泡盛はもっとPRすべき(第2回泡盛製造業等振興策検討委員会)
-
[公開・発行日] 2015/10/16
[ 最終更新日 ] 2015/11/25 - 泡盛検定
県が主催する泡盛製造業等振興策検討委員会(委員長・下地芳郎琉球大教授)は10月16日、那覇市壷川のりゅうぎん健保会館において第2回目の委員会を開いた。
泡盛製造業等振興策検討委員会は学識経験者や泡盛製造業、ビール業界、流通業者や物産販売、ルポライターといったメンバーで構成され、若い人の飲酒離れや酒類の嗜好の多様化により、減少に歯止めがかからない泡盛の問題点を抽出し、その対策や販売戦略の立て直し、今後の課題などを話し合う。
今回の会合では売り上げ増大につながった県外の酒類メーカーの事例紹介や、2017年5月に期限切れを迎える酒税軽減措置の影響分析結果報告がなされ、泡盛業界の課題と今後の取組ついて議論した。
県外の酒類メーカーの取り組み事例
芋の香りをあえて取り除いた芋焼酎の開発により、すっきりとした上品な飲み口になり女性や若い愛飲者が増えた。販売戦略においていきなり首都圏へ行くのではなく、地方都市を中心に名前を売り、徐々に大都市圏へ進出することでラベルが認知された。銘柄を減らすことにより、銘柄や酒造所のイメージアップにつながったなど。
酒税軽減措置が撤廃された場合の影響分析(計量分析)
ビールや日本酒、焼酎など税率改定による価格変動で消費量の変化を分析。焼酎では酒税負担率が1%アップすると消費量が0.8%減少する関連性が見つかり、これを泡盛の消費の変動に置き換えると酒税の軽減措置が撤廃された場合8.9%消費が減少するとの予測分析が可能。このことに関し、出口尚委員(南島酒販社長)は「家計を握る主婦はお酒に関して質より値段を気にする。酒税軽減措置がなくなり泡盛価格が上がれば、焼酎など他のお酒を選ぶのではないか」とさらなる泡盛離れを危惧。
泡盛業界の取組例
ネットやSNSなどを活用し独自の泡盛ファンを獲得した例、泡盛ベースの梅酒などの開発した酒造所、県外の酒造メーカーと協力しOEM泡盛の生産への取り組み強化事例。梅やゆずを使ったリキュールなど、女性が飲みやすい新商品開発。コンビニとタイアップした泡盛コーヒーなど飲み方の提案。ペットボトルやパウチタイプの手軽な容器の開発。県外や海外お観光客向けのPR状況などが報告された。
今後の課題として
今後の課題として、原料米のタイ米の高止まりや品質バラツキ、県外へ移送する際のコスト、泡盛に対する認識不足、消費者や流通業者への域外での広告宣伝、海外からの観光客への情報提供などが認識された。
各委員からは、「PRが弱い」「TVCMのイメージ戦略が必要」「ラベルのデザインの一新」「若い人が集まる県内各地のイベントやコンサートなどの泡盛業界の関連の薄さ」「本島だけでなく離島の酒造所もプッシュするべき」「若い人や女性に喜ばれるリキュール類の開発にもっと力を注いでほしい。泡盛の底辺を広げることも大切」「リキュールや飲み方の提案もいいけれど、沖縄の宝ともいえる古酒作りにもっと本腰を入れたらどうか」「原料米もタイ米にこだわらず、県産米やトナム産、カンボジアなど使ってみては」などと意見が続出。
それに対し、佐久本稔委員(沖縄県酒造組合主事)は「県内各メーカーから泡盛を提供してもらい、本格的な古酒の郷構想を進めており、施設整備を促進中である。」
オブザーバーとして出席した県工業技術センターの比嘉賢一氏は「当センターでは現在、ベトナムやミャンマー、県産のインディカ米を使った泡盛造り行っており、出来上がりや古酒になった場合の違いについて研究中。また、ジャポニカ種の米を使った泡盛作造りの実績もあるり、今後は泡盛造りには原料米の多様化も考えられる」と返答した。