12月12日(月)と13日(火)の両日にわたり、香港でカナダ人が経営する人気店Yardbird(G/F, 33-35 Bridges StreetSheung Wan, Hong Kong)と沖縄県香港事務所が共催して沖縄県産品のPRイベントを開催した。二日間でゆうに360人を越える賑わいで、来客たちは同店の定番メニューに加えて、当日限定の沖縄メニューを楽しんだ。
イベントに先駆けて、今年4月には同店の料理長のマット・アバーゲル氏とお酒の責任者エリオット・フェーバー氏、同店PRスタッフが現地のジャーナリストとともに来沖。県内の生産者を訪問したり、県産品を扱う飲食店を体験したりと、事前に沖縄県の食材や飲料の知識を深め入念な準備をした。
イベント当日、アバーゲル料理長が沖縄素材を彼流にアレンジしたメニューは沖縄料理とは似て非なる仕上がりで(もちろん、良い意味で)、旬の島ニンジンとアグーを使った煮込み料理「Island Yellow Carrot」や、ゴーヤーチャンプルーをアレンジした「Goya Bacon ‘N’ Eggs」は、特に頻繁に注文が入っていた。料理長本人が特に気に入っていたのは、八重山諸島でなじみの深い島胡椒「ピパーツ」で、彼の料理にもふんだんに取り入れられていた。
また、当日はドリンクメニューも沖縄一色で、オリオンビールに始まって、沖縄唯一の日本酒「黎明」や石川酒造の「甕仕込み」5年ものの古酒まで約10種類がラインナップ。彼らの定番メニューにもある「オキナワ・エクスプレス」と名付けられたカクテルは、ヘリオス酒造の「くら古酒」をベースにしており、パイナップルの果実感がたっぷりで甘党の方におすすめだ。食べ合わせでは、神村酒造の「暖流」を使った甘くない「ダンリュウ・ダンボール」と、「ひろし屋」の島豆腐を使ったピリ辛サラダとの組み合わせが絶妙で、あとをひく美味しさだった。
使う素材は同じでも、沖縄で慣れ親しんでいる味とは異なる世界を様々な国籍のお客さん方が楽しむ姿は新鮮で、沖縄県産品の可能性をあらためて感じた。よい素材は、作り手の創造力を掻き立て、新しい世界へと導いてくれる。次回は、本丸の香港中華料理界とのコラボレーションが準備されつつある。また別世界へ連れて行ってもらいたいものだ。
(文/沼田まどか)