古酒名人10名に感謝状贈呈(沖縄国税事務所他)
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[公開・発行日] 2018/04/28
[ 最終更新日 ] 2018/05/30 - 飲む
平成30年4月25日(水)、沖縄国税事務所、沖縄県工業技術センター、沖縄県酒造協同組合、沖縄県卸売酒販組合連合会、沖縄県小売酒販組合連合会、山原島酒之会、琉球泡盛倶楽部は、沖縄県県立博物館・美術館講堂にて、泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクールにおいて品質優秀な仕次古酒・秘蔵酒を出品した10名に対し感謝状及び記念品を贈呈した。
泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクールは、泡盛の伝統的な品質管理法である仕次ぎについて、品質評価や理化学分析を通して、仕次技術の向上をはかると共に、仕次方法の継承者を育てることを目的に、平成30年2月27日(火)及び28日(水)に、沖縄国税事務所にて19名の専門家により品質評価会が開催された。
「伝統仕次ぎの部」「フリースタイル仕次ぎの部」「秘蔵酒の部」の三部門に計91名より128点の古酒が出品され、今回感謝状が贈呈されたのは、そのうちの10名。
各部門の、感謝状・記念品被贈呈者は以下のとおりとなっている。
伝統仕次ぎの部
安次富孝子さん(名護市)
呉屋申さん(名護市)
新屋敷彦二さん(那覇市)
高木泰さん(北谷町)
フリースタイル仕次ぎの
伊佐常成さん(名護市)
田原カオルさん(読谷村)
友寄景淳さん(南城市)
比嘉良勝さん(本部町)
秘蔵酒の部
上地康雄さん(那覇市)
藤田真弓さん(栃木県宇都宮市)
審査員を代表し、沖縄国税事務所小濱元主任鑑定官は次のように審査報告を行った。
泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクール感謝状贈呈式審査報告(小濱元主任鑑定官)
泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクールの感謝状贈呈式に当たり、審査の概要をご報告申し上げます。本コンクールの品質評価は、去る2月27日、28日の 2日間、沖縄国税事務所において実施しました。
品質評価は、国立大学法人琉球大学、泡盛製造者、独立行政法人酒類総合研究所、国税局、沖縄国税事務所鑑定官、沖縄県工業技術センター研究員など、合計十九名で行いました。
本年度は、伝統仕次ぎの部に23名から26点、フリースタイル仕次ぎの部に46名から51点、秘蔵酒の部に41名から51点、全体で91名から128点の出品がありました。
品質評価の方法は、総合品質、香り、味及び「ちぶぐゎー(おちょこ)」からの残香を五点法で採点するとともに、仕次古酒の設計や貯蔵方法の改善に活用できるよう「泡盛フレーバーホイール」を活用した「バニラ」「カラメル様」「カメ」「甘味」「刺激感」「オイリー」について、線尺度評価も実施いたしました。
なお、品質評価員に対しては、仕次古酒及び秘蔵酒としてふさわしい品格を有するものを選定することはもとより「泡盛が有している個性」「古酒香」及び「味のなめらかさ」について、より積極的に評価するようお願いしました。
今回の品質評価結果に基づき、特に品質優秀な仕次古酒を出品された8名の方々を選定し、沖縄県酒造組合会長及び沖縄県小売酒販組合連合会会長から感謝状および記念品を贈呈することとしております。
また、特に品質優秀な秘蔵酒を出品された2名の方々には、沖縄県卸売酒販組合連合会会長から記念品を贈呈することとしております。
続きまして、本年の出品酒の品質について、品質評価員の講評を取りまとめたところをご報告申し上げます。
伝統仕次ぎの部については、適度な「カメ」の香りが香味の複雑性を付与するとともに、「カラメル様」や「バニラ」の香りも高く、「刺激感」のないなめらかなものが多く、長年ご自宅で丁寧に仕次ぎをされた成果が表れていると感じました。
フリースタイル仕次ぎの部については、個性豊かな香味のものが多く、「カメ」の香味がしっかりと表れていると感じました。
秘蔵酒の部については、「カラメル様」の香りのする、甕で秘蔵されたものと、まだ若々しさを感じさせる香味も持つが、品質の安定した瓶貯蔵のものがありました。
これらの仕次古酒及び秘蔵酒は、ご自宅等で大事に仕次ぎまたは秘蔵されてきた情熱と努力を感じさせる、風格のあるレベルの高い出品酒が数多く見られました。
審査結果は以上のとおりですが、沖縄の文化である仕次古酒及び秘蔵酒として、沖縄県民の期待を十分満足させうる、高い品質の泡盛が多数を占めていました。
今回、感謝状もしくは記念品贈呈の対象となられた皆様には、心よりお喜びを申し上げます。
また、感謝状の贈呈を逸した出品者の皆様につきましても、その品質の差は僅差で、大いに評価されるべきものでありました。
