4月9日(土)、10日(日)の2日間にわたって糸満市西崎のまさひろ酒造本社で第1回まさひろ蔵まつりが開催された。あいにく両日とも雨天となったが、多くの泡盛ファンやまさひろファンが集まり、イベントも大いに盛り上がった。
ボクが出かけたのは初日の9日(土)。当日は朝から雨で、ボクが会場に着いた13時30分頃は猛烈な雷雨で、文字通りバケツの水をひっくり返したような雨と、大音響で空いっぱいにカミナリが鳴り響いていた。傘をさしたボクは逃げ込むように本社ビルに飛び込むと、偶然というか必然というか、目の前に試飲コーナーがあったので「ここは駆けつけ3杯だ」という思いで、たまたま担当者が持ち場を離れていた試飲コーナーに準備されたチブグヮー(猪口)の酒を口に含んだ。
まずは「まさひろ5年古酒甕貯蔵 35度」を試飲。テーブル上を見てみると蔵元限定商品と書かれていた。甕貯蔵の5年古酒ということで、少し若さが感じられるけれど、香りが豊かで、ふっくらとマイルドな味わい、年を経るごとに美味しくなる酒だなぁと感じた。続いては一般酒の「沖縄県産米仕込み 泡盛まさひろ30度」。県産米を使い減圧蒸留のため甘みがあり口当たりも軽やかで香りはフルーティー。まさひろの一般酒としては今までにない磨きのかかった味わいがあった。
次は「首里城正殿 3年古酒 30度」。首里城を彷彿させる赤いラベルが印象的で、樽貯蔵の古酒をブレンドしているので香りがよくすっきりとした味わいだ。次は同じく「首里城正殿 10年古酒 40度」。樽貯蔵がベースというだけあってバニラのような上品な甘い香りとコクというか厚みのある深い味わいがあり、40度とは思えないほどまろやかな甘味が感じられ、思わずおかわりをしてしまった。
続いては大人気の梅酒の「梅人(うめんちゅ)」を試飲。自社の人気銘柄「海人(うみんちゅ)」をもじったネーミングなので、スタッフに聞いたところ、電話注文だと相手の発音が「梅」か「海」か聞きづらい時はややこしいことになるそうだ。そんな「梅人」は大粒の紀州南高梅をていねいに泡盛に漬け込んでいるため、雑味もなく梅の香りが高く深い味わいがあった。ベースになる泡盛の旨さも感じるため、さりげなく2度試飲のお代わりしてしまった。
それから、リキュールの「ちょっぴりあまい島唄ライチ」と「ちょっぴりあまい島唄シークヮーサー」、「ちょっぴりあまい島唄マンゴー」を立て続けに試飲。軽やかな甘さとフルーツの香りがいいなぁ、と思いつつ試飲コーナーの酒をすべて飲み比べたのである。
駆けつけ3杯のつもりが、多めに入れたチブグヮーで10杯も飲んでしまい、少し気分が良くなってきたので外に出てみると、多少弱くなったものの雷雨はまだ続いており、遅ればせながらプログラムをもらおうと本部のテントに行くと、なんと、この4月に泡盛の女王になったばかりの友寄美幸さんが微笑みながら佇んでいるではないですか。早速、名刺交換をして「これからの1年間、色々なところで会うと思いますので、よろしくお願いします」とあいさつしたら、友寄さんも「こちらこそ、今日が初仕事で緊張しっぱなしです。まだまだこれからなのでこちらこそよろしくお願いします」とニッコリと可愛いエクボを見せてくれた。
ボクは心の中で「しまったなぁ、もっと試飲をたくさんしておけば、酔いに任せて心と口が軽くなり、もっとたくさんアンダグチが使えたのに」と思った瞬間、ピカっと光った直後に雷がドーンと鳴った。「ウーム、やっぱり天は見ているなぁ。不純な考えを持って仕事をしてはいけないのだ」と思った。
友寄さんにあいさつをしたあと、ふるまい酒のテントへ向かう。とりあえずここでも「駆けつけ3杯」のつもりでお酒をもらうが、今回のふるまい酒はJA沖縄のシークヮーサードリンクで割って砂糖を加えた、甘いお酒になっていたので、3杯ではなく1杯だけもらうことにした。その代わり500円で古酒や一般酒、リキュールなど、おかわり自由のワンコイン泡盛にした。並べられた泡盛を端から順に、最初のうちは味わいながら飲んでいったのだが、何杯目からかどれがどんな味だったのかすっかり忘れてしまったが、ただ、8年古酒に樽熟成12年古酒を独自の比率でブレンドしたという新商品の「黄金まさひろ 8年古酒 30度」はまろやかで深いコクがあり、すっと飲めるけどじっくりと味わえる大人の味わいがした。また、初めて飲んだ「海人ゴールド 3年古酒」はスッキリとした味わいの中にも古酒の風味が感じられる飲みやすい味だったのは覚えている。
泡盛の味は覚えているが、ステージではエイサーや長渕剛のソックリさんのライブ、まさひろ酒造の社員による瓶踊りなどが行われていたが、ボクは偶然出会った近所の人とのユンタクに夢中になり、コップを飲み干してはおかわりを繰り返していたので全く覚えていないが、しゃかりの千秋さんがステージに立った時は、それまでの豪雨がウソのように止み、雷が遠くへ行ってしまったのでステージを見入ってしまった。
酔眼朦朧としながらも千秋さんの歌に聞き惚れて、それでもお代わりをすることは忘れずにひたすら飲み続けた蔵祭りだったが、雨の、しかも豪雨の中でも美味しい泡盛があれば心浮き立つように楽しいものだと思い、那覇へ帰る近所の人の車に便乗して、イビキをかきながら帰途へ着いたのであった。それにしても玉城さんありがとう。
(嘉手川 学)