2019年八重山の産業まつり&第55回石垣島まつりレポート(文・写/古賀桃子九州局長)

   

石垣市の中心部、離島ターミナルにほど近い新栄公園および隣接の石垣市市民会館で、令和元年11月2日(土)、3日(日)の計2日間にわたり「2019年八重山の産業まつり(同実行委員会)」および「第55回石垣島まつり(同実行委員会)」が開かれた。

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石垣島まつりは例年通り、主要道路でのパレードやステージパフォーマンス、飲食ブースやライブ演奏など野外での多彩なプログラムが組まれていたが、例年との違いは、メイン会場である新栄公園におけるオープニングセレモニーでの旗頭共演。令和に入って最初の回であり第55回という節目となることを記念して、初日は市内7地域公民館の旗頭が一斉に揃い踏みした。石垣市は南部に中心市街地があり、中部から北部にかけては人口減少が著しい集落が点在している。ただ、どの地区も住民の絆が強く公民館活動も活発なのが特徴で、いずれの演技も、地域のパワーに満ちた迫力あるものだった。

s-IMG_3822友好親善都市ブースは10地域(前年より5地域増加)の出展があり、例年に増して人だかりができていた。おなじみの部活動資金造成ブースでは、去る10月の高校野球秋季九州大会で健闘した八重山農林高校野球部の活躍も手伝ってか、例年に増して生徒・保護者が活気付いているように映った。初日、来場者がぐんと増えてきた昼食の時間帯に合わせて、ステージ上で「ミス八重山」が産業まつりをPRした。
s-IMG_3779那覇市で開催されている「沖縄の産業まつり」は一般市民・事業者の双方に浸透しているが、「八重山の産業まつり」は「石垣島まつり」に合わせた企画となっているため、両者が別のイベントとまでは認識していない人の方が多いという。今年はチラシ・ポスター類を別々に作成してPRする新たな試みがなされていた。未出展の事業者も含め目玉イベントとして浸透していけばと願う。

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八重山の産業まつりは、市民会館・中ホールおよび周辺に八重山エリアから23の事業者が出展。出店数は前回よりぐっと減ったものの、今回からは専門家による個別の助言指導も交えているとのこと。中には、商品のブランディングに着手したばかりの新規事業者の出展もみられた。

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泡盛メーカーからは、請福酒造(本社:石垣市)、八重泉酒造(本社:石垣市)、崎元酒造所(本社:与那国町)が出展。八重泉酒造は2年ぶりの出展となった。

請福酒造は「尚」や「IMUGE.(イムゲー)」といった話題性の高いラインナップを陳列するとともに、この日に石垣島出身の女性アーティスト・PANA(パナ)氏とイベントを開催することにあわせて製造した100本限定でのコラボ記念泡盛「PANA」(360ml)を販売。事前告知は全くしておらず、このため、来て見て初めて知った泡盛ファンも少なからずいたことだろう。

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八重泉酒造は請福酒造と同じく「尚」を陳列していたが、記者発表時から酒販店や飲食店からの反響が大きかったとのこと。

地元の泡盛関係者やファンにとっては、一週間前に開催された「沖縄の産業まつり」での発売を待って、隣接の請福酒造のそれとともにようやく試飲・販売できる待望の機会となった。タクシーやレンタカーを利用して蔵見学に来ることが増えている欧米の観光客からは、オーク樽で熟成させた「八重泉 BARREL(バレル)」とともに好評を得ていた。

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今回の産業まつりではバレルを販売する予定はなかったものの、来場する外国人にもPRするため急きょ搬入したとのこと。また、今年2月発売の石垣島産ひとめぼれ100%で醸造した「島うらら」、色鮮やかなハーブリキュール「バタフライピー」といった独自性ある商品も陳列されていた。「島うらら」は、女性をはじめ「泡盛=臭い」とのイメージが先立ちがちな人たちからも好評を得ている。

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崎元酒造所は与那国町の泡盛メーカーの中では唯一出展を続けている。泡盛メーカーにとっては目玉イベントである「沖縄の産業まつり」と「離島フェア」の合間を縫っての出展で、なおさら負荷が大きいものと思われるが、「離島フェアで巻き返しますから!」(同社・崎元氏)。クバ巻のボトルが目を引く定番「与那国」の他、健康志向のトレンドを受けて開発した「長命草酒」(焼酎)、長命草酒の蒸留後のもろみを搾ってろ過した「長命草酢」も並んでいた。毎年の産業まつりでの購入を楽しみにしている与那国町出身の石垣市在住者も多い。

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友好親善都市ブースでは、産業能率大学(本部:東京都)が株式会社ユーグレナ(本社:東京都、石垣市内に複数の生産・研究開発拠点あり)・石垣市とともに実施中の「石垣島ー自由が丘ブランディング」の一環として開発されたクラフトビール「石垣パインIPA」も販売されていた。

醸造にあたっては、ごみ減量で有名な徳島県上勝町にあるクラフトビールメーカーの支援を得ているとのこと。エリアや属性を超えた連携ぶりとブースに立つ学生たちのいきいきした姿に、日本の酒造シーンの将来が明るいものとなるよう祈るような気持ちになった。

毎回の八重山での産業まつりで感じていることではあるが、とりわけ離島となると何かとハンデが伴いがちであるものの、産業まつりへの出展を通じて、沖縄本島や県外の出展機会にも果敢にチャレンジする事業者の発掘・育成につながれば、産業まつり自体の活性化にもつながることだろう。

主催する実行委員会でブラッシュアップのための新たな試みが始まっていることに大いなる期待を寄せたい。

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(文・写/古賀桃子九州局長)

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