さて、泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクールは、仕次方法の実態及び仕次古酒の品質を把握し、「仕次ぎ」の文化的価値を再認識すると共に、経験的・科学的に有効な仕次方法の普及を推進するために、本年初めて実施しました。
出品者の皆様には、今回の品質評価結果をレーダーチャートの形でお返ししますので、各人の仕次ぎや貯蔵の技術を確認していただき、今後の技術・技能の一層の向上の参考として、国内外の泡盛愛好家らから高い支持を得られる仕次古酒・秘蔵酒の育成につなげていただけるようお願い申し上げます。
泡盛は黒麹菌を使用し、原料である米を全て麹にし、単式蒸留により得られた原酒を貯蔵・熟成させることを基本とする固有の製造方法をもった、世界に誇る沖縄県の銘酒です。
これに仕次ぎという伝統的かつ特徴的な品質管理方法が加わる時、沖縄県の文化及び産業を代表する泡盛が、国内はもとより広く海外においても愛飲され、今後ともますます成長・発展することを祈念いたしまして、審査報告とさせていただきます。
平成30年4月25日沖縄国税事務所主任鑑定官小濱元(以上)。
また、主催者を代表し、沖縄国税事務所脇本利紀所長は、次のように挨拶した。
泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクール感謝状贈呈式 沖縄国税事務所長式辞(脇本利紀沖縄国税事務所長)
本日ここに、ご来賓各位をお迎えして、「泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクール感謝状贈呈式」を挙行するに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
本コンクールは、『沖縄県の伝統的銘酒「泡盛」の「仕次ぎ」について、品質評価及び理化学分析を通じて酒造技術基盤強化・酒造技術の発展を促し、品質の向上を図るとともに消費者の利便に供し、併せて沖縄県の伝統的な泡盛の熟成技法である仕次方法の継承に資すること』を目的として、本年、第一回ということで初めて開催いたしました。
これは、主に泡盛愛好家が行っている仕次方法を調査研究し、これから仕次ぎを始めようとする方々はもちろん、泡盛メーカーにも参考としていただくことをねらったものでありますが、さらには、泡盛の古酒香といわれている白梅、熟れたほおずきや雄ヤギの香りの解明にもつなげていきたいということで、実施しているものであります。
共催していただいた、沖縄県工業技術センター、沖縄県酒造組合、沖縄県卸売酒販組合連合会、沖縄県小売酒販組合連合会、山原島酒之会及び琉球泡盛倶楽部におかれましては、ご多用のところ、本コンクールの開催にご協力いただき誠にありがとうございました。
さて、今回のコンクールには、91名の方々から128点の出品がありました。その中から、特に品質優秀な仕次古酒を出品された8名の方々に対し、生販三層の会長から感謝状及び記念品を贈呈させていただきました。
また、特に品質優秀な秘蔵酒を出品された2名の方々には、記念品を贈呈させていただきました。
感謝状及び記念品を贈呈された皆様におかれましては、情熱と努力を持って大事に育てられていることに敬意を表すとともに、心よりお祝いを申し上げます。
これらのご自宅で大事に仕次ぎまたは秘蔵されてきた泡盛の最高峰とも言える古酒(クース)につきましては、独立行政法人酒類総合研究所や沖縄県工業技術センターのご協力のもと、今後、理化学分析が実施されます。
さらには、「泡盛フレーバーホイール」を活用した尺度評価も実施いたしましたので、後日、出品者の皆様にわかりやすい形で酒質をご報告できる予定です。
今回、本コンクールの出品酒について、理化学分析及び品質評価をすることによって、新たに得られた知見がございます。
これらをとりまとめた結果につきましては、この後の仕次講演会において、主任鑑定官からご報告いたしますので、聴講していただけるようお願いします。
今回のコンクールがひとつのきっかけとなって、沖縄県民はもちろんのこと、県外?海外の消費者に対しても仕次ぎが普及して、泡盛業界の明るい将来展望が開けることを期待しております。酒類産業行政を所管する私どもといたしましても、今後の泡盛業界の主体的な取り組みに期待するとともに、政府一丸となって取り組んでいきたいと考えております。
結びに当たり、ご多用のところ、本日ご臨席を賜りましたご来賓の琉球大学名誉教授の安田先生に厚く御礼申し上げますとともに、ご列席の皆様方のご健勝とご発展を祈念いたしまして、式辞とさせていただきます。
平成30年4月25日沖縄国税事務所長脇本利紀(以上)。
なお、感謝状贈呈式に引き続いて開催された仕次講習会の様子は、後報にてお知らせする。
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