本紙創刊2周年記念 酒の消費者座談会~愛飲者、大いに語る~ 前編(昭和46年7月30日)

  • [公開・発行日] 1971/07/30
    [ 最終更新日 ] 2016/05/13
   

初めに

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本紙創刊2周年を記念して、座談会を企画してみました。これは泡盛に焦点をあてつつ、全酒類、業務店、全消費者をも含めて広範囲にわたって純然たる消費者としての立場からの座談会であり、又、第1回目の消費者サイドの座談会である。本紙では第2、第3とこう云った忌憚ない座談会を今後共、号を追って企画しております。

これは、吾が沖縄は“盲目の消費者”と云われている現在、今後は消費者にも選択の自由があるんだということを今一度、自分なりに吟味するということで意味深いことだと思います。

特に嗜好品の中で酒類は戦後は洋酒から始まり、まさに現在は酒ブームと云った感じであり、消費者もいろとりどりであるが、日頃飲んでいる酒を消費者はどう受け止めているのか。

次に展開される座談会はメーカー側にも、お互い消費者側にもうんと問題を投げかけているのではないだろうか。暑い夏の一夕、琉球料理店“風味”に口うるさい5名の方々にお集りを願って“酒”についていろいろ語って貰いました。各側にそれなりの教訓となれば幸いである。題して“愛飲者大いに語る”

【座談会参加者】
◆和久稲 朝昭(元日刊記者・現三井物産那覇事務所)
◆座間味 宗徳(酒マニヤ)
◆深見  汎 (バヤリースジュース人事部長)
◆覆面子   (元日刊記者・現団体職員)
◆伊坂  善郎(元日刊記者・現団体職員)
◆司会  本紙(仲村征幸)

酒は雰囲気に合わせて飲む

<司会>
先ず伊坂さん、酒について

<伊坂 善郎>
私は酒の“通”みたいに云われておりますが、私の場合は、酒であればいいと云うタイプです。たいていの酒は飲んでおりますが、味はさっぱり解らない、というのが本音です。酒の飲み方としては、その店にあわせて飲むと云うことです。

具体的に云いますと、バーにいくときにはハイニッカとかスカッチクーラーであるとか、云うものに限っています。それからビールの雰囲気ではビール、昼飲む場合はビールとか、おでんやに行ったら必ず泡盛を飲むと、ほかにどんな酒があろうと泡盛を飲む、割烹いくと日本酒を飲むと。例えば割烹行ってジョニー黒を飲むと、どうしてもそこの雰囲気に合わない、おでんやに行ってウイスキーなんかを飲むと、どうしても隣りの人との雰囲気が溶け合わない。要するに私の場合は雰囲気に合わせて酒類も変ると云うことですが。

そのなかで、こちらはせっかくいい雰囲気で飲んでいるのに相手の女が何か飲ましてくれと、OKと云ったら、こちらはハイニッカを飲んでいるのに高いものを飲む、バーなんかに多いが、あれも雰囲気ぶちこわしですね。

本土に行った時に感じたことですが、山形の寒い地方のおでんやに入ったら、そこの名産だと云って青野菜類をあれこれ出すんですよ。酒の知識も豊富でしたが、そう云った土地の名産を紹介しながら愉快に酒を飲ます。とてもいい雰囲気でした。

<深見 汎>
私はあんまり雰囲気にこだわらない方なんですが、やはりジュークボックスなんかをかけっぱなしにしてあるところではじっくり腰をすえて飲もうと云う気にならないですね(ムード派ですね、の声あり)。ジュークボックスのない、わりとひなびたおでんやでじっくり酒が楽しめる、あぁ云ったところが私にはいいですね。

座間味・伊坂さんがおっしゃる雰囲気で飲むということはよく解りますよ。行く目的によって違うと思います。例えば今日はどこでどういう酒を飲もうとね、予算がこれだけしかないからウイスキーでいこう、泡盛でいこうとね、考え方もあると思うんですよ。やはりそこへ行っての雰囲気は、そこの場所のものとしてつくらなければいけませんね。その辺が謂わゆる雰囲気で飲むと云う基礎じゃないですかね。

それから今日1日の仕事のでき具合ですね。クサクサしているときにはこれを飲みたいとか、今回はひとつ華やかだからこれを飲もうと、これもひとつの雰囲気ですよね。

<司会>
酒と云うのはそんなに仕事と深い関係があるんですね。

<伊坂 善郎>
心のうさの捨てどころですよ。(笑)

