望まれる泡盛業界の団結(昭和46年10月20日)

  • [公開・発行日] 1971/10/20
    [ 最終更新日 ] 2016/05/09
   

1971_10_20_unity-of-awamori-industry-is-desired以前からくすぶり続けていた泡盛業界は乙酒造以下のブレーンメーカーが原料用砕米をD食糧会社から購入し始めたことによって決定的となってきた。これまで連合会のライセンスで泡盛産業KKが原料砕米を輸入して会社運営も何とか切り抜けてきているが、これでいよいよ問題は深刻な現状に直面したようである。

ここまで至った背景には、いろいろな問題が絡んできている訳だが、1番大きな直接的な原因は連合会の役員問題だと云われ、いろんな憶測が流れ、ついに購入拒否の態度に出る結果となったようである。

文字通り現代版の兵糧攻めと云うところだろうが、しかし問題はそう簡単に文字で片付けられる問題ではない。

或る業者が云うように、現役員が退陣するまでは協力できない、或いはまた前役員を存続させておけばこう云うことにはならなかっただろう等の発言に至っては、最早現役員無視と云うことにしかならないのではなかろうか。

姑の嫁いびりみたいな行動は厳に慎むべきである。表面上はいたって穏やかでも、裏では現実にこう云った事態が起きていると云うことは、業界全体の後退を意味するものであり、決して泡盛業界の前進への良策とは受け取り難い。

この業界の最大の欠点は過去に於ける個人感情による非難中傷と云うことに集約されようが、どうも冴えない話である。

“琉球泡盛は約500年の伝統ある酒と云われているが、頭もそれに劣らぬくらい古い伝統を持っている”と或る業者から云われたことがあるが、皮肉られても故なしとしないであろう。

その背景の今ひとつにM酒造以下ブレーンメーカーのO食糧会社からの原料米購入問題が有る。

M酒造は以前から独自にO社と契約を交わしているが、業界内部に非難の声があったのも事実である。同社の云い分は全く同質の原料であれば安い所に手が出るのは商いの常識だと云うことになれば、組織とのつながりの面はどうなってくるのか。

過去の時点で再三に亘って原料米は多量買い付業者と少量業者とは価格差があってしかるべきだと云うことで、泡盛産業KKに交渉して譲られなかったと云う経緯もあるようだが、これも今の時点では自ら情勢は異なってきているのではなかろうか。

片やコストの問題ではない。片やコストの問題だとそれぞれニューアンスの全く違った話しぶりをしているが、いずれ古米も使わされる覚悟もしておかなければならない復帰の時点でもしかりに泡盛業界全体が撹乱(かくらん)されているとしたら、全く他の業者にとっては傍迷惑(はためいわく)な話だと云えよう。

“船頭多ければ船山に登る”の例え、この業界には余りにも船頭が多過ぎる割には、真っ向から荒波に向かって難関を突破して乗員を無事に引っ張っていく名船頭に乏しい感が強い。

企業合理化に伴う未納税移出同業者間の何々派閥も結構品質向上や安定利潤にも通じているとなれば、併せて業界全体の問題も連合会の中でとくと個人感情に溺れることなく吟味されて然るべきではなかろうか。

又、菅間博士も指摘しているように、過去は過去であって恩讐にとらわれずに現執行部に全面協力していき、その補佐指導は各業者自ら買って出るべきではなかろうか。同時に現役員も就任した以上は、いざとなれば解散と云う直情的な考え方を現時点では考えずに、組織強化策を積極的に呼びかけるべきであろう。

又、やがて株式会社何々酒造と云う会社組織も出てこようし、その辺の情勢も敏感に読み取って対策を講ずべきであろうし、その時は又組織の再編も考えられよう。

いずれにしても、同業者でありながら何々派、何々派系とか策謀だと云うような、或いはまだ今は協力できないと云う考え方であれば、例え今後形を変えた新組織が生まれてきたとしても自分が役員になった場合、誰が協力すると云うのか、泡盛全業界の発展のために全業者が謙虚な反省をすべき時だと云えよう。

口を開けばオームみたいに固定概念だけで物事を論ずる業者もいるが、この際、自分自身で目覚めてほしいものである。

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