新しくて面白い酒「PRISMA(プリズマ)」登場!(八重泉酒造)文・岡山進矢東京支部長
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[公開・発行日] 2021/10/07
[ 最終更新日 ] 2021/11/22 - 飲む
「このお酒は、高級品じゃなくて、面白い品。」私がこのお酒を人に紹介するときに、使っているお決まりの台詞だ。
令和3年9月20日(月)、八重泉酒造(石垣市、座喜味盛行代表)からスパニッシュ・オーク樽を使用した樽貯蔵酒「PRISMA(プリズマ)」が発売された。
これまでフレンチ・オーク、アメリカン・オークの樽貯蔵商品で好評を博している同社だが、スパニッシュ・オークの使用は初めて。恐らく泡盛業界全体としても初の試みとなる。
スパニッシュ・オーク樽の特徴としては味や香り、そして色が酒に移りやすく、甘く濃厚な味わいになる傾向が強い。
温暖な石垣島ではそのスピードが顕著なため、PRISMAの樽貯蔵期間は約1年と短い。つまりベースとなる泡盛は「新酒」の状態での商品化となる。そんな濃い樽感と若い泡盛のマッチングが、この商品を”面白く”している所以だ。
PRISMAのラベルデザイン、そしてネーミングやプロモーションを含めたディレクションを担当したのは、私(筆者)である。私のキャリアの中心はデザイナーで、そういった意味では、本業として今回の新商品に関わらせていただいた。
座喜味社長から直々に商品デザインのご相談をいただきつつ、商品サンプルを試飲した際、器の形や注いでからの時間、温度、口への含み方などの様々なファクターで味と香りがきれいに変化することに驚いた。目の前で虹のように様々なカラー(個性)を出現させるお酒なのだ。それはまるでスパニッシュ・オークによる泡盛のプリズム。スペイン語ならプリズマである。
スパニッシュ・オーク由来のバニラ香やドライフルーツのような甘味、ナッツのような香ばしさは、古酒のそれを想起させる。そこにぶつかる新酒のキレの良いアルコール感は、スパイシーな印象。この酒は熟成しているのかしていないのか、脳が判断を迷っている間にも目まぐるしく表情を変え続け、つかみどころを見失ってしまう。
新感覚、まさに”面白い”酒だ。
古酒に育てる以外の泡盛の価値の再発見とも言える。業界でもこのところ熟成を着地点としない、新たな価値観を持つ商品が増えた様に思う。3回蒸留の”尚”。食事との相性を突き詰めた季節泡盛。遡ると減圧蒸留やマイルドタイプの商品もそうだろう。そして、この”PRISMA”。
600年の歴史を誇る泡盛にも、まだまだ新しい価値が生まれ出る。
ぜひ、みなさんも、泡盛文化の成熟と新たな可能性を、新しくて面白い酒”PRISMA”で体験していただきたい!
(文・写真/岡山進矢東京支部長)
PRISMA (プリズマ)
度数:40度
内容量:300ml
価格:3,740円(税込)
販売先:八重泉酒造公式サイト、八重泉酒造工場ショップ限定
公式サイト : https://yaesen.com/
※色規定により、リキュールとして発売