戦後70年ゼロからの希望~沖縄戦と泡盛~と題した記事が共同通信社より配信され、各地方紙等に掲載されている。
小紙が確認したのは、山形新聞(平成27年9月7日)、神戸新聞(平成27年8月9日)。戦後の琉球泡盛の復興の歴史を振り返る特集記事である。
沖縄地上戦のさなか、上官の「酒造所へ行って泡盛をくんでこい」という無謀な命令に決死の覚悟で服した当時鉄血勤皇隊に動員されていたウチナンチュの体験談から話は始まる。
鉄の暴風雨と呼ばれ、地形が変形するほどのすさまじい砲撃は首里に数十件あった酒蔵を壊滅させた。
日本の無条件降伏の半年後、米軍収容所から首里に戻った咲元酒造(那覇市首里)の二代目佐久本政良氏が酒蔵の焼け跡から泡盛造りに欠かせない黒麹菌を見つけ出し泡盛復興の足がかりをつかむ。
しかし時代は米軍統治下、米軍由来の安いウイスキーが沖縄県民の酒となる。泡盛に逆風が吹き荒れる中、泡盛は沖縄の文化遺産、何としても復活させなければならないと泡盛メーカーと共に立ち上がったのが弊紙創刊者故仲村征幸、そして那覇市安里の居酒屋「うりずん」の故土屋實幸氏であったと記事は続く。
今でこそ沖縄県の隅々で泡盛を飲むことでき、ともすれば大戦による泡盛の受難は沖縄県民ですら見落としがちである。そこにきて極めて丁寧に取材を重ね、戦争の愚かさ、沖縄の伝統的銘酒泡盛の復興にかけた男たち、さらには平和の象徴としての古酒の存在を浮き彫りにした玉稿が全国に配信されたことに対し、著者である共同通信社上野敏彦編集委員に心より敬意を表します。
以下、神戸新聞(平成27年8月9日)記事中より「琉球泡盛復興の歴史(画像)」を引用添付する。
<引用終わり>
(二代目預)
上野敏彦編集委員による著作紹介
上野敏彦氏は共同通信社編集委員であるとともに、丹念に取材を繰り返し、歴史を紡ぐ記録作家としても活動されています。食文化にまつわる著作も多くその一部をご紹介します。
●神馬(しんめ)―京都・西陣の酒場日乗(新宿書房)
●闘う純米酒 神亀ひこ孫物語(平凡社)
●闘う葡萄酒: 都農ワイナリー伝説(平凡社)
●塩釜すし哲物語 (ちくま文庫)
他多数。