「琉球ハブボール(6度350ml)」を試飲しようと思ったら、残念ながら試飲はしてないという。しかし、ノドの乾きも収まらないのでよく冷やした缶ハブボールを注文。氷を入れたコップに入れてもらうと、思わず「旨い!!」と少し声を上げて呟いてしまった。

これがハブボールだ。昔、月刊少年ジャンプのわたるがぴゅんという漫画で、主人公のわたるが投げていた魔球となじ名前。

これがハブボールだ。昔、月刊少年ジャンプのわたるがぴゅんという漫画で、主人公のわたるが投げていた魔球となじ名前。

それもそのはずナツメや丁子(チョウジ)、枸杞子(クコシ)や甘草など13種類のハーブが入った南都酒造の「ハブ酒」に炭酸とシークヮーサー果汁を加えており、甘味と酸味のバランスも良くハブボールの旨みが体の隅々まで染み渡り、気のせいか健康ドリンクを飲んだような気分で何だか元気になったような気もした。

グビグビとハブボールを飲んで気分も良くなったが、それでもノドの渇きはおさまらないのでオリオンビアガーデン(オリオンビール株式会社ブース)へ向かう。ここで紹介するのがオリオンクラフトシリーズの第3弾の「琉球セッション(4.5度350ml)」。

このビールは麦芽とホップだけなのでコクがあり、沖縄の気候風土によく合っていてかなり旨い。

このビールは麦芽とホップだけなのでコクがあり、沖縄のよく合っていてかなり旨い。

これは試飲をやってないのでちゃんと買って、少し味わいながら評価をしたあと、グビグビと一気に飲み干す。このビールはセッションIPAタイプのもので、ビール本来の味わいと香り、いわゆる苦味と風味を残しながらアルコールを抑えており、ビール好きのためのビールだという。

確かに炎天下を歩いたボクにはこのビールのコクと旨みは心地よく、ゴクゴクと飲める旨さもあった。飲み終えたあと気づいたのだが、写真を撮るのを忘れていた。仕方なくもう一杯注文しようとしていたら、隣の席のオニーさんたちががボクのことを知っていたらしく、「いるも沖縄の食や文化のこと伝えてくれてありがとう」といってビールをおごってくれたのだ。名前を聞こうと思ったらそのうち教えるからといって自分たちのビールを飲み続けていた。

ビールを飲んで元気が出たボクは、さっそく、本来の目的である酒造所が集まる第2会場へ向かう。最初の酒造所は多良川(宮古島市)。ここのおすすめの商品を聞いて試飲。今回のおすすめ一品目は宮古島で17番目に見つかった原生酵母を使った「MY17 43度 375ml」。

宮古島の酵母を使った泡盛。新しい味わいがした。

宮古島の酵母を使った泡盛。新しい味わいがした。

この酵母は宮古島でサトウキビからバイオエタノールを製造する事業として、プラントを開発中に製糖工場の中で見つかったもだという。通常よりも2度ほど高い温度でも衰えない活発なアルコール発酵を行い、さらに泡盛の古酒独特な甘い香りの素になるバニリンの元「4VG」が通常の6倍!もあるという。

と言われて、ではではと試飲をしてみる。製糖工場で見つかったせいなのか口に含むと鼻腔いっぱいに甘い香りが漂い、甘い味わいが感じられる。今のままでも香りがいいので、古酒になるとさらに華やかな香りが開くのではないかと予感させた。

続いて産業まつり限定の商品の「樫樽貯蔵 琉球王朝 30度180ml」を試飲させてもらった。ひと言でいえば常温でも甘みが感じられ、口に含んだ瞬間に華やかな甘さと香りが口中に広がり、舌からノドにそして胃にスムーズに落ちていった。これはヤバイ。常温でもこんなに飲みやすかったら、ちょっと冷やすだけで180mlなんてあっという間に飲み干してしてしまいそうである。

琉球王朝の樽貯蔵。龍球王朝が旨い泡盛なので間違いはない。

琉球王朝の樽貯蔵。龍球王朝が旨い泡盛なので間違いはない。

旨い酒だったのでさらに試飲をお代わりしてそのコップを持ちながら次の酒造所に向かった。それがまさひろ酒造(糸満市)である。ここはまさひろ蔵まつりやいろいろなイベント会場で何度か会って知っている顔もあったのでしっかりとあいさつして、今回のおすすめの商品を聞いた。

それですすめられたのが黄金まさひろシリーズ第2弾の「まさひろLUNGE(ラウンジ)30度720ml」。一般酒だけどアメリカンホワイトオーク樽に3年近く貯蔵した原酒をブレンドしているので、味わいも深くお米の風味のあとに奥の方からバニラの風味が感じられるという。ストレートとオンザロックで試飲。ストレートは一般酒とは思えないほど甘く飲みやすい。コメの甘さと樽の風味が絶妙にマッチして、最後にバニラの風味が鼻へと抜けていった。ロックは泡盛と思えないほど上品な洋酒のような味わいだけど、最後に泡盛独特の風味が感じられ、洋酒が好きな泡盛ファンにはおすすめだ。11月から販売されるという。

