瑞穂酒造が本土復帰にそなえ鹿児島へ先制(昭和44年11月1日)

   

沖縄酒類醸造株式会社、通称瑞穂酒造(社長 玉那覇有義氏)では、かねてから本土復帰に備え市場の拡大を本土に求めるべく、1969_11_1_kagoshima-cm-broadcast_mizuho-syuzouその対策を検討中であったが、此の程、玉那覇社長が上鹿し、琉球泡盛株式会社(鹿児島在)と最終的契約を結び、10月早々出荷することを明らかにした。

玉那覇社長の話によると、沖縄のシェアも着実に伸ばしながら、それと並行して本土市場の獲得が今後の大きな課題であり、復帰後の自由流通機構への対処策だという。この計画は文字通り鹿児島への先制攻撃である。

人口約180万の鹿児島県は非常に自県産の焼酎に高い誇りをもち、バーやキャバレー等でも優先して愛用しており、そのため他県からの酒類は殆ど入っていないと云われているが、年間焼酎だけの消費量が約15万石(25度)、年間1人当りの消費量が8升4合も消費されている訳で、この他にもビール、清酒、ウイスキー等もある。

これを沖縄のそれと比較してみた場合、乙類だけで年間約3万6千石(年間1人当り消費量3升6合)の消費量で、沖縄の3倍以上の消費市場を持っている訳だ。

ともかく、こう云う実情から同社では品質のよい琉球泡盛は十分にたち打ちできると見ており、去る9月15日、玉那覇社長は上鹿した折、鹿児島で有力な民放南日本放送と半年毎契約更新で、本格的にCMを流す契約を交してきている。

それによると昼の11時30分から12時45分(毎日30秒のタイムランチ)で既に放送されている。いずれにしてもおどりクフアデーサーのバックミユージックにのせて“琉球の地が育てた本場琉球泡盛古酒瑞穂、近くの有名酒店で・・・”の謳い文句で殴り込みしてはおだやかだが、業界では初めての本土でのCM業界の注目を集めるのは必至だろう。

以下、玉那覇有義氏談
「これはあくまでも本土復帰に備えての対策でありますが、戦前は国民所得が本土より低い為、本土より税率が低い本土に移出する場合は本土業者と対等な立場で販売させる為に税率の差較分を出港税として本土に於て課しておりましたが、今後本土進出に際して税率は同じでもよいと考えますが、船賃の分の特恵措置を構じて貰えば、品質の向上した私達郷士の泡盛は本土で競争しても十分の販路の拡張が出来るものと考えています。」

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