醸界飲料新聞、創刊1周年への祝辞(昭和45年6月1日)

  • [公開・発行日] 1970/06/01
    [ 最終更新日 ] 2015/12/29
   

「おめでとう!」当間重剛

1970_6_1_brewing-world-beverage-newspaper_1st-anniversary_congratulations_touma-jyugou特殊条件下の沖縄での業界紙として1年を迎えると云うことは並大低のことではなかったろうと察せられるが、よくも仲村君がここまで頑張って来たものだと心から拍手をお送りしたい。

話はかわりますが、鹿児島ではどんな宴会でも必ず県産酒である焼酎を一応出され、それを飲んだたらビール、ウイスキー等を好みに応じて飲んでいるんだが、そういった県民意識の高揚にもっとメーカー自体も積極的に努力され、又そのためにはやはり質的レベルアップに励んで貰いたい。

すべてのアルコール飲料の向上と消費者啓蒙と云う点で、醸界飲料新聞の意義は極めて大きいと云える。今後共醸界に限らず、広く社会浄化のために頑張って貰いたいと思います。

「犠牲的気持ちもしいられようが」沖縄黎明酒造工場 社長 安田 繁史

1970_6_1_brewing-world-beverage-newspaper_1st-anniversary_congratulations_yasuda-shigehumi県単位の業界紙と云うのは始めてであり、それだけ努力と犠牲的な気持ちがしいられることは、容易に推察できる訳ですが、ここに1周年を迎えられたと云うことを心からお祝い申し上げます。

先だって私は本土の醸造試験場へ行き指導を受けての帰り、大阪万博を見学して参りましたが、感じたことは地元酒のよさです。全国的な酒と云うのは、いろんな経路で消費者に届くわけですが、地元酒の場合は新鮮さそのものを直接消費者にお届けできると云うのが絶対的な強みです。

本土では防腐剤は自信のある業者はそれでよいし、そうでない業者は使用してもよいと云うのが国税庁の云い分でありますが、無害であるとは云っても人間は今や自然なものを要求する時代であり、日本酒“黎明”じゃ3ヶ月毎に新しい酒と取りかえており、今後も消費者に新鮮な日本酒を提供して参ります。

手前味噌になりましたが、今後益々醸界飲料新聞がご発展下さいますようお祈り致します。

「情報媒体としての機能をフルに」琉球ニッカウイスキーKK 社長 佐久本 政良

1970_6_1_brewing-world-beverage-newspaper_1st-anniversary_congratulations_sakumoto-seiryou創刊1周年めでとう。現下の沖縄は1972年復帰を控え、政治的、経済的にもかなり困難な時期を迎えております。我が社も、復帰対策、脱税防止、舶来洋酒対策、諸景品付セール等の困難な諸問題をかかえて、その解決策に懸命に努力致しております。

この困難な時期に“醸界飲料新聞社”が創刊1周年を迎えられたことは、極めて意義深いものがあります。現今のように、あらゆる製品が市場に氾濫し、マスコミを利用しての宣伝、販売競争が激しいところから消費者の目を眩惑し、混乱をきたしているのが現状のようです。

こうした中で、“醸界飲料新聞社”は、各メーカー、あるいは、メーカーと消費者相互間の情報交換の機関として、その役目は極めて大きいものがあります。創刊1周年を迎えられた現在、その使命の重大さを認識し、今後情報媒体としての機能をフルに生かして、沖縄醸造界に寄与されんことを期待し、併せて益々の御発展を祈念致しまして1週年の祝辞と致します。

「使命感をもって勇断を」瑞泉酒造工場 社長 佐久本 政敦

1970_6_1_brewing-world-beverage-newspaper_1st-anniversary_congratulations_sakumoto-masaatsu創刊1周年おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。創刊号が青いインクを使って発刊されたのはついこの間の様だが、月日のたつのは早いもので1年にもなったんですね。

沖縄では始めての企業ですので、ここまでくるには、いろいろ紆余曲折もあったと思います。この一周年を期に更に広範囲なご活躍をお願い致します。そして常に消費者と業界の良きアドバイザーとして、又時に勇断を以ってあらゆる問題を提起されるよう望みます。

新聞は社会の木たくと云われておりますが、その使命感を似って更に貴社が発展されることをお祈り致します。

吾々泡盛業界も本土復帰即ち本土業界に復帰することであり、今が一番大事な時期であります。今こそ業界が一致団結して本土業界に遅れをおとらぬよう努力していきたいと思います。

そして全業者が心の底から喜んで復帰を迎えるよう、又品質の向上、輪出面に力を注いでいきたいと思います。

「勇気をもって業界発展に」国際物産株式会社 社長 宮島 健次

1970_6_1_brewing-world-beverage-newspaper_1st-anniversary_congratulations_miyajima-kenji1973年本土復帰を目前に控え、沖縄のあらゆる企業が今や不安に追い込まれている中で、吾々の企業が一番そのショックを受けている企業といえよう。

その最たるものが輸入洋酒に課する税率、すなわち現行の185%から一拳に250%に引き上げようという税審の一部改正策の答申である。昨年は立法院の良心によって見送られホッとしたのも束の間、またまた送付されたが、250%に改正された場合、最早や吾々としては生きる道はないのであります。

復帰を急ぐのあまり、何でもかんでも本土法に早く近づけようとする政策は沖縄経済にとってこの上ないマイナスであり、もっと大所高所からの温い政治が望まれるべきではないでしょうか。

そういう時期に醸界飲料新聞も日中や1周年を迎え、山積みする問題点を勇気をもってとりあげ、業界全般の発展のために尽力下さいますよう、お願い申し上げ、お祝いのことば
に致します。

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