長く、きびしかった夏も漸く峠を越した感じであるが、まだ、残暑は当分続きそうである。中秋の名月からは大分涼しいミーニシも吹くことだろう。
そこで、観月会であるが、ちまたではもう月なんてのは古い、あれの中にはアメリカの足跡が残されており、国旗も立てられているから、あれはアメリカの月だ、これまでの神秘性がうすらいだ。だから観るに値しない等、科学的な意見も多い。
しかし、「つきや昔からかわたくとねさみ、かわるむねや人ぬ心」ではなくてもたとえ宇宙が時代とともに移り変って行こうとも、人情まで変ってしまってはなるまい。まあ、ここでは七面倒な理屈はよそう。
今日一日中を精一杯働いて無事我家へ帰って来たのだ。此の喜び、此の生きている喜びをしみじみと味わうひととき、語り合うぢゃないですか。君と僕、男性の酒、此の銘酒“泡盛”を飲みながら・・・
高々に歌おうぢゃないか。そして復帰維新を論じ合おうぢゃないか。泡盛の杯をかたむけながら・・・
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