【特別寄稿】古い酒を新しい器に 後編(昭和47年1月30日)

  • [公開・発行日] 1972/01/30
    [ 最終更新日 ] 2016/05/23
   

国税庁醸造試験所第四研究室長
農学博士 菅間誠之助

1972_1_30_special-contribution_put-the-old-awamori-in-a-new-vessel_sequelそうなればレモン水やコーラを飲んでいる夜のホステスも泡盛党になる可能性もあろうというものである。

沖縄にあった20日あまりの間に本島、宮古、八重山の製造場をまわり、業者の方々の品質向上に対する熱意を肌で感じたが、製造の合理化を急ぐあまり、泡盛古来の製造法本来の姿を変えてしまうようなことがありはしないかという恐れを感ずるものである。

いわゆる本格焼酎は清酒とことなり、原料のもつ特徴、製造法上の特異点がそれぞれの地方に保存されているが故に、互いに共存共栄している。しかし例えば南九州の地場市場は既に飽和しており、今後の焼酎の伸びは産地外の潜在市場の開拓のいかんにかかっている。

このようなときに、泡盛が本来の姿をかえ、一般米製焼酎になってしまうなら、地場市場への南九州からの攻勢を避けきれるものではない。

もし現在よく売れている酒が麹に蒸米をかけた人吉タイプのもの、あるいはさらに砂糖をかけた奄美の黒糖タイプのものであったとすれば、このタイプのものに本来の泡盛を少しづつブレンドして行き、数年後は消費者の嗜好を100%泡盛に慣れさせることが外来酒を防ぐための唯一の手段ではなかろうか。

フランスには約150万のブドウ製造業者がいるが、それぞれの地方でブドウ畑の地質条件、栽培面積、ブドウの品種、枝の剪定等の栽培方法、収穫時期、ブドウ酒醸造方法を規定し、それに反するものは例えばボルドウでつくったブドウ酒でもボルドウとラベルに謳うことが許されないようになっている。

フランスほどでないまでも、その土地の特産物である製品の製造法を規定し、品質上の保証を将来酒造組合連合会が自主的に行うまでに発展されることを望むものである。

南九州の球磨焼酎では、米以外の原料(イモ等)を副原料に混ぜたものには「米製」という組合の保証ラベルが貼れないようになっている。

本土復帰を前にして、泡盛業界の発展を期するために狭い地場市場内での過去の恩讐を超え、全島一致し、南国特有の粘り強さと激しい気性を持って沖縄外の新しい市場へと進出されんことを心から望むものである。

沖縄を離れる前夜に記す。

 

菅間誠之助 特別寄稿

古い酒を新しい器に 前編
古い酒を新しい器に 後編

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