フラメンコ&生演奏de泡盛!みずほ月見会(瑞穂酒造)
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[公開・発行日] 2017/10/13
[ 最終更新日 ] 2017/10/31 - 飲む
瑞穂酒造(那覇市首里・玉那覇美佐子社長)は、平成29年10月8日(日)、瑞穂酒造構内において、首里末吉の名月と瑞穂酒造の泡盛を愛でる、みずほ月見会を開催した。昨年に引き続き2回目となる一般客を招いての月見会は、前回の好評をうけ、定員100名はすべて予約完売。チケットを手に入れることができなかった一般客が、何とか蔵に入れないか当日交渉する一面もあるほどだった。
会は、玉那覇社長が日ごろの感謝の気持ちを述べた後、瑞穂酒造の泡盛を大いに飲んで楽しんでほしいとの掛け声でスタート。ギターの生演奏や本格的なフラメンコも披露され、酒造所構内が一気に特別なイベント空間へと変貌した。
社長自らが吟味し、準備されたおつまみプレートの蓋には、「遠くスペインの南、アンダルシア地方のフラメンコ、300年の歴史、悲しみ苦しみも乗り越えて踊る。泡盛古酒の杯をかたむけつつ、時の重みを味わう。瑞穂酒造」とのメッセージが。
169年の歴史を持つ首里最古の蔵元瑞穂酒造は、何度も時代の荒波にのまれ、時に鉄の暴風にさらされた。戦時中は、陸軍省の求めに応じ、首里の酒蔵を代表し、社長自ら5人の蔵人ともにビルマ(現ミャンマー)へ渡り泡盛を製造したこともある。一番酒を上納した際、その旨さに気分を良くした現地司令官は、本国への打電連絡を許可した。「ワレ アワモリヅクリニ セイコウ」との打電は、首里の酒造組合まで届き、首里の蔵人たちを大いに沸かせたという。
戦後は他の酒造所同様、やむなく製造中止に追い込まれたが、4年後には再興。古酒復活に執念を燃やし1969年には業界に先駆けて大型古酒貯蔵施設天龍蔵タンク(天龍蔵)を設置。不屈の精神で当時2万石工場と呼ばれた生産工場も整備した。
一方、アンダルシア地方のフラメンコの激しい踊りの裏には、民族が受けた様々な困難、迫害に対する悲しい思いが込められているとも。
“300年の歴史、悲しみ苦しみも乗り越えて踊る”フラメンコを、泡盛古酒の宴に添えたのは、ここ数年低迷が続く泡盛業界の困難な状況を、必ずや乗り切るという瑞穂酒造の静かで力強い決意表明にも思える。
各テーブル以外にも、瑞穂43度、瑞穂25度とシェリー樽貯蔵首里天(すいてん)25度それぞれの甕古酒が準備され、別のコーナーには、泡盛梅酒「梅美人」、琉球アワモヒート(ミント風味泡盛)、琉球ティーアワー(紅茶風味泡盛)などのリキュール類が並べられた。また、蔵人がミズホアイランドスピリッツをベースに作る本格カクテルコーナーでは、旨い泡盛カクテルを求め何度もおかわりをする人の姿も。
最近一部の愛好家の間で流行している、琉球アワモヒートに少量のタバスコを加えたカクテル(作者不詳)に対応するためか、カクテルコーナーにはタバスコも準備されていた。
甘さと爽やかさを兼ね備えた琉球アワモヒートに、タバスコを数滴加えると“甘”“辛”“爽”がすべて一度に味わえる大人の謎旨カクテルとなる。
生ギターの演奏にも酔いしれ、首里最古の蔵元瑞穂酒造の古酒を楽しみながら、みずほ月見会は今年も大盛況の中、幕を閉じた。
(二代目預)