<深見 汎>
いろんなことに影響されるんじゃないですか。体調にもよるしね。仕事がうまくいかずにクサクサしている場合とか。

二日酔いはツライネー

<伊坂 善郎>
私の場合、ひとつのコースが決まっちゃうんですよ。先ず地ならしにおでんやで泡盛からスタートすると、20時~21時頃になると、自ら桜坂やバーに行って、そこ行くと当然ウイスキーになるわけです。時間も遅くなりカンバンだとなると、割烹なんか覗くと、そこでは日本酒を飲むと。したがって酒をチャンポンになって翌日は調子が悪くなってくるんで(みんな大笑い)、ひどい時は昼めし時間にビールを1杯飲んで解消する、二日酔いはきついですね(みんな相槌をうつ)。

二日酔いのクスリは梅干し

<深見 汎>
人にもよる筈ですが、私も二日酔いする時は、朝起きがけにビールの小瓶と野菜サラダをおかずにして食べておりますが、そしたら又酔いますね。それから冷めてもとにかえると。

<伊坂 善郎>
頭にたまったものを一緒に持っていくという感じがします(みんなうなづく)。
旅に出ますと、ほとんど前の晩は二日酔いしていますが、朝はすぐビール1本飲んでおりますが、本土は朝の食事がいいですね。メザシとか、味噌汁とかね。

<和久稲 朝昭>
メザシを頭からかじりながらね。

<伊坂 善郎>
私は旅に出ると1ヶ月で2キロは太っていますよ。

<和久稲 朝昭>
迎え酒のことですが、私の今までの経験ではね、1番二日酔いに効くのは、梅干を燗して飲むんですよ。それこそ三日酔い位いする時があるんですが、燗する暇がない時は熱湯を入れて飲むんですが、ビールと同じ効用じゃないかと思うんですがね。

それがない時は梅干を漬けた汁があるでしょう、あれをグッと飲んでみたり(笑い)。いろんな酔い覚ましをやってみたんですがね、これが1番よい。

<深見 汎>
それをどれ位い飲むんですか?

<和久稲 朝昭>
コップの1杯ですね。最近はビールもやっています。

<司会>
覆面子さんは雰囲気酒ですか?

<覆面子>
雰囲気というのは自分でつくるものであって、どうも僕にはその意味がよく解らないですね。はしごもやらない。

<伊坂 善郎>
酒が固定している?

<覆面子>
泡盛ですね僕は。一定している。余り外では飲みたくないが、誘われるんですよね。つらいです。家で静かに飲む。

<司会>
内心はうれしいんじゃないですか。

<伊坂 善郎>
酒は静かに飲むべかりけりですね(一同相槌うつ)。

<覆面子>
たまに行く時、やはりジュークボックスのあるところには足向かんです。生理的にもよくない、苦しい!

<伊坂 善郎>
ジュークボックスの話が出ましたが、ただ嫌なのはゴーゴー酒場なり喫茶店でも、ほぼ決めていく訳ですが、自分が好きでない音楽をひっきりなしにかけられることですね。

<深見 汎>
大体ゆきつけの飲み屋と云うのはあるんじゃないですか。

<覆面子>
そう云うところもないですね。もっぱら家で。

若い時からずーっと中年?

<深見 汎>
まぁ、中年ですね。中年頃になるとよそ行ってハシゴするとか億劫になって。

<覆面子>
若い頃からそうなんです。

<深見 汎>
そうですか。若い頃から中年じゃないですか(一同大笑い)。

<覆面子>
云いかえると年とっても変らないと云うこと。

<和久稲 朝昭>
これはうまい、一本やられた(又爆笑)。私は深見さんと知り合って10年になりますが、始めの頃は桜坂あたり飲み回っていましたが、この頃は家族同士の付き合いになって家で飲むというようになっていますね。

30秒で1ドル飲む

<伊坂 善郎>
生活がそれだけ高度化してきていると云うこともありますね。やはり、店にいく馬鹿らしさと云うですか、それは酒争飲ます側のマナーにも影響されてくると思うんです。長い間、何軒も飲み回ってみて、自分にちゃーんとしてくれる店に絞っていくと云うことがいえるんじゃないですか。

