5月はGWがあったため、いくつものイベントや催し物がアッチコッチで開催された。どれも楽しそうだったけど、今回は泡盛が飲める催し物を吟味して参加した。
一つ目は5月9日(火)にホテルロイヤルオリオン(那覇市)で行われた、石川酒造場のファンの集い“異業種交流会・玉友クラブ”。この会は毎月第2火曜日19時から行われるもので、ボクはほぼ1年半ぶりの参加になった。
会にはいろいろ業種の人たちが集まり、美味しい料理と石川酒造場の旨い泡盛、甕入りの「玉友」や「島風」などを飲みながらゆんたく。我社からは泡盛の集まりには必ずいる浜ちゃんと、中部から駆けつけた泡盛新聞中部支部長の新里葵ちゃんが参加した。料理を食べつつユンタクしていると、参加者の会社や事業の宣伝やPR、初参加者の挨拶タイムとなり、それぞれがいろいろ宣伝や挨拶をして会を賑わせた。
会の終盤にはビンゴゲームが行われ、石川酒造場や会の有志からもろみ酢の「むるん酸」や「うりずん」などの泡盛など、20点近くの賞品が提供された。ビンゴが始るとボクはすぐにリーチと叫んだら、「最初にリーチといった人はなぜか上がらないんだよね」と会場から声が。ゲームが進み次々とビンゴの声で会場はいやが上にも盛り上がった。ちなみに我社は3人とも全滅で、ボクは次々とカードの穴は開いたけれど最後の最後までビンゴとならず、最終的には4つのリーチが残っただけだった。
会は2時間半ほどで終了し、多くの人がそれぞれに二次会を行う雰囲気だった。しかし、ボクは平日だったこともあり、翌日のことを考えて浜ちゃんと葵ちゃんを残してバスで帰宅したのだった。
続いて参加したのが5月14日(日)13時から、那覇市の公設市場近くのにぎわい広場で行われた昼飲みイベント「ハレノヒ酒場」。ボクはこの日、14時ごろから大人の事情で2人の大先輩を連れて様子を見に行きつつ、誰か知り合いがいないか探していた。すると、やっぱりいた。我社の浜ちゃんが来たのである。少し浜ちゃんと話をしていると、大先輩の2人はビールを一杯飲んで帰っていった。
このイベントは那覇で人気の5軒の飲み屋が仕掛けており、今回で5度目の開催だという。イベントはその名前のとおり、過去4回はいずれも晴れていたという。今年は梅雨入り直後で、しかも前日は雷雨だったので空模様が心配されたが、当日は朝から好天でまさにハレノヒ酒場にふさわしい天気となった。
アルコール類はビールや焼酎、日本酒やウィスキーのハイボール、サワーなどが販売されており、泡盛ではなんと石垣市から請福酒造が出店していた。残念だったのはビールがオリオンビールではなかったこと。請福酒造の営業担当のZ氏をはじめスタッフの頑張りもあり、泡盛ブースは大いに賑わっていた。泡盛以外にサッパリとした味わいとキリッとした旨さが広がる「ゆずシークヮーサー」や香りの高い南高梅の酸味と黒糖のコクのある甘さがマッチした「請福梅酒」、グレープフルーツ果汁をたっぷり使い、シークヮーサーで味のバランスを調えた「請福泡盛仕込みグレープフルーツ」などリキュールを宣伝し、女性を中心におかわりをする人も多かった。
また、泡盛は風味豊かでしっかりとした旨みとほんのりとお米の甘みと香りが感じられる、石垣島では定番の人気商品「直火請福30度」と、蝶やハイビスカス、月桃など沖縄の自然をモチーフにしたラベルが可愛く、常圧蒸留の泡盛に古酒をブレンドして、泡盛本来の旨みや古酒の華やかな香りを引き出した「請福 月虹30度」を販売していた。
ボクは、「月虹」が気に入ってZ氏のご厚意で何度も濃い目のお代わりをもらった。2,3度目のおかわりの時、ボクは隣の酎ハイやサワーの販売コーナーに並んでいた30代後半と思しきアンちゃんに「請福の月虹が泡盛ならではの美味しさがあるよ」とススメたのだが、「普段は泡盛を飲んでいるので、今日ぐらいは別のお酒を飲もうと思っている」といわれた。ボクはその時「そうか、そうなんだ」と思ったけど、普段、泡盛を飲んでない人は、「こんな時こそ泡盛を飲もうよ」と声をかければよかった、と後で思ったのであった。
