逸材探訪 ~鑑定官が若き匠に聞く~(崎山酒造廠編)

  • [公開・発行日] 2017/06/19
    [ 最終更新日 ] 2018/06/06
   

小濱:飲んではいないですよね!?

津波:興味を持ったということで。それで、泡盛に興味を持ったことと、学校での授業の科目で好きだったのが科学系だったこともあり、「泡盛」「食べ物」「科学」をキーワードに進学する学科を探しましたら、食品化学、特に醸造学にたどり着きました。学校で言えば東京農業大学の醸造学科とあと数校しか候補に残らなくて、農大に入学しました。そして農大でも、泡盛を研究テーマの一つにもっている研究室に所属しまして、泡盛を造りたいという気持ちがますます強くなりました。先生には、女子が泡盛の製造に就くのは難しいんじゃないか?とは言われましたが。

小濱:厳しいご意見で。

2017_look-for-outstanding-talent_vol7_sakiyama-shuzoshou04津波:それで、社長が同じ研究室出身だというご縁もあって、崎山酒造廠を見学させていただき、この時、一つ一つの工程を大切にしている崎山酒造廠の酒造りにとても魅力を感じて、もしよければ働かせていただけないかとお願いしました。

小濱:自己PRしたわけですね。

宮本:行動力ありますね。

津波:いえいえ、研究室のご縁や、社長や専務のおかげで崎山酒造に入れた感じです。すみません、長くなりました。

比嘉:今の話、どっかにまとめてあるのかい?

平良:思った、話す内容がまとめてあったんだよね?我々のハードルが上がった(笑)。

宮本:サクセスストリーですね。

小濱:全体的に計画性があって、用意周到な感じですね。

津波:用意周到って…(笑)。

小濱:それでは次に比嘉さんお願いできますか?

2017_look-for-outstanding-talent_vol7_sakiyama-shuzoshou05比嘉:崎山酒造廠の製造部の比嘉寛昭です。地元の高校を卒業した後、上京しまして、その後、海外にいきまして。

小濱:海外ですか?どちらに?

比嘉:アメリカです。

小濱:それは何をしようとされていたんですか?

比嘉:昔スポーツをやっていて、自分自身怪我が多かったので、スポーツトレーナーになろうと思いまして。

小濱:どんなスポーツをやられていたんですか?

比嘉:野球です。

小濱:野球のトレーナーを目指してアメリカに?

比嘉:はい。やはりアメリカがそういう職業の本場ですから。ただ、私が通った学校ではワインの醸造に関する学科もあって、途中でそちらの方が面白いと思うようになって、学部変更をしました。

宮本:その学校で学べるのは、醸造だけですか?

比嘉:原料の生産も含めて全部ですね。校内に農場もワイン工場もあって、ブドウを育てたり、ワインを造ったり、授業の一環としてワイナリーを回ったりもしました。

小濱:すごいエピソードですね。そういう人材が今、泡盛を造っていると。

宮本:なぜ、スポーツトレーナーからお酒の世界や泡盛の世界へ入られたのか興味がありますね。

比嘉:そもそもお酒がある場って楽しいじゃないですか。

小濱:ええ。

2017_look-for-outstanding-talent_vol7_sakiyama-shuzoshou06比嘉:酒の場では、普通は会話が一番の主役で、二番目が料理ですけど、お酒はそんな主役の会話を弾ませたり、料理を引き立たせたりする名脇役としているわけです。それでも、必要に応じで「この酒美味しいな」みたいな主役にもなれるこのいぶし銀的な役割がたまらないんですよね。知らない土地で友達を作るのにも酒の場が役に立ったし、酒の場なら歳の離れた先輩とかでもすぐに打ち解けあえたりして、酒っていいなーと、気が付いたらお酒の魅力にハマってしまいました(笑)。

小濱:泡盛について興味がわいたのは、どうしてですか?そのままワインの世界に行くことも可能でしたよね。

比嘉:沖縄から出て、本土で暮らすと普段は感じない沖縄の良さって感じるじゃないですか。海外にいったら今度は日本の良さが見えてくるみたいな。また、外に出ると自分が何者かというアイデンティティを強く意識せざるをえないんですよ。本土に行けば、自分は沖縄人だ、海外に行けば自分は日本人だという感じで。自分がそう思わなくても相手がそう思ってくるので。そして、海外では、自分自身のアイデンティティ、日本人であることに誇りを持っていないと相手にしてもらえない雰囲気もあって。そうやって、外に出ることで、日本や沖縄を強く意識するようになって、その文化にも興味がわいてきたんです。

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