わが琉球泡盛が8年も老化現象を起こしている。何故か、その要因はいろいろあろうことは理解できる。消費者の健康志向、アルコール離れ、料飲店離れ、家庭内飲酒による少量消費等現代人はひと昔と比べ利口になっている。いまひとつはうまい酒を飲む人間になっているということだろう。それも“安くてうまい酒”になりつつあると言える。琉球泡盛を造っている人々にとってはこういう現実をどうとらえているのか。新商品作りに汗を流すのは言うまでもないが、本流を忘れてはなるまい。昔の話になるが、或る業者が工場前にトタン屋根を造って一升びん詰めを何百本も貯え、相当の年数後にこの酒を市場に出したら忽ち3件の酒造場が廃業に追いやられてしまった。これなどは消費者の味覚の鋭さを如実に物語っている例だ。前に触れたように家庭内飲酒家が多くなっている現在、消費者の味覚は研ぎ澄まされているのである。スーパー等酒類陳列棚を見るとわが県産酒類コーナーが脇に追い遣られ県外酒類が“主賓”となってきている。つまり「売れる商品」な訳だ。ひと昔前までは飲む人が酒を買いに出掛けていたが、現在は殆んどが主婦が多くなりつつあるのも様変わりだ。池宮城秀意さんは琉球新報の編集局長から社長になった方だったが、この人がかつて言った言葉に「酒造業のオッサンたちにその知恵がなければ、県役人が知恵を貸せばいい。役人ができなければ経済人の誰かがやればよい。沖縄人がダメだとあれば県外からでも外国からでも知恵のある者を連れてくればいい」と述べている。これほど左様に業界にはまだ旧態依然とした体質が残ってはいまいか、これは売れるか売れまいかの以前の問題だ。泡盛同好会に対してもそういう体質があるやに思う。過小評価をしているのではなかろうか。同好会の毎例会に酒は無料で出品して顔は出さないメーカーが多い。汝の足許を掘れと賢人は言った。県内の消費者も忘れないで欲しい。泡盛製造業者はおしなべて宣伝も下手だ。売れないから宣伝しないという。逆じゃないでしょうか。前出の池宮城秀意氏は昔こんな事も云っていた。「泡盛業者は何も宣伝しない。何でも我々周囲の人が宣伝しているようなものだ」と述べていた。それは決して言い過ぎではない様な気がするのだが・・・。
平成25年12月21日 掲載記事