何度目かのお代わりで席に戻ると、浜ちゃんは泡盛仲間と合流して乾杯の真っ最中。ボクも一緒になってユンタクしているうちにだんだんと記憶が曖昧に…。そのうち日も暮れて気がつくと「ハレノヒ酒場」も閉店時間。その後、2次会へと誘われて水上店舗の小さな店へ。店へ着いて時計を見るといつの間にか20時を回っている。ボクはカァちゃんに「今日は遅くても夜8時までに帰ってきてね」と言われたのを思い出し、いきなり席を立ってみんなへのあいさつをそこそこに、「今日はカァちゃんに叱られませんように、ツノが生えてませんように」と心で願いつつ、家路を急いだのであった。
それから9日後の5月23日(火)に久茂地にある古酒BAR&琉球DINING「カラカラとちぶぐゎ~」の13周年祭があったので出かけてきた。実はこのイベントの1週間前の朝、大雨の中でコケて左膝靭帯を痛めてしまったのである。病院に行ったら全治3週間ということで、カァちゃんから外出禁止の指令が出るのではないかと思っていたら、1週後のこの日、病院に行ったら医者も驚く程の回復ぶりで、今後は湿布だけで特に加療の必要はないとのことだった。ひねったり急激な力が加わると多少痛かったが、カァちゃんからの外出許可をもらい参加になったのである。
ボクは毎年ではないけれど、これまで数回、この周年祭には参加していた。その際、だいたい一番乗りだったのだが、今回はカァちゃんのご機嫌を取るため家を出る時間が少し遅れ、店に着いた時には、すでに数名の先客がいてその中にはなんと、というか、やっぱりというべきか、我社の浜ちゃんがちゃんといたのであった。
浜ちゃんはうなぎと泡盛のおいしい店「ぼんぼん」の大城茂さんと、南風原から駆けつけたという大宜味洋文さんとすでの泡盛を酌み交わしおり、ボクは互いに自己紹介をしつつカンパイビールをもらい、ノドを潤わしてユンタクをしたのであった。カラちぶの周年祭は会費制で、カウンターに並んだ泡盛と料理は食べ飲み放題なので、まずはポテトサラダとローストポーク、ニギリ、もやし炒めで腹ごしらえ。お腹が落ち着いたところで、今回、オーナーの長嶺哲成さん提供してくれた秘蔵の古酒を飲むことに。大城氏さんは普段からマイカラカラとチブグヮーを持参しているといい、本日の気に入りの古酒をそのカラカラに入れて飲んでいた。羨ましく思いながらボクも早くお気に入りの古酒を見つけようとカウンターに並ぶ古酒を順に飲み始めた。
今回の目玉となった秘蔵の古酒は、伊是名酒造の「常磐粗濾過44度」を7年間寝かした「7年古酒」と池間酒造の「製造2002年瑞光40度」、沖之光酒造の「熟成十年古酒沖之光2001年」の3本。まずは「瑞光」。あ、旨い。2002年製造なので17年くらい経っているから、まろやかで甘みがあり角が全くない。余韻としてノドの奥からバニラや花のような甘い香りがする。ナッツの香りもするかも。味わいにコクと厚みがあって、ボクの好みの古酒だった。
続いて「沖之光2001年」。これは10年古酒なので飲みやすい。味わいは甘く香りもキャラメルのようで甘く飲みやすい。最後は7年寝かせた「常磐」。一口に含むと一瞬だけど舌を刺す辛さがあったけど、すぐにノドの奥から旨みが広がってくる不思議な味わい。辛味の直後に甘味が感じられ後味がおいしい。元々が暴れん坊な泡盛なので、もっと寝かすことで古酒ならではの香りが開き、味わい深かい旨さになるのではないかと思った。一緒に飲んでいた、浜ちゃんや大城さん、大宜味さんも同じような意見だった。
ちなみにその他の泡盛は、請福酒造の「月虹30度」と「直火請福30度」「3年古酒請福VINTEGE43度」、久米島の久米仙「3年古酒球美島」、山川酒造「3年古酒さんご礁30度」同じく「5年古酒珊瑚礁35度」、忠孝酒造「華忠孝30度」「忠孝GOLD PREMIUM30度」、そして「黒あまざけ」。これらも古酒を楽しんだあとにちゃんと味わって飲んだのである。
