オールド泡盛に力を~石川会長、本紙記者に語る~(昭和46年7月30日)
-
[公開・発行日] 1971/07/30
[ 最終更新日 ] 2016/04/01 - 読む
熊本市で開かれた日本酒造組合中央会の第18回通常総会の帰途、沖縄の泡盛業界の実態を把握するため、去る6月、石川彌八郎会長、吉村常助副会長、外三理事が来沖、那覇、南、中、北部の業界を視察、それぞれ業者と意見交換した。同会長は琉球東急ホテルロビーで本紙記者に対し、来沖目的、今後の問題等についておよそ次のように語った。
「私の組合は日本全国の清酒、焼酎、みりんの業者を網羅した組織体であるが、3,550軒の清酒業者、60軒の焼酎業者がおりますが、戦前は沖縄の泡盛業者も私の組合に加入していたので、復帰すれば又、組織体の一員になるものと思います。
税法問題、流通機構の問題等もいろいろ違っており、そう云う面をどう取扱うべきか問題があり、その実態を把握するのが今回の来島目的です。沖縄の業界がどう云う問題を本土政府に要望しているのか、その面も私の組織に入って貰って共々問題解決を計っていきたい。
業界へのアドバイスとして、泡盛と云う酒は特徴ある酒ですので、古い良さを保って、伝統を固持して貰いたいと思う。そして泡盛は泡盛として伸ばして貰いたい。そして零細業者は企業合併して力を養うべきで、私の団体も多いんですが、そう云ういき方をしております。
企業努力をしないと、世界の蒸溜酒が競い合っている現在、又、復帰後はいろんな酒が当地にも入ってくるだろうし、企業力をつけるべきだと思う。生易しい考え方では困る。
本土の清酒の伸び率5%、焼酎5%とビール産業、洋酒と酒類の多い中にあって大きな伸びはみられないのが現状であるが、沖縄の本当の泡盛はどれか、まだはっきり解りませんが、今回、北部まで視察して確かめてみたいと思う。
鹿児島では一流キャバレーや料亭でも焼酎を使用しているが、沖縄の業界の方も見習って欲しい。造る側も伝統を守って、品質を落とさず、又、オールド泡盛に力を入れて貰いたい。又、吉村副会長は、戦前の会長手していた石川逢篤氏にもお会いできて感無量でした。」
と語っていた。