2017年7月11日(火)、ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城(那覇市)3階にて、那覇市首里地区の4泡盛酒蔵所とタイアップした「首里紀行物語ディナー」が開催された。
この会は、泡盛の卸・小売業の喜屋武商店(喜屋武善範社長/那覇市)が今年5月から販売している、首里4酒造所の泡盛をブレンドした首里紀行(30度)を含む首里の泡盛と、ホテル自慢の食事とのコラボレーションを楽しむ会となっている。同ホテルのリブランド一周年を記念する行事の一環として、喜屋武商店が企画した。その第1回目の今回は、瑞泉酒造と日本料理「富士」がコラボする。参加費は1人3,500円(税別)。
今回は誰も誘わず(誰も誘えず?)ひとりで参加した私は当然のことながら相席覚悟で会場に到着すると、すぐに4人掛けのテーブルに案内された。が、先客はなぜかみな顔見知りで、あっという間に緊張感が和らいだ。
間もなく、ウェルカムドリンクの梅酒(瑞泉 沖縄黒糖使用梅酒)が運ばれた。会が始まるまでまだ時間があったので、隣席の皆さんと会話をしながらその梅酒を少しずつ味わった。
会はホテル副総支配人の浅沼源太郎さんの挨拶でスタート。「那覇市の首里にあるホテルとして、首里地区の酒蔵4カ所とのコラボレーションディナーを、本年7月から来年まで3カ月に1度、内容を変えながら食事と泡盛を堪能していただきたいと思っています。4酒造所の泡盛をブレンドして作った“首里紀行”もこの機会にぜひ味わっていただきたいと思っています」と述べた。
続いて、喜屋武社長が挨拶にたった。「泡盛の需要が低迷している中、地道な活動が必要となる。”首里紀行”の発売により、古都首里の泡盛の魅力を発信していくとともに、琉球泡盛全体をPRしていきたい」また、坂口謹一郎先生の論文や新井白石先生の著書にも触れ、「泡盛は世界のスコッチ、コニャックやブランデーに負けない名酒である」とも力強く語った。
次に、瑞泉酒造の佐久本社長からは「当社は今年創業130年を迎えることが出来た。私で6代目となるが、3代目が戦前そして戦後の復興に尽力してくれたお陰で今がある」と語り、”首里紀行”に関しては「どの泡盛メーカーも自分たちの酒に誇りを持っているので、複数の蔵の泡盛をブレンドしたこのような酒は自分たちにはなかなか出せない。そこを喜屋武商店さんが間に入りうまく話をまとめていただいた。」と感謝の辞を述べた。
その後、料理長の挨拶と調理場スタッフの紹介があり、お待ちかねの食事がスタート。“首里紀行”は各テーブルにカラカラで出された。甘い香りと口当たりの優しい飲みやすさが特徴で、ロックや水割り、お湯割りなど多様な飲み方に合う。参加者は各自思い思いの飲み方で楽しんだ。カラカラは名前のとおりすぐに空になってしまい、何度もおかわりをお願いした。
また、今回は瑞泉酒造とのコラボということで、“首里紀行”だけではなく、瑞泉酒造の秘蔵酒も楽しむことができた。ひとつは“御酒8年42度”で、戦前の黒麹菌を一部使用した甕貯蔵の泡盛。レギュラー品は30度で、今回の秘蔵泡盛は産業まつりにしか出さない仕様になっていると瑞泉酒造の池原呂桜良さんから説明があった。そして、もうひとつは“おもろ15年43度”で、こちらはステンレスタンク貯蔵の泡盛である。
“御酒8年”は古酒感があり、口当たりもまろやかな甘みを感じる泡盛であった。一方の“おもろ15年”は、もちろん御酒よりも倍近く貯蔵した古酒ではあるのだが、まだまだ元気ハツラツ(表現が古い?)、とても力強さを感じる泡盛であった。
お腹も満たされ、会も落ち着いてきたところを見計らい、泡盛グラスを持って瑞泉酒造の3名(佐久本社長、池原さん、山城さん)が座るテーブルへと移動。“首里紀行”や発売されたばかりの“ZUISEN LEGARE”( パッションフルーツ香るスパークリング泡盛リキュール)、TV放映された『御酒物語』の話などで盛り上がった。
そうこうしているうちに、料理はどんどん運ばれてくる。泡盛も料理も会話も楽しすぎて、自分の分身がいればいいのに、と思いながら食事のために自分の席へと戻ったのだった。
出てくる料理は一品一品とても美味しく、“首里紀行”ともよく合うように工夫されている。料理長によれば、調理の過程で所々に“首里紀行”を使用しているとのことだ。
正直このクオリティで参加費は3,500円(税、サービス別)であれば、大満足である。ぜひ、次回も参加したい。
その次回は、首里最古の蔵元瑞穂酒造と中国料理「舜天」とのコラボレーションディナーで、10月開催を予定してるとのことだ。
(文・浜田隆幸)