新春酔虎談 新聞記者 徳田安周(昭和47年1月30日)

  • [公開・発行日] 1972/01/30
    [ 最終更新日 ] 2016/05/17
   

1972_1_30_new-year-drunk-lectureナンミンの“除夜の鐘”で1971年の嫌なこと、悲しいこと、腹の立つことは全部洗い流して、1972年の子(ね)年の開運を祈るというのが庶民の繰り返す正月行事であろう。

嘉津宇岳や多野岳へバスの貸し切りで日の出観光に行くのもよし。波上宮の拝殿でかしわ手を打って、お賽銭をフンパツして、今年のゴリヤクを願うのもよし。「寝正月だよ」と、布団の中で不貞腐れるのもよし。あっさり台湾観光としゃれて、彼の国の美女と“巫山(ふざん)の夢”を結ぶのもよし。九州の屋根、霧島温泉でヤマト芸者と一献傾けて、屠蘇(とそ)に酔い痴れるよのもよし。遠くハワイまで足をのばして、フラダンスに興ずるなど、とにかく各人格様の越年風景があるわけである。

それにつけても気になるのは、酒の飲み方、酔いっぷりである。クリスマスから歳末、さらに新春にかけての無数の大トラ小トラどもの酔態を見るにつけ、人の振り見て我が振り直せ、の金言を思い出して年頭の戒めとしたい。

からみ酒

同じことをくどくどと何度も言う。「ハイ、ハイ、よくわかりました。」といっても「ヤシガヤー、イャーヤヤー」とくる。こんときは三十六計逃ぐるにしかずだ。

泣き上戸

「キミ、誤解しないでくれ。ボクはね、ほんとうにすまんとおもっているよ。」熟柿くさい息が、これでもか、これでもか、と迫ってくる。ワッサイビーサ!

デモ上戸

デモンストレーション型わしゃね、ゼッタイ許さんから。うん。くそッ、なんだ!あいつ!

中傷酒

屋良主席?あんなのくだらん。やめろやめろ。ニクソン?ぜん然だめ!どうなっているんだろう、と我が家でお雑煮つくって待っている古女房を思い出し、帰巣本能に従ってバイバイした方が、世のため、人のためになる。

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