僅か3年間で三倍の伸び~貯蔵能力を増やす時です。~

   

前号でこの号では菊之露酒造と下地潔前社長(故人)について書きます、awamori_yomoyama_67_awamori-earnings_three-fold-in-three-yearsと予告したが、次号で触れることにしたい。今、わが琉球泡盛がすこぶる好調に推移しつつある現況について書くことにする。

特に県外での伸びが大きく目を引く。平成16年(2004年)6月21日に沖縄国税事務所が発表した記者提供資料によると、平成15年(2003年)度の県内移出数量は20,102KLで前年比101.3%、県外が6,205KLで前年比171.6%となっている。

平成13年(2001年)度の県外移出数量は2,802KL、平成14年(2002年)度が3,616KLと伸びてきていて、僅か三年間で約三倍の伸びを示している。数量的にはまだまだの感はあるが、この伸び率は瞠目(どうもく)に値する。

同事務所の酒類課税高等状況では、平成15年度の泡盛は26,307KLで前年比112.2%、ビー
ルが35,886KLで前年比98.7%、その他の酒類(清酒、泡盛を除く焼酎、果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ類、リキュール類、発泡酒などの雑酒)が20,250KLで前年比116.5%増となっていて、ビールが滅となっている。

沖縄県酒造組合連合会の仲里善徳専務の説明によると、平成15年度の全国の焼酎乙類(泡盛含む)の移出数量はトータルで431,953KLで、その中で泡盛のシェアは6.6%となっている。

何年か前に私は或る雑誌に「山は動いた」と泡盛の今後を表現して書いた。いい物は必ず評価され、消費者が振り向いてくれる。どんなに痛飲(いや適度に飲むこと)しても翌日頭に残らず、きわやかに目覚めさせるのが我が琉球泡盛のひとつの特徴だ。しかし・・・、問題はこれからである。3年後には特別措置の恩恵が切れる。本土の焼酎乙類と全く同じ酒税となる。

今、九州の焼酎業界も豊富な長期貯蔵熟成古酒を保有している。四ツに組むには体力があまりにも違う。泡盛製造業者46場の内製造に余力のある工場は殆んどないのではなかろうか。中には多大な資金を投入して設備を整え、大量の貯蔵酒を保有している所もある。

が、それは僅か数社ではなかろうか。今、何も売り急ぐことはない、と私は考える。熱烈な泡盛消費者の中には、一般酒で十分太刀打ち出来る、という人もいる。なるほど一般酒といっても殆んどのメーカーは1年以上貯蔵した酒をブレンドまたは1OO%で出荷しているのが現実であり、ふた昔前とは比べ物にならないほど我が琉球泡盛酒はキレイになり、味の深みも違う。

これは“第一線部隊として”の絶対的な強みではある。同時に刻一刻動く市場をにらみながら小結、関脇、大関、横綱を育て上げておくべきではないか、と私は切実に思う。大、中、小それなりに設備に力を入れて製造と貯蔵能力を増やす時ではなかろうか。

2004年8月号掲載

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