中華×泡盛 首里紀行物語ディナー(舜天/瑞穂酒造)
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[公開・発行日] 2017/10/24
[ 最終更新日 ] 2017/11/21 - 飲む
2017年10月17日(火)、ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城(那覇市首里)にて、泡盛とホテルディナーを楽しむ「首里紀行物語ディナー」が開催された。
この会は、首里の4酒造所の泡盛をブレンドした泡盛、首里紀行(30度)を中心に、首里の蔵元の泡盛とホテルディナーとのコラボレーションを楽しむイベントで、今回は首里最古の蔵元、瑞穂酒造と中華調理舜天がコラボした。
開宴にあたり、料理長を含めたキッチンスタッフ全員が登場し、今回の料理に込めた想いをそれぞれ語った。普段は裏方で会うことができないスタッフが勢ぞろいした光景に、思わず客席からは拍手が沸き起こる。
続いてホテル副総支配人の浅沼源太郎氏が「今回は、多くの料理にこれでもかというほど泡盛を使わせてもらっている。また、瑞穂酒造さんより秘蔵酒の提供もあり、ぜひ、楽しんでほしい」とあいさつ。
今回のイベントを企画した喜屋武商店(那覇市)の喜屋武善範社長は「600年の歴史があり、江戸時代には献上品として、また、海外の来賓に対してもてなしの酒として振舞われた琉球泡盛は、全世界に通用する酒です。その泡盛文化を我々が継承し、もっと身近に感じられるようにホテル料理とのコラボレーションを行いました」とその企画意図を説明した。
また、瑞穂酒造の玉那覇社長は「喜屋武商店の力で泡盛発祥の地である首里の4酒造所の泡盛をブレンドした首里紀行ができたことに感謝いたします。また、定評ある中華料理舜天と瑞穂酒造の泡盛のコラボレーションが実現したことを大変嬉しく思います」と感謝し会はスタートした。
食前酒としてワイングラスに注がれたのは、瑞穂酒造の琉球ティーアワー。沖縄県産の紅茶葉を使用した、紅茶のリキュールでほどよい甘さが食欲をそそる。
前菜は、野菜にクラゲ、車エビなどの盛り合わせで、叉焼からはかすかな泡盛の甘い香りがする。
早速味見もかねて、秘蔵酒であるロックボーイ30度と合わせてみる。ロックボーイは80年代に発売され、今回準備されたロックボーイも製造から30年近く経っているものだという。一口含んだ印象は、ロックボーイというより、もはやジェントルマンというべきまろやかさ!味はしっかりしているが、甘みも強く、これならばどんな料理でもエスコート可能な立派な紳士に育っていた。
次に出てきた大海老の炒めものは、瑞穂酒造の泡盛を用いて造った豆腐ようを、さらに首里紀行に漬け込みペースト状にしたソースで炒めてあり、コクが深くアジクーター(こってり)。これまた矢継ぎ早ではあるが、秘蔵酒、大獅子44度と合わせてみた。この大獅子は、泡盛を蒸留する際に最初の方で出てくる初留(しょりゅう)をベースに造られており、今回の提供で蔵の在庫も全てなくなるという希少酒でもある。古酒の甘みがしっかりと感じられると同時に、アルコールの力強さもあり、豆腐ようのソースと見事に調和する。
次に出てきたのは、牛フィレ肉のアカシア蜜焼き。牛肉を首里紀行に漬け込み、香りをつけつつ、柔らかくさせた一品で、料理長が瑞穂酒造に見学に行った際に見た、酒甕がモチーフとなっている。肉のうまみがたっぷりと詰まって、これまた首里紀行がどんどんとすすむ。
ここで箸休めとして、琉球アワモヒートのシャーベットが登場した。琉球アワモヒートは、ミントの爽やかさに甘みも加わった人気の泡盛リキュールで、最近ではそこに少量のタバスコを入れるアレンジレシピも登場している話題の商品である。今回シャーベットにしても激ウマであることが証明され、夏場にはまた新たな飲み方(食べ方?)が流行るのではないかとの予感さえする。
アワモヒートシャーベットで舌をリセットした後に出てきたのは、団子状の春巻きのようなもの。お品書きによるとラフテー酢豚とのことだが、見た目からはどこがラフテーでどこが酢豚なのかよく分からない。箸を入れてみると、なんと、カリっと揚がった衣の中にラフテーが入っており、ソースが酢豚味というプロの技が光る驚きの一品だ。こちらも、味がしっかりしている首里紀行と絶妙にコラボした。
六品目は、松茸とスーチカー入り笹の葉包み御飯。ピリ辛の五目飯にスーチカーが入っていて、締めとしても、おつまみとしてもどちらにしても満足感が高い。酔いも回り、お腹も膨らんだところで、デザートが登場。
マンゴープリンに琉球ティーアワーをフロートしてあり、大人のデザートとして締めくくりにちょうどよい甘さである。
今回のディナーでは、中華と泡盛が非常によく合うことが体験できた。今後この首里紀行物語ディナーは、コラボレーションする酒造所を変えながら、今年度中にあと2回開催が予定されている。
(二代目預)