脱税防止協力会発足~企業の合理化と育成を~(昭和44年5月17日)
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[公開・発行日] 1969/05/17
[ 最終更新日 ] 2015/11/16 - 泡盛検定
主税局税関部がこのほどまとめた資料によると、1969年度(1968年7月~1969年4月末現在)の脱税摘発件数は、酒類52件、脱税数量は各種ビン詰5,470本(3,892.15リツトル)。煙草類82件、脱税数量6,883個(137,666本)となっている。
これまでに脱税品の取り締まりは、主税局税関部が沖縄に出入域する旅客の旅具検査によって摘発される程度で、琉球政府としても組織的に脱税防止、取り締まりを実施たことはない。そのため、米軍施設内のPXなどから流れてくる脱税品に対する取り締まりはほとんどなされておらず、野放し状態であった。
島内の酒、煙草類製造、輸入販売業者は、これまで脱税品に市場を荒らされ企業自体も伸び悩みを余儀なくされてきたのは事実のようだ。1969年度の脱税検挙数は、沖縄内の脱税量がいかに大規模であるかを暗示するもので、摘発され表面化しているのはまさに氷山の一角にすぎない。
ではいったい全琉消費量の何割がこれらの脱税品で占めているのだろうか、もちろんこれを的確につかむことはできないが、本土の1人当り消費量と消費伸び率、生産量と比較対象すると大まかな数字が把握できる。
消費量から見ると、本土の場合人口1%増加に対し「たばこ消費量」平均6%とほぼ一定した伸び率を示しているが、沖縄の場合は、人口1.2%増加に対して消費量の伸び率は不規則であり、2~3%という低率を示している。
特に1969年度次は、この伸び率は下降傾向をたどっている。これについて主税局では「軍基地内からの脱税品の横流れが大口化の傾向がある」とみている。
すなわち、煙草の場合でみると、日本平均消費量の75%であり、沖縄も全国平均の煙草消費量とするなら約25%が脱税品であると判断され、年間脱税額は約100万ドルにのぼるものとみている。いっぽう、酒類も同様に算出すると全消費量の18.6%で、金額にして約80万ドルの脱税額にのぼっている。
ところで、これらの脱税品について製造、輸入販売業者にいわせると、事態はなお悪く、酒類の場合、特にウイスキーは全琉消費量の40%位が脱税品、煙草にしても30%が脱税品である、という。このような脱税品の横行を阻止し、企業の合理化、保護育成を図るいっぽう、政府税収を確保するためにも速やかに防止、取り締まり強化の措置は当然と言えよう。
去る5月2日に発足した「脱税防止協力会(宮城仁四郎会長)」は、取り締まり当局である主税局、警察局とタイアップして民間6団体、35会社が加盟し、脱税品に関する情報交換などで脱税品追放に協力しようという狙いで活動を開始している。
なお、同協力会の役員は次の通り。
△会長、宮城仁四郎氏(琉球煙草社長)
△副会長冨永寛二氏(オリオンビール社長)
△理事、古堅克也氏(オリエンタル煙草社長)
池宮城幸興(沖縄煙草社長)
宮島健次(国際物産専務)
川田潤(クラウン商事社長)
松田重吉(国場組商事部社長)
大城信男(国際物産営業部長)
山田弘(オリオンビール営業部長)
新里清篤(沖縄社交商事社長)
仲本維秀(沖貿専務)
作久本商哉(ゴールデンウイスキー専務)
諸見里清(諸見里酒造専務)
△幹事・玉城隆(たかし商店社長)
佐久本政良(沖縄二ツカウイスキー社長)