祝!首里城正殿復興記念 泡盛古酒イベント in 東京

  • [公開・発行日] 2026/09/06
   

令和8年9月4日(金)、日本の酒情報館(東京都港区西新橋)で「祝!首里城正殿復興記念 泡盛古酒イベント in 東京」が開催された。(主催:日本酒造組合中央会)

9月4日の「古酒の日」に合わせ、報道関係者向けに行われたもので、今年11月に控える首里城正殿の復興を記念した催しだ。琉球王朝時代から受け継がれてきた古酒の文化や歴史、沖縄に伝わる熟成方法「仕次ぎ」を、東京から発信する場と位置づけられた。
この催しの開催は、今回で3回目となる。

+写真古酒の日_会場

「古酒の日」は、古酒の文化と魅力を広く伝えることを目的に、1999年に泡盛百年古酒元年実行委員会が制定した記念日。
会場の日本の酒情報館は、本格焼酎・泡盛、日本酒、本みりんの蔵元約1,600社が所属する日本酒造組合中央会が東京・虎ノ門で運営している。

会場には参加者とスタッフ、関係者を合わせて25名ほど。大手新聞社をはじめ業界誌の記者、ライターなどが参加した。一般募集は行われなかった。

受付でプログラムと試飲古酒の案内が書かれたプリントを受け取り席に着くと、テーブルにウェルカムドリンクとして菊之露の古酒を使ったオイリーなソーダ割りと、ゴーヤーとミミガーの和え物、黒糖と冬瓜漬、そして2つのちぶぐゎー(小さな盃)が用意されていた。

日本酒造組合中央会理事の挨拶で開会。泡盛はその強いフレーバーからカクテルの素材としても注目を集めており、海外での認知度が高まっていることが紹介された。

続いて、この4月に着任した日本の酒情報館の芦川達也館長が、地理的表示「GI琉球泡盛」と、この日の試飲銘柄、そして首里城正殿の復興を記念して造られた泡盛について紹介した。

+写真古酒の日_館長

ゲストとして登壇したのは、泡盛コンシェルジュで「比嘉邸」店主の比嘉康二さん。このイベントへの登壇は、一昨年に続いて2度目となる。

比嘉さんは、泡盛の歴史を沖縄戦の前と後で切り分けた。戦前の泡盛は国が管理する「ロイヤルスピリッツ」で、特別な時に振る舞うもてなしの酒。それが戦争で断ち切られ、戦後は「ローカルスピリッツ」としてリスタートし、多様化していったという。

+写真古酒の日_比嘉さん

テイスティングの一杯目は、かねやま20年(山川酒造・本部町)。比嘉さんがカラカラを手に客席を回り、一人ひとりに直接注いだ。20年の古酒は、芳醇でありながら透明感があった。

二杯目は、比嘉さんが自宅から持参した秘蔵古酒。沖縄の先輩から譲り受けた、200年から300年前の荒焼の甕で50年ほど寝ていた酒が半分以上を占める。甕の個性が出すぎるため、メーカーの10年ものを混ぜているという。甕由来のミネラル感と、梅酒を思わせる甘さが特徴的だった。

自由試飲に供されたのは、先に振る舞われたかねやま20年に加え、おもろ15年(瑞泉酒造・那覇市)、久米仙12年(久米島の久米仙・久米島町)、海乃邦10年(沖縄県酒造協同組合・那覇市)、珊瑚の森7年(瑞穂酒造・那覇市)、玉友 甕仕込み5年古酒(石川酒造場・西原町)の6種類。20年から5年まで、熟成年数がグラデーションで揃えられた。

+写真古酒の日_6種

後半は、古酒を育てる「仕次ぎ」のセレモニー。仕次ぎとは、飲んで減った分だけ、より若い酒を注ぎ足して甕を満たしていく手法。一番甕、二番甕、三番甕と順に継ぎ足すことで、甕の酒は減ったり劣化したりすることなく、美味しい古酒に育っていく。

比嘉さんは、泡盛は飲む酒であると同時に「育てる酒」だと語る。自身も披露宴で空の甕を置いて友人や親族に注いでもらい、実家に据えて年に一度味を見ているという。

「世界中のアルコールの中で、泡盛にしかできないのが、自分たちで育てることだと思うんですね」(比嘉さん)

この日は、比嘉さんが持参した秘蔵古酒を親酒(ウヒャー)として一番甕が仕立てられ、続いて参加者が代わる代わる前に出て、試飲用の6種類を注ぎ足していった。この甕は日本の酒情報館で展示され、熟成していく過程と仕次ぎ文化を来館者にも伝えていく予定だという。

+写真古酒の日_仕次ぎ

会場にはこのほか、首里城の復興を記念して造られた「瑞泉 首里昇龍古酒」(瑞泉酒造)と、那覇市内の7酒造所(久米仙酒造、瑞穂酒造、宮里酒造所、津波古酒造、瑞泉酒造、識名酒造、沖縄県酒造協同組合)が共同開発した沖縄県内限定発売の「那覇七蔵之古酒」も展示された。

+写真古酒の日_展示

最後は、質疑応答と交流会。2032年に終わる泡盛の酒税軽減措置を踏まえ、古酒で価値を引き上げる動きはあるのかという質問や、瓶のまま置いた泡盛は熟成するのかという問いが出た。後者には、中身が悪くなることはないものの、キャップが先に劣化する場合があるという答えが返った。

参加者の一人、「琉球泡盛文化の会」会長の藤田千恵子さんは、比嘉さんが自ら育てた古酒を惜しげもなく振る舞ったことに感じ入ったという。
「泡盛の言葉で一番好きなのが『仕次ぎ』なんです。仕事は『仕える』と書きます。仕次ぎは『次の人のために仕える』ことだと、私は勝手に解釈しています。自分が飲んだ分を足して、次の人たちが飲む機会に備える。それを今日、自分でさせてもらえたことに感謝しています」

地域と酒を紹介するメディア「まちとさけ」の立ち上げ準備中という関友美さんは、「泡盛は、日本の酒というより『琉球王国の酒』で、また別のジャンルなんだなと改めて思いました。タイ米を使っていますし、伝来もはっきりしない。異国情緒とまでは言いませんが、違う文化と一緒にある酒だということを強く感じます」と話した。

+写真古酒の日_参加者

このイベントを企画した、酒のPRとプロデュースを手がける児島麻理子さんは「今年は首里城が復興するということで、長く守られてきた歴史を改めて見直したいねと。沖縄の仕次ぎ文化を伝えることで、長く愛されてきた泡盛というメッセージが伝わるのではないかと考えて、比嘉さんと相談してこういう会にしました。こうやって古酒を作っていきましょうというメッセージを、平和へのメッセージとして入れさせてもらいました」と、コンセプトを語ってくれた。

日本の酒情報館では、9月7日(月)から11月20日(金)まで、この日の6種類のうち3種類を「3種飲み比べセット」として提供する。在庫がなくなり次第終了となる。

(文・写/岡山進矢東京支部長)

 

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