我が琉球泡盛の今年の展望として県外も県内にあっても飛躍する年となる。であろうと前号で書いた。確かにそのように推移していくと私は思っている。が、しかし5年先々を考える時、我が泡盛は決して安泰であるという保証はない。
今年は沖縄が本土へ施政権が返還されて30年になる大きな節目の年である。復帰の年から沖縄には特別な措置が講ぜられてきた。その中には県産酒類も含まれてきている。5年置きの特措置はその間は酒税の軽減によって家業や企業の足腰をしっかり丈夫にさせよう、という政府の『温情』であったといえるであろう。
その何度目かの再々延長の大要請団が昨年12月14日に上京した。その結果政府自民党の税制調査会では今の段階でOKしているが、政府の税制大綱が1月末あたりに開かれるようで、そこで決まるとわが琉球泡盛は5月15日から向こう5カ年間は65%、つまり35%の酒税の軽減措置が講ぜられることになる。〔県酒連の饒平名卓専務の話〕
さて、問題はその5年以後のことである。自民党の大物政治家はこれ以上の延長はない、と明言している。ボールは沖縄側にある。今度それを返してくれるのは沖縄だということである。
我が琉球泡盛も5年後からは全国の焼酎乙類たちと同じ土俵で取り組むことになる。手許にある資料〔詳細は小紙第133号掲載予定〕によると九州各県の焼酎乙類製造場数は鹿児島県の102場に次いで沖縄の泡盛製造場数は46場1共同組合で2位となっている。
平成8年から12年までの各県の移出数量は佐賀県以外はみな伸びてきている。特に大分県は32場〔内専業4場〕で平成12年の総移出数量が111、727、6klで群を抜いている。
ご存じの焼酎である。大分県の人口をみると〔沖縄県企画開発部統計課の平成12年10月1日現在の資料〕1221、140人と沖縄県の1318、220人よりも少ない。場数も人口も少ない大分県がその移出数量に於いて鹿児島県や宮崎県の7万kl台を大きく引き離しているのである。
ひるがえってわが琉球泡盛の平成12年の総移出数量は21、976kl〔県酒連調べ〕である。この約6倍に迫る勢いは何を物語っているのであろうか。それでも今のところはわが
しかし、今琉球泡盛はサンシングヮーをひいている時では決してない。向こう5年の間になすべき課題は多い筈だ。過去に泡盛業界は協業化に向けての話は幾度かあったが1度も実現したことはない。
46場1共同組合で年間2万Kl台という数量は多いのか少ないのかは置くとして、向こう5ヵ年の内に業界自らが知恵のありったけを振り絞って太刀向かっていく姿勢を見せるべき時である。
「メーカー数が多過ぎる」、「協業化に向けて真剣に考えるべきだ」等々巷での雑音も聞こえてくる。ひどい指摘の中には「5年後には3分に1位いしか生き残れないのではないか」もある。
いずれも我が琉球泡盛を心から愛し育てていこうという熱烈な消費者達の声である。投げられたボールの中身を首を長くして待っているのはひとり大政治家だけではない。琉球泡盛は単に造る人々だけの私物ではない。130万県民の共有の財産だという認識に立って5年間にすばらしい秘策をキチンと練って、中央政府に堂々とぶっつかって欲しい。年代もののクースを飲めば必ずいい知恵が湧いてくる、と私は確信しているのであるが…。
2002年3月号掲載