琉球泡盛出荷量、前年比5.7%減の1万1733キロリットル。生産量は3年ぶり増も、半数超の酒造所が赤字
- [公開・発行日] 2026/04/23
- 飲む
令和8年4月22日、沖縄県酒造組合(佐久本学会長)は令和7年(1月から12月)の琉球泡盛の移出(出荷)数量が前年比5.7%減の1万1733キロリットルだったと発表した。
新型コロナウイルス感染症拡大前の令和元年(1万6009キロリットル)と比較すると73.3%の水準にとどまっており「回復道半ば」「逓減傾向へ」と危機感を募らせた。
地域別の出荷量では、全体の約8割を占める県内向けが6.9%減、県外向けが0.9%減となった。
減少の主な要因としては、若者の飲酒離れや飲み方の多様化が挙げられている。
「沖縄県産酒類に係る酒税の特例措置」の段階的縮減(増税)も影を落とす。令和6年5月にスタートした第1回目の縮減に伴い、駆け込み需要による一時的な出荷量の増加は見られたものの、その後は一度も前年同期を上回ることなく推移した。段階的廃止に伴う価格転嫁(値上げ)の影響により、買い控えも懸念され、今後も影響が注視される。
また、令和6年12月に泡盛を含む「日本の伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを契機に、マスコミ報道やイベントの実施などが行われたが、具体的な「需要回復」には結びつかなかった。
一方で、令和7年の製成(生産)数量は1万2451キロリットルで前年比6.0%増となり、3年ぶりに前年を上回った。これは各酒造所による在庫調整が進んだことが要因とみられている。
■ 輸出は苦戦も、リキュール類の海外展開に活路
海外への輸出数量は、前年比21.7%減の36キロリットルと全体的に苦戦を強いられた。国別に見ると、トップのアメリカが8800リットル(前年8000リットル)、2位の台湾が8700リットル(前年2400リットル)と増加したものの、全体を牽引するには至らなかった。また、輸出量が激減した影響を受け、45度を超える「原料用アルコール」の出荷量も32.4キロリットル(同32.4%減)と大幅に落ち込んでいる。
その中で明るい兆しを見せているのがリキュール類だ。リキュールの出荷量は国内向けこそ微減したものの、海外向けが49.2キロリットル(同29.8%増)と大幅に伸長し、全体で495キロリットル(同2.1%増)とプラス成長を確保した。
■ 厳しい経営状況、全44社中23社が赤字
令和7年の事業年度において、営業損失(赤字)を計上した酒造所は半数を超える23社に上った。営業利益が1千万円を超えたのは5社にとどまり、前年から1社減少している。
泡盛製造業全44社の営業利益合計もマイナス2億8200万円となり、昨年に引き続き厳しい赤字決算となった。
一方、黒字化や増益を果たした酒造所も見られる。その主な要因として、飲みやすさを追求した新商品の投入や多酒類化への取り組みに加え、酒税軽減措置の段階的縮減に伴って価格転嫁(値上げ)が進んだことが推測されている。
■ 「イメージ払拭」と「泡盛ツーリズム」
令和8年5月15日には酒税特例措置の第2回目となる縮減が実施される予定であり、令和14年の完全廃止に向けて業界は正念場を迎えている。
佐久本学会長は、「本年は首里城正殿の完成を控え、インバウンドの増加も見込まれる。沖縄に伝統的な蒸留酒があることを発信する良い機会」と前向きな姿勢を見せ「インバウンド(訪日客)向けに泡盛ツーリズムを磨き上げる」と意気込みを語った。そのための酒造組合公認の泡盛ガイドの育成にも力を入れる。
さらに、若年層を中心に根強い「きつい(度数が強い)」といったマイナスイメージを払拭するため、醸造酒とは違う蒸留酒の飲み方をレクチャーしたり、炭酸割りなどの新しい飲み方を提案し、消費者視点に立った需要拡大策に総力を挙げて取り組むとしている。
加えて「あそび心、盛りだくさん」というスローガンのもと、Instagram等のSNSを活用した情報発信や、県内外での飲食店イベントを強化していく方針だ。
厳しい経済環境の中、沖縄の地場産業としての社会的責任を果たすべく、泡盛業界の変革と試行錯誤が続く。

