一番悪い印象を受けるのは、カウンターでもどこでも飲んでいると必ず女の子が寄ってきて1杯飲ませと云う。お酒は全部1ドルなんですね。そしてもう1杯飲んでもいいかと云うんですね、君は30秒で1ドルづつ飲んでしまうのかと云ったんですがね。そう云う処には長居はできない、客の回転を早くしようと考えているのか知れないけれども。

それからいい処は絶対に客にたからない。その店は客から飲めと云う以外は絶対にお客にたかってはいけないと云うママさんから徹底した教育をされているわけですね。そして、帰りには必ずママさんが出口まで来て見送るんですが、その店はいつも一杯です。今は夏枯れでどこもそう入っていないが、そこだげは22時にいくともう入らない。そう云う店もあります

<深見 汎>
やっぱり客は店を選びますよ。どこですかその店は。

<和久稲 朝昭>
桜坂中通りをこう行って一寸左へ入って左側でしょう。寿を2つ書いたところでしょう。あぁ、行きました私も。

<覆面子>
そう云うこともわかるがね、もっと店を早く開けることも大切だと思うね。早く開けない店は、客から遠ざかるように思う。

<座間味 宗徳>
雰囲気の話ですが、いいと云うところは、ホステスが飲まないところということですよ。これが結論ですよ。店内装飾は各店共よくなってホステスの装いもいいが、誰に聞いても雰囲気がいい店と云うのはホステスがたからないと云うことですよ。

私も3ヶ年、4ヶ年も同じ店いきますが、私は3~4ヶ所しか知りません。その店にいくと俺は沖縄で2番目にケチな男だから、俺にたかるなと云うんですよ。どこ行っても云うんです(一同感心したように頷きながら、1番は高良一さんですか)。

なっちゃいない料亭の態度

<和久稲 朝昭>
私が覚えている或る30才位いのホステスなんですがね、他のホステスはみんな酒飲んでいるんですが、この女だけは飲まないものだから、私が「どうして君は飲まないのだ?」と聞いたら、自分は時給幾らで雇われていると、酒飲むと体を壊すと、だから私は酒を飲む賃金まで貰っていないから私は飲みませんと。

私はあんたのお相手をして、あなたに飲んでいただくんだと、それが本当のあるべき姿じゃないですか(一同頷く)。今の若い連中ときたらたなっちゃいないですね。
(しばらくガヤガヤしてきこえず)

<司会>
それこそ主客転倒ですね。

<座間味 宗徳>
これは社用族のひとつの盲点なんですよ。自分の金じゃありませんからね。ジャンジャン君らも飲みなさいと、私なんか年中社用で行ったんだから、私用ではカネありませんからね。そこで、俺のカネでは飲めないからお前に飲まされないと言うことでここ来たんだって。

<和久稲 朝昭>
逆をいったんですね。それと関連して、私なんか客が多いものですから、ひどい時には1日ごしに行くんですが、客が変わって、案内者は変らない訳です。あくまでも案内者であってと相伴するだけのことですから。

或る料亭でね、これだけ来ているんですから小遣い寄越せときたんですよ。馬鹿云うなですよね。誰も好きこのんでこんなところに毎晩来ているんじゃない。誰も行くのがいなくて仕方なく案内してきたのであって、本来ならばあなた方がね、お客さんにもね、楽しんで貰うのがあなた方の仕事じゃないかと。踊りの説明までこっちがやらなければいけないのにね。煙草をくれだの、小遣い寄越せとは何かと、俺のほうにね、案内料もって来いと云ってやりましたよ。

私が一番いけないと思うのは、座間味さんは支配人で2番だから(笑い) いいんですが、一番ケチな連中がね、会社のカネでしょう。社用も社用ですけどね、手前は伝票だけ切りゃ誰も文句は云えないからね。

そういう連中がそう云う振舞いをしてね、あわよくばその若い女性の関心をかって、なんとかしようと云う下心あるんじゃないかと思うんですがね、悪い習慣ですね。

私達の場合は予算のワクが限られていて、今日のお客さんはいくらで仕上げろと、苦労するわけですよ。料亭で使いますと大体、1人15ドル位いみておかないとね、一寸ハメをはずしますと、20ドルオーバーしちゃいますからね。そうするとやられるんですよね。

