神村酒造の古酒蔵完成15周年感謝祭レポート

   

創業130年(明治15年創業)の歴史を持つ神村酒造(うるま市)にて9月20日(日)、2015_09_20_kamimura_awamori_15th_Thanksgiving_kaisetu泡盛文化を伝承し限定泡盛や泡盛を楽しむための酒器などを販売するギャラリー兼直売店の「古酒蔵」の15周年を記念して、「古酒蔵完成15周年感謝祭」が行われた。

当日は、参加者全員による工場見学から始まった。まず、中里迅志専務の案内で工場へ向かう前にビデオで泡盛ができるまでを簡単におさらいをする。工場では泡盛の原料となるタイ米や米麹、酵母に触れ、洗米機や蒸留釜などの説明をうけ、機械化された泡盛作りの工程をレクチャー。それから発酵する「もろみ」を見るため、髪の毛が落ちないようにキャップをかぶりスリッパに履き替える。

2015_09_20_kamimura_awamori_15th_thanksgiving_moromi_description仕込んで4日目という「もろみ」は、若いためにまだ米の粒々が残っており、植物臭の中にすっぱい匂いが感じられた。それに比べて18日目となる「もろみ」は発酵が進み熟成した濃厚な甘い香りというか、熟しすぎたバナナのような香りがした。この香りがさらに強くなると「もろみ」を蒸留へ回し泡盛になっていくのだという。
      
2015_09_20_kamimura_awamori_15th_Thanksgiving_moromi_4or18_day「もろみ」の見学を終えると今度は樫樽の前で貯蔵の話となった。神村酒造は県内で最初に樫樽貯蔵を始めた会社で、そのきっかけとなったのがNHKの朝ドラ「マッサン」のモデルでもあるニッカウヰスキーとの繋がりから。

2015_09_20_kamimura_awamori_15th_Thanksgiving_subaru_nikka_whisky沖縄が本土へ復帰する前、昭和36年に琉球ニッカウヰスキーが設立される時にパートナーとなったのが神村酒造とのこと。その縁で琉球ニッカウィスキーから神村酒造の「昴」という泡盛も販売していた。残念ながら現在は販売終了となっているため現物はほとんどなく、飲むことができないので写真に収めた。

およそ、50分の工場見学を終えると古酒蔵へと戻った。

古酒蔵では企画担当の中里陽子さんが泡盛の歴史と古酒の魅力を紹介。その後、神村酒造を代表する2つの銘柄、「守禮30度」と「暖流30度」を試飲。口の中に広がる香りや味わいが微妙に違い、暖流にはほのかな苦味があった。企画担当の中里さんによればその苦味が炭酸とよく合うため、神村酒造では暖流のハイボールを「暖ボール」と呼び、暖流の新しい飲み方として提案しているという。

それから「守禮5年古酒44度」と「暖流古酒40度」を試飲。2015_09_20_kamimura_awamori_15th_thanksgiving_tasting新酒では少しの差しかなかった2つの酒の味わいの違いが、古酒でははっきりとした違いになって現れた。「暖流古酒」の一口目はまろやかさが際立っているのだが、「古酒守禮」だと一口目は少し刺激があるが、少し時間をおくと香りの花が開くというか、お米の香りや花の香りなど馥郁とした味わい深さが感じられるようだった。

どちらの酒にも特徴があり、どっちの古酒が旨いというのではなく、どんな時にどの古酒が飲みたくなるのかと考えさせる味わいだった。飲み比べることで古酒に対する選択肢がさらに広がっていくようだった。

最後に試飲したのが「芳醇浪漫」。アルコール度数51度ということだが、パンが焼けたような香ばしがあり、コクのある甘い味わいは新酒とは思えない旨さだった。「芳醇浪漫」は神村酒造とバイオ研究開発の㈱バイオジェットが共同開発した「芳醇酵母」というのを使っており、独自の甘さと香りはこの酵母が生み出しているという。

実は「芳醇酵母」の生み出す香りには、いわゆる古酒香といわれる「バリニン」と「マツタケオール」の2つの成分が濃く含まれており、新酒でありながら古酒のような奥深い甘みと香りを持っているのである。

2015_09_20_kamimura_awamori_15th_thanksgiving_bio_jet_tsukahara試飲あとは「芳醇酵母」を共同開発した㈱バイオジェット代表の塚原正俊氏による泡盛講座が開かれ、有用微生物の研究者の立ち場から「泡盛の魅力」を語ってくれた。特に泡盛は世界でも類を見ない黒麹菌を使っていることや、副原料を用いない全麹仕込みであること。そして古酒になるというところがすごいところだと語った。

さらに、麹菌と酵母の微生物も泡盛を造る上で欠かせず、しかも高温多湿の沖縄の気候風土にピッタリの微生物の働きだともいう。そして沖縄県民が何よりも子供の誕生や新築祝い、あらゆる場面で泡盛や古酒を大事にする文化が残っているのが素晴らしいと語った。講演を聞いているとだんだんと泡盛が飲みたくなったなぁ、と思ったところで講演は終了した。

最後は塚原氏を交えて懇親会が行われ、2015_09_20_kamimura_awamori_15th_Thanksgiving_kosyu_syurei_bin_kame15周年記念の趣旨に沿って古酒蔵が完成した時に詰めたというビン貯蔵とカメ貯蔵の15年古酒が振る舞われた。若いときからいろいろな古酒を飲んできたが、まったく同じ泡盛をビンとカメで貯蔵した古酒を飲む機会はほとんどなかったので、この飲み比べは楽しみであった。

 

ちなみに懇親会では今回の古酒に合うよう、豆腐ようとオキハムのスーチカー、トマトソースのパスタが用意されていた。泡盛の良さはなんといってもどんな料理にも合う2015_09_20_kamimura_awamori_15th_Thanksgiving_makanaiところだが、企画の中里さんによれば今回の料理はどれも古酒蔵で販売している商品を温めたり、軽くひと手間だけかけただけのものだという。黙っていればそうは思えないほど完成度の高い料理だと思った。

肝心のビン貯蔵とカメ貯蔵の古酒だが、15年という年月をかけたというだけあって2種類ともそれぞれに熟成が進み、味わいに多少の違いがあった。

ビン貯蔵に比べカメ貯蔵の古酒は熟成度が進んでまろやかになっていたが、かすかにカメの持つ土臭さというか野暮ったさがあったものの、花のような香気と甘い香りがコクの
あるまろやかさを生み出していた。

ビン貯蔵はカメに比べ熟成度はまだまだだったが、泡盛が持つ本来の香りと純粋な旨みが感じられた。どちらも好みによって分かれるが、カメの古酒は豆腐よう、ビンの古酒はスーチカーとよく合っているのが面白かった。

2015_09_20_kamimura_awamori_15th_thanksgiving_factory_tour_kadekawa_manabu今回、神村酒造の古酒蔵完成15周年記念感謝祭で味わえた2つの15年古酒飲み比べは、これまでの酒飲み経験では味わえない貴重な体験であった。今度は5年後の20年目の飲み比べが楽しみだと思いながら感謝祭を終えて神村酒造を後にしたのだった。

(嘉手川学)

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