ウイスキー文化研究所が「琉球泡盛セミナー(八重泉酒造)」を開催

   

令和6年4月20日(土)、東京都渋谷区にあるウイスキー文化研究所のセミナールームにて「琉球泡盛セミナー・八重泉酒造」が行われた。

ウイスキー文化研究所は、評論家・土屋守氏が代表を務める会員制のウイスキー文化普及団体で、これまで数々の小中規模のセミナーや「ウイスキーフェスティバル」と銘打たれた大規模イベントなどを主催し、ウイスキー業界を牽引している。

講師は、土屋氏と交流が深い八重泉酒造の座喜味盛行社長。直火式蒸留機とともに、ウイスキーと共通する“樽貯蔵”の商品を多く持つ泡盛メーカーの代表だ。

+写真_ウイスキー_座喜味社長

受講料は5,500円(税込)。同研究所の会員や招待客なども含め、28名が受講した。

春先の土曜の昼下がり、飲酒を伴うイベントにもにもかかわらず会場内に浮ついた雰囲気はなく、前のめりで話に聞き入る人、メモを取る人、モニターの画像が切り替わるたびに写真を撮る人など、熱心な参加者ばかりという印象。

スライドとともに話される座喜味社長の講義内容も泡盛に関する基礎的な内容ではなく、蒸留機の熱源についてや、樽貯蔵庫の温度管理についてなど、専門的な切り口の話が中心だった。

土屋氏が実行委員長を務める「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション」(TWSC)のディレクターで、ウイスキー文化研究所スタッフの砂山芽久さんは「今日の参加者はTWSCの審査員やウイスキー検定の合格者など、お酒の知識が深い方がほとんど。座喜味社長には、ハイレベルな話でも遠慮なく喋ってくださいとお伝えしました」と笑顔で教えてくれた。

+写真_ウイスキー_全体

今回テイスティングしたのは石垣島産米を使った「島うらら」、ロングセラー商品「八重泉樽貯蔵」、直火式蒸留「古酒八重泉」、長期樫樽貯蔵「八重泉 BARREL」、三回蒸留「尚 YAESEN」、スパニッシュオーク樽貯蔵酒とその元酒「PRISMA」「ZERO PRISMA」、常圧蒸留酒と減圧蒸留酒のブレンド「八重泉」、食中酒用に度数調整された「八重泉GOLD」。そこへ開催直前に、デザイナー原研哉氏がブランディングした高級ラインの「ZAKIMI ゆく」「ZAKIMI 顔」が追加された。計11種類のテイスティングは「セミナー史上最多」(砂山さん)だという。

+写真_ウイスキー_試飲

約2時間のセミナーの、最後の30分は質疑応答。「樽貯蔵酒をリキュールとして販売する際の添加物の選び方は?」「エンジェルズシェアで減った分の継ぎ足しはするの?」など、ディープな質問が飛び交った。

+写真_ウイスキー_拍手

参加者で、TWSC焼酎泡盛部門審査員の神吉佳奈子さんは「泡盛に含まれる甘焦げ香がポジティブなものか、オフフレーバー(異臭)なのかの判別が難しく、昨年審査員をやるにあたり沖縄で特訓をしました。今日は直火式蒸留機ならではの香りを大事にされてきた蔵元さんの話が直接聞けてよかったです。石垣島のお酒には、複雑さを感じます」と話してくれた。

同じくTWSC焼酎泡盛部門・洋酒部門の審査員を務めるフリーライターの沼由美子さんは「蔵元さんの丁寧な説明のもと、多くの飲み比べができたのがよかったです。泡盛の魅力は全麹由来の味が太さと、熟成の面白さですね」との感想。

泡盛イベントでもよくお見かけする男性参加者は、ウイスキーがテーマのセミナーにも頻繁に参加しているという。「ウイスキーファンもニューポット(樽詰め前の透明な原酒)を飲む機会が増えている。泡盛と楽しみ方の共通点は多いのでは」と語ってくれた。

+写真_ウイスキー_グラス

「座喜味社長から石垣島に直火式蒸留機があると聞き、蒸留酒畑の人間としてすぐに興味を持った」という代表の土屋さん。石垣島を訪ね酒造所を巡るうちに「泡盛は本格的に見る価値がある。今取り組むべきだ」と感じ、沖縄本島も含めハイペースで20の酒造所を回った。
「泡盛の全麹仕込み、単式蒸留という潔さは、シングルモルトのウイスキーに通じるものがあって面白い。酒造訪問を加速させ全部見ることができたら、来年くらいに泡盛の本を1冊書きたいと思っている」と、今後のビジョンについて語ってくれた。

+写真_ウイスキー_土屋氏

(文・写/岡山進矢東京支部長)

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