雰囲気は泡盛スタンドがいい

<座間味 宗徳>
実際飲んでいい雰囲気は泡盛スタンドなんですよ。泡盛スタンドは誰にも気兼ねすることなく、自分1人で飲めるでしょう。

<和久稲 朝昭>
それに関連すると思いますが、たとえば料亭あたりでもお客さんで、酒の強い人、好きな人にそう云う具合いに地酒をすすめる訳です。お客さん褒めてくれるんです。褒めているから、今日はこれでいくぞ!と云っているのに、なぜウイスキーを出さないんですか。ビールはどうしたんですかと頼みもしないのに持ってくるんですよ。

泡盛は育てる義務がある

<覆面子>
地酒の話なんですが、鹿児島の焼酎には甲乙があるが、甲は手麹酒で乙は機械化された酒ですが、甲がよいですね。

<伊坂 善郎>
鹿児島で1番ビックリしたのは焼酎を白湯で半分位いに薄めておでんやあたりで飲むのと、霧島温泉に行った時に出てきた料理がジンギスカン料理なんですが、あそこでは神代料理と云っておりますが、ビールやウイスキーも出ているが、1番この料理に合うのは芋焼酎なんですね。

宮崎の海水浴場では売店にある芋焼酎を、真夏なんですが、ビールや他のもあるんですが、みんなこれを飲んでいるんですね。いかに自分達の土地の酒を愛しているか、まぁ飲み馴れているせいもあろうが、感心しました。

<覆面子>
泡盛をもっと愛さなければいけないと思う。(一同頷く)

<深見 汎>
泡盛が悪い酒であれば愛せよと云っても無理な注文ですが、非常にいい酒ですからね泡盛という云うものは。僕は世界の屈指の名酒だと思うね。しかも地元の酒だから当然愛すべきです。私は義務があると思う。泡盛と云うとただ値段が安いと云うことだけで差別すると、これはいけない。

<伊坂 善郎>
確かに泡盛と云う酒は、かなりいい酒だと思う。先ほどの芋焼酎の場合、宮崎あたりでは保健所を中心に酒のマイペース運動をやっているんです。向こうの人達は酒量が多いんですね。

沖縄ではもうほとんどないが、献盃の因習があって、飲んだら必ず相手に返す、これがずーっとくり返えされる訳ですね。酒量が多いものですから、精神病患者とか頭のおかしい者も出てくると、今盛んにこの運動をやっているんですがね。もともと焼酎と云うのは泡盛ほどいい酒ではないですから。泡盛の良さと云うのは認めるべきです。

消費者に選択の自由がない

<座間味 宗徳>
今先、値段のお話が出ましたが、30度が最低市販されている泡盛の度数ですが、メーカーがそれだけ売ればいいと云う態度で、吾々消費者は選択の自由がない。35度ものが飲みたい、45度ものが飲みたいと云ってもお店で売ってない。そこに沖縄の泡盛は選択する自由がない。又、メーカーもそれを当然のように、水を割って29度、28度でも飲めばいいじゃないかと。業者もそれで満足しているし、又、消費者は選択する自由がないものだから、だんだん泡盛に魅力がなくなってくると、それが現状だと思う。

<覆面子>
私は小さい時から京都の泡盛屋で育ってきたものだから物心つく頃になると風邪ひけば海人草で浸した泡盛を飲まされ学校に行ったものですが、戦前はみんな45度で、看板にも純粋45度と掲げて泡盛を売ったんです。

それにお客さんは水を割ったり、ペパーミントを入れたり、ぶどう液やジンとか混ぜてお客さんは飲んだものですが、今はその自由がない。だから私がもし経営者だったら泡盛党に対して甚だすまないと。

<伊坂 善郎>
強い酒は割ることもできるが、弱いのは強くはできませんからね。

<和久稲 朝昭>
只今京都の話がでたが、京都の何とか云う先生だと思いますが、酒の品位を決めるには三要素、つまり、“甘さ”“辛さ”そして最後に“ピン”がなければいかんと、“甘辛ピン”の三拍子揃った酒が一番いい酒だと、この先生が云ったのを覚えておりますが、その甘さ辛さはたいていの酒は持っていると、最後のピンとくるものをもっているのは先ず泡盛だろう、と云われている位いだから。こんな酒を本場の自分達が、こんなじゃ困ると思うんですよ。

