名月をめでて汲み交わす令宵~銘酒と共に~(昭和44年9月1日)

  • [公開・発行日] 1969/09/01
    [ 最終更新日 ] 2015/11/18
   

長く、きびしかった夏も漸く峠を越した感じであるが、まだ、残暑は当分続きそうである。中秋の名月からは大分涼しいミーニシも吹くことだろう。

1969_9_1_jyoukai-newspaper_i-love-harvest-moon-and-drink-awamori-together-eveningそこで、観月会であるが、ちまたではもう月なんてのは古い、あれの中にはアメリカの足跡が残されており、国旗も立てられているから、あれはアメリカの月だ、これまでの神秘性がうすらいだ。だから観るに値しない等、科学的な意見も多い。

しかし、「つきや昔からかわたくとねさみ、かわるむねや人ぬ心」ではなくてもたとえ宇宙が時代とともに移り変って行こうとも、人情まで変ってしまってはなるまい。まあ、ここでは七面倒な理屈はよそう。

今日一日中を精一杯働いて無事我家へ帰って来たのだ。此の喜び、此の生きている喜びをしみじみと味わうひととき、語り合うぢゃないですか。君と僕、男性の酒、此の銘酒“泡盛”を飲みながら・・・

高々に歌おうぢゃないか。そして復帰維新を論じ合おうぢゃないか。泡盛の杯をかたむけながら・・・

「夜光る玉といふとも酒飲みて情を遣るにあにしかめやも」
「賢しみと物いうよりは酒飲みて酔い哭きするしまさりたるらし」
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