平成28年1月15日、沖縄国税事務所は、酒類の品質向上及び安全性の確保をはかることにより、酒類業の健全な発展を促すことを目的とする、平成28年度、臨場技術相談及び製造技術指導を開始した。
初回の相談を行ったのは、沖縄県内では数少ない甕仕込みの泡盛を醸す石川酒造場(西原町)で、酒造場側からは、製造部の石川由美子主任研究員、同上間長亮係長が出席、沖縄国税事務所からは、小濱元主任鑑定官、髙江洲朝清鑑定官、そして沖縄県工業技術センターより玉村隆子主任研究員が臨場した。
臨場技術相談に先立ち、小濱主任鑑定官は関係者に次のようにその趣旨を説明した。
~小濱主任鑑定官臨場趣旨説明(挨拶) ~
皆様あけましておめでとうございます。
本日はご多忙の中、ご対応していただき、誠にありがとうございます。臨場技術相談は、泡盛蔵元の技術基盤の強化を目的として鑑定官が臨場して技術的課題についてアドバイスを行っています。昭和47年に沖縄に鑑定官が始めて配置された時から始まっており、今年で45年間継続して実施しています。
本日の臨場技術相談の目的は、事前にご質問いただいたモロミ管理方法について、現場でカメ仕込み泡盛モロミのその概観や香り等を確認しながらディスカッションを行います。
併せて実施する製造技術指導は、あらかじめ当方が準備した共通試料を、貴社の分析担当に実際に測定してもらい、アルコール分が精確に測定できているかどうかを確認させていただきます。
なお、本日は沖縄県工業技術センターの玉村隆子主任研究員と共同で対応させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上。
石川酒造場は1949年に那覇市首里で創業以来、芳醇で奥深い味わいの泡盛を求め、沖縄県内では甕でモロミを発酵させる”甕仕込み”にこだわりを持つ酒造場である。
現在、泡盛業界では一般的になっているステンレスタンクでの仕込みに比べ、甕での発酵は甕の容量や、形状が必ずしも均一でないこともあり、その管理に独特の難しさがある。
今回の相談内容も、その仕込み中の発酵速度に関するもので、臨場した鑑定官は現場でその工程を一つ一つ確認しつつ、温度調節、アルコール度数や日本酒度(比重)の測定方法や回数、そしてそれらのグラフ化などさまざまな視点で現場担当者と討議を行い、各課題に対するアドバイスを行った。
本件を皮切りに、沖縄国税事務所では、酒類製造業者の相談希望により適時、臨場技術相談及び製造技術指導を行う。