泡盛フレーバーホイールで酒質の見える化を!(伝統技術継承発展勉強会/酒造組合中央会)
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[公開・発行日] 2017/08/25
[ 最終更新日 ] 2017/09/20 - 飲む
日本酒造組合中央会(篠原成行会長)は、平成29年8月24日パシフィックホテル沖縄(那覇市西)にて、泡盛製造技術者に対し、きき酒実習及び専門家による講演会(平成29年度単式蒸留焼酎業伝統技術継承発展勉強会)を開催した。
その中で、沖縄国税事務所宮本宗周鑑定官及び瑞泉酒造株式会社池原呂桜良氏が、本年4月に発表された泡盛フレーバーホイールについて語った。
宮本鑑定官は、消費者が商品選択をする際の視覚から得られる情報の重要性を指摘。泡盛フレーバーホイールの作成過程を解説しつつ、泡盛フレーバーホイールを活用し、ラベル等に酒質をレーダーチャート等で表現するなど”酒質の見える化”をすすめることが大切であると強調した。
泡盛フレーバーホイールとは、泡盛から感じられる香りや味わいの表現をホイール(車輪)上に配列したもので、同じ香りや味わいに対しての研究者、開発者、販売者、愛好家間の表現を統一することを目的の一つとしている。
そのために、現在、泡盛の香りや味わいの表現として使用されている用語、研究成果として得られている成分等のデータ(用語)、実際のテイスティング等を通して得られた用語などを収集し、整理。それらをグループ化してホイール上に配置した。
その際、似たような特性を持つ用語はできるだけ近くに配置し、原則として同じ特性については一つの用語で表すなどの工夫がなされた。なお、初版において暫定として掲載されている古酒香「雄ヤギ」「熟れたほおずき」「白梅香」(過去の文献にのみ存在し、実際の香りが不明)について、専門家への聞き取り、実物の調査等を通して、いくつかの香りの候補が浮かび上がってきたとの報告がなされた。また、さらなる古酒香の分析のため、一般家庭で育てられている(し次されている)古酒をきき酒する、し次酒コンテスト(仮名)の計画も発表。
泡盛フレーバーホイールの制作に関わった製造現場技術者として登壇した池原氏は、製造現場で泡盛フレーバーホーイルをより活用しやすくするための、使用頻度の高い用語や、製造者に特に必要な用語の絞りこみについて語った。実際に複数の技術者でディスカッションや確認作業を繰り返しながら、現段階では「エステル、バニラ、たくあん様、甘味、ナッツ様、カラメル、酸臭、刺激感、キノコ様、焦げ様、油臭、オイリー」12の用語に絞り込んだことを報告。
今後の課題として、各用語の定義の修練、見本の設定、訓練法の確立などが残っており、さらには消費者向けの用語の絞り込みも必要であると語る。
平成29年度単式蒸留焼酎業伝統技術継承発展勉強会テーマ
第1日
~きき酒~
きき酒実習・きき酒公表・きき直し
~講演1~
●泡盛フレーバーホイール(標準見本を使った官能訓練)
沖縄国税事務所/宮本宗周鑑定官
~講演2~
●泡盛フレーバーホイールの用語の絞り込み(現場での活用に向けて)
瑞泉酒造株式会社/池原呂桜良
~講演3~
●タイ産丸米の吸水機構について
沖縄県工業技術センター/豊川哲也主任研究員
~講演4~
●泡盛製造の現場技術
忠孝酒造株式会社/普久原毅伸製造課主任
~講演5~
●焼酎香気生成におけるプロテアーゼの効果ならびに本格焼酎の食中酒としての効果
鹿児島大学農学部/高峯和則教授