<伊坂 善郎>
シマーグヮーと云う表現で卑下している、自分達の特産品をけなしてかかっている。

<和久稲 朝昭>
なにか方法を考えなくちゃいかんと思いますね。

機械化では味は良くならない

<座間味 宗徳>
そう云う風潮はなくなると思う。つまり、メーカーが減っているから、だんだん泡盛の価値がでてくると思います。私は10年前に集めたレッテルが150ものメーカーがあるんです。今メーカーは何社ですか。

<司会>
55社です。

<座間味 宗徳>
メーカーも減ってくるし、酒も専売制度になるとそう云っておれなくなる。ビールがそう飲めなくなるだろうし。それと技術がだんだん向上している。瓶詰めとか、洗びんを機械でやるとか、麹までは機械でやるとか、蒸すのを機械でやるとかで味が均一化されてくると、質がよくなれば同じ島の人が飲んで卑下する人はいないと思う。

<覆面子>
問題は、甲と乙に分れると思う。機械化するとね、味が良くなるかと云うと、そう云う訳にはまいらない。ここのところが難しい。

<深見 汎>
機械化して味を落すかよくなるか難しいと思います。

まぼろしの酒“越の寒梅”

<座間味 宗徳>
今日も、仲村さんに話したんですが、機械で生産されるものは“商品”、手づくりの酒は“芸術品”だと、2つに分れるんだと。

そうなるとやはり甲と乙ですよね。すでに沖縄でも2~3社が“商品”をつくっている。あとは手づくりですが、私は佐々木久子さんが発行している趣味の雑誌、“酒”を5年前から読んでおりますが、新潟に“まぼろしの酒”と云うのがあるが、いっさい手づくりの酒で“越の寒梅”と云ってね、これを私前号で読んだものだから手紙出したんです。返事来ないです。泡盛と交換しましょうと云って。これが雑誌に紹介されたら編集部に手紙が殺到しましてね、こう云う酒を是非飲みたいと云ってね。

やがて沖縄でも機械で造るのは“商品”として市場に出る、芸術味の高いのが“手造り”の酒になるだろうと仲村さんに話ししたんです。ですからAもBもCもみんな機械化されると又お互い消費者は味の選択の自由が奪われるんです(一同頷く)。

<伊坂 善郎>
この前の瑞穂の2万石工場完成パーティーで当間重剛先生の挨拶でとにかく泡盛らしい泡盛をつくれと云うんですね。謂わゆる古酒をもっと生産して、本当に泡盛党、沖縄の酒を守る人達が外部から来る人達に紹介すると。

オリオンビール 育てよ

<座間味 宗徳>
これはメーカーだけに云うのも酷だし、消費者がたくさん消費することによってメーカーは利益を得て更によい設備をして更に良い酒をつくると。今みたいにシマーグヮと云う言葉で片づけてしまうと利益あがらない、利益あがらないから潰れてしまう。

やはりメーカーがいい酒をつくって宣伝して貰わんと困る。又お互い良い酒を飲むためには飲んで、オリオンビールが今では非常に人気を得ているが、やはりお互いが育成する義務があると思う。飲まなければいつまでもシマーグヮーで終ってしまう。

バーにも泡盛をおけ

<和久稲 朝昭>
そのシマーグヮーなんだけど、キャバレーとかに行って私は泡盛しか飲まないので地酒が欲しいと云うと何かしら相手にされないですね。うちにはそれがないと。何故置いておかないんだと怒りますがね。

<覆面子>
威張ってやがる。

<伊坂 善郎>
本土の場合、鹿児島あたりは置いてある。

<深見 汎>
醸造学の権威者、坂口謹一郎さんも不思議がっていますが、自分の国の酒を酒場に置いてないのは日本だけだと。沖縄は特にひどい、バーなんか泡盛はほとんどおいてない。私が知っているのは1ヶ所だけである。そこには“時雨”を売っていますよ。しかも1升瓶を堂々と飾ってね。消費者にも責任の一端はあると思いますがね。

<和久稲 朝昭>
置かんといかんですよね。
(みんな、だんだんアルコールが回ってくる)

次号へつづく

 

酒の消費者座談会

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愛飲者、大いに語る 中編
愛飲者、大いに語る 後編(準備中)

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