右を向いても左を見ても真暗闇でござんす。うたの文句じゃないけれども、とにかく今の世の中は暮らしにくい。例えばワンマンカーなるバスに乗って、うかつに間違えて料金箱にお金を入れておつりを請求しようものなら、「君ィ、バスに乗ったことがないのか」とどやされる。
食堂に入ってみろ!ブスッとしてお茶を出す、帰り際に「ありがとうございました」と云ってくれる給仕は1人だっていやしない。それどころ“次からは来ないでもいいよ”てな顔つきである。
雑貨店でタバコを買っても機械的でごく当たり前みたいな態度である。高熱の我が子を病院に連れてって、あまりのスローモーな病院側にイライラして、親たるもの我が子の苦しそうな顔を見て1秒が1時間にも感じ、居ても立っても居られず、ついに看護婦をつかまえて、「早く何とかならぬか」と話をすると、「病人はあんた1人ではないですよ」とくる。
タクシーに乗る、どこそこまでと告げると無言のまま発車、明日は雨かな等と語りかけてもウンともスンともない。“俺が知ったことか”と云わんばかりの顔つきである。降りる時、乗ったお客さんの方が“ありがとうございました”と頭を下げるに及んではもはやすくい難い。
空港窓口にしてもそうだ。宮古島空港にしろ、石垣空港にしても、勿論、那覇空港もだが、乗せてやるんだと云わんばかりの態度や、特に両先島の空港窓口はひどい。早急な業務指導が必要だろう。
小言幸兵衛ではないが、いやはや主客転倒も最たるもの、真っ逆さまな世の中でござんすよ全く・・・。数え上げればキリがないがいずれの場合も即オールでないことは云うまでもない・・・。
いずれにしても、沖縄のサービス業務は“最低の低”であることは確かである。早急に各業種別に講師でも招いて一から再教育を受けるべきだ。
そこで本誌ではその先陣をきって、先ずバーやクラブ、おでんやまでのホステス、ママさん、マスター、マネージャーを対象にした紙上講座欄を設けた。せめて酒を飲ませてくれる夜の社交場だけでもその従事者がより良いマナーやエチケットを身につけて、本土並みのサービス精神を発揮して、真っ逆さまなご時世に喘いでいる世の男性諸君に楽しい憩いの場を提供されるよう努力してもらいたい。それがまた、とりもなおさずあなたの店の繁栄に結びつくでありましょう。
講師は東京で20数年もホステスのミーティングの専門家として活躍され、この道一筋に生きてこられた人である。「沖縄のホステスのために是非共寄稿を」との本紙の要望を快諾されましたので、この号からずーっと連載していきます。関係業界のご参考になれば幸いである。