まさひろのゴールドシリーズ。一般酒とは思えないほどの味わいだ。

まさひろのゴールドシリーズ。一般酒とは思えないほどの味わいだ。

続いて忠孝酒造(豊見城市)。ここも蔵まつりに行ったことがあるので、顔を覚えているスタッフが何人かいた。今回のおすすめは「秘蔵古酒十三年43度360ml」。産業まつりのための限定700本で、ステンレスタンクに13年貯蔵した100%古酒である。

忠孝古酒十三年。10年を超える古酒の旨さが実感できる。

忠孝古酒十三年。10年を超える古酒の旨さが実感できる。

さっそく試飲。43度とは思えないマイルドで甘く舌の上をすっと転がる軽さがあり、ノドから胃に入るとジワっと温かさが広がる。氷を入れるとさらに甘味がわかりやすいので、飲み方としてはロックがおすすめだという。もう一杯、試飲をして味を再確認。担当者と数分話していたが、ノドの奥から湧き出すように、古酒の華やかな香りがしてきて、飲んだあとの余韻がいつまでも続く心地よさがあった。忠孝酒造では11月19日(土)・20日(日)に「くぅーすの杜 忠孝蔵 秋祭り」があるので、そこでもまたこの酒があれば試飲をしようと思った。

それから、向かいの久米仙酒造(那覇市)へ。ここではとりあえず産業まつり限定商品だけど、これから本格的な商品化も考えているとう「KUMESEN 2001 premium 42度700ml」を試飲。2001年に樽貯蔵した県産泡盛の原酒70%と1996年内モンゴル産泡盛樽原酒30%ブレンドしたリキュールである。(泡盛100%だが、酒税法上、樽貯蔵による濃い色合いが濃すぎて泡盛と表記できないためリキュールとして販売している)。

どう見てもウィスキーにしか見えないけれど、その味わいはウィスキーを凌駕している。

どう見てもウィスキーにしか見えないけれど、その味わいはウィスキーを凌駕している。

見た目はウィスキーとほとんど変わらず、味わいはウィスキーの数倍も旨い。たぶん、いわゆるウィスキーのモルトに比べ、しっかりした味わいの泡盛がモルトになっているからだと思う。さらにその泡盛が熟成して古酒になることにより、酒そのものの旨さの変化に加えて、樽を介して熟成した旨さが加わっているからだと思った。

樽の風味と泡盛の風味がこんなにマッチするのかと思えるほどで、最近、「まっさん」の影響で日本製のウィスキーが人気だけど、この酒を飲めばウィスキーは雑味だらけに感じられるんじゃないのかなぁ、と思った(すみません。個人的な、しかもかなり偏った意見です。いわば泡盛を愛するあまりの身内びいきの評価だと思ってください)。そんなわけで、あまりにも美味しかったのでかなり多めに入れた試飲を担当者とユンタクしながら3杯ほど飲んだのだった。

さて、これからが問題だ。ボクはここに取り上げている商品以外も、各ブースで3~4種類以上試飲しているのでかなり足もとがふらついてきており、ろれつも回りにくくなりつつある。この後、しっかりと試飲が評価できるか怪しくなってきているのも自分でもわかってきている。それでも、これもお仕事なんだからと自分に言い聞かせながら、千鳥足で瑞穂酒造(那覇市)へ向かった。

少しいい気分のボクは、目が合ったスタッフにデヘヘと愛想笑いを浮かべながら、ペコペコと腰を低くしつつさりげなく試飲をねだる。すると玉那覇社長がたまたまいて、自らここのおすすめの「花酵母泡盛 ゆり酵母仕込 20度 600ml」を紹介したのである。

ゆり酵母の華やかな香しさは女性らしい味わいがする。

ゆり酵母の華やかな香しさは女性らしい味わいがする。

この酵母は伊江島の百合から見つかっており、軽やかで甘さが際立ち、泡盛らしからぬ華やかな香りがノドから鼻の奥へと抜けていく。20度という度数もこの香りを引き立てている。

花酵母だからその花の香りに似るということはないと聞いたけど、ゆり酵母は微かな米の香りを華やかにして百合に近い香りがして、マイルドな甘さと華やかな香りが女性向けに感じられた。

続いて「MIZUHO ISLAND SPIRITS 40度 720ml」。泡盛カクテルを意識して作ったというだけあって甘みがあり苦味を抑えている。また、泡盛の旨さを残しながらも香りを抑えているため、そのままで飲むよりもカクテルにすることで味わいが生きてくる泡盛だと思った。

カクテルとして飲んでみたかったスピリッツのような泡盛。数種類の原酒をブレンドして苦味を消して甘味を増したという。

カクテルとして飲んでみたかったスピリッツのような泡盛。数種類の原酒をブレンドして苦味を消して甘味を増したという。

と、なんだかんだとスタッフと泡盛談義をしているうちにページが(WEBなのでページはないけどね)少なくなった。WEBだとあまり長い文章は読むのも大変らしいので、今回はここで中休み。
中編へと続く。

2016年度産業まつり潜入レポート

沖縄産業まつり3日続けての試飲巡り“前編”はこちらより
沖縄産業まつり3日続けての試飲巡り“中編”はこちらより
沖縄産業まつり3日続けての試飲巡り“後編”はこちらより

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