だんだん気分が良くなってきたので、酔う前にオーナーの長嶺さんにインタビュー。ところどころロレツが怪しいが、長嶺さんはちゃんとインタビューに応えてくれた。
――13周年おめでとうございます。
ありがとうございます。
――まずは、お店を始めたキッカケを教えてくれますか。
店は2004年にオープンしました。実は店をやるつもりは全くなかったのです。この年は古酒の表記が変わった年で、ブレンドした泡盛は若い酒の年数を表記することが厳格化され、店頭に並んでいた古酒に5年古酒や10年古酒という年数が表記がまったくなくなったんです。当時、泡盛を普及させる目的でカラカラという雑誌をやっていたんだけど、年数表示がなくなったことで、だったら、正確な年数がわかるちゃんとした古酒を飲ませる店ならば、他の店と差別化ができるのではと思い店を始めたんです。
――じゃぁ、泡盛の雑誌を作っていたことが、ちゃんとした古酒を飲ませたいと思いになり店をはじめたんですね。でも、やるからには勝算があったんですね。
ウーン…と。泡盛には人と人を繋げる力があって、雑誌を作っていた時から思っていたんですよね。それで、生活するのは他で稼げると思い、儲けるというよりも社交場としてずっと続けて行きたいと思ったんです。だから、この13年間、ほとんど儲けはなしなんです(笑)。
――続けられたのはそんな思いがあったからなんですね。
そう、人脈になってくれた皆さんのおかげなんです。
――ここに来る人はどういう人が多いんですか。
やっぱり、泡盛を愛する人で泡盛を通して繋がった人ですね。雰囲気や和を大切にする大人が多いです。お酒ってホントは礼節を重んじて飲まなければいけないと思うんです。相手を敬ってお酒を敬って、いろいろなものを大切にしながら謙虚な姿勢で飲むものだと思うんです。
――そうなんですか。でへへ(苦笑)。
そういうことでは、ここはお酒を飲んでも人格をなくさないで飲む人が多く集まっています。それでもっていると思うんですよね。
――飲んでクダをまいたり、暴れたりしないということですか(笑)。
声が大きくなる人はいますけど(笑)。泡盛を、特に古酒をたしなむ人たちは飲み方をわきまえているんです。泡盛は今、いろんな人たちから話を聞いて、わかりやすい泡盛を造りあっている時代なんだと思うんです。大量生産ではなく造り手もいろいろ考えているんですよね。
――泡盛が多様化し安く酔える酒だけではないということですね。
そう。泡盛はそこで勝負する酒じゃないと思うんです。すぐ酔える安酒を造る必要はないんです。なので、泡盛はもっと泡盛としての良さを分かる人たちに啓蒙することが必要なんです。
――方向性としてはいいと思います
高齢化社会なので若い人たちだけではなく、大人の飲み方ができる人たちをターゲットとに絞り、飲みやすいだけではなく、古酒を文化として受け入れて飲むことができる人たちに知らしめる頃ではないでしょうか。
――この店に来るとボクも大人の飲み方になりますよ(笑)。
もちろん若い人やこれから泡盛を飲む人たちにも泡盛の歴史を知ってもらい、古酒の味も覚えてもらうことも大事です。泡盛を知り古酒の味を知ることで大人の飲み方を覚えてもらいたいですね。
――沖縄の大人でも古酒の美味しさを知らない人もいますからね
みんなと一緒にわいわい楽しく飲むことも大切だけど、古酒の美味しさももっと知ってもらいたい、そんなお手伝いがうちの店でできればと思います
――ありがとうございました
インタビューを終えて周りを見ると、昔からの知事に友人がたくさん集まっている席があった。ボクはその席へ移動し、古酒のうんちくを語りながらカウンターに並んだ酒を片っ端から飲んでいったら、気分が盛り上がっていった。みんなとのユンタクが楽しくて、このまま激しく飲み続けたいと思ったが時計を見ると最終バスの時間が迫っていた。
ボクはカァちゃんと「バスのある時間に帰る」と約束しており、約束を違えたら膝が完治するまで外出禁止のおそれが…。なのでボクは携帯で最終バスの位置を確認して、急ぎ足でバス停に向かったのであった。