今年こそ「泡盛の夕べ」リポート。筆者(ボク)はリベンジできるか?(文・嘉手川学)

   

11月1日泡盛の日にANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービューにおいて、沖縄県酒造組合(佐久本学会長)主催の「琉球泡盛の夕べ」が開催された。また、同会に先立ち、同ホテルでは沖縄県と沖縄国税事務所が共催する「平成30年度泡盛鑑評会表彰式」も開催され、県内の酒造所から出品された古酒の中から、品質優秀と認められた15銘柄が沖縄国税事務所長賞として選ばれ、その中の5銘柄には沖縄県知事賞が贈られた。

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ボクが「琉球泡盛の夕べ」のレポート記事を書いたのは2年前の平成28年である。実は去年も取材と称して「泡盛の夕べに」に参加したものの、別の仕事の都合で原稿を書くヒマがなく、締め切りもとっくに過ぎてしまい、気がつけばいわゆる原稿を落としてしまったのである。

30年以上ライターとして原稿を書いてきたけど、これまで原稿を落としたのは某有名作家の椎名誠が石垣島で映画を撮った時に、撮影スタッフとして参加して朝から夜まで自分の時間が取れずに、那覇市国場にある某ダーインクの新城君にお願いされた原稿を落として以来である。北の国の首長似の我が泡盛新聞の主宰はボクが原稿を落とした時、そのことを責めることなく無言で頷くだけだったので逆に申し訳なく思い、来年こそは原稿を落とさずに書き上げようと思ったのである。

で、いよいよ平成最後の泡盛の夕べである。例年なら会が行われる前に「泡盛きき酒会」に参加するのだが、実はボクは泡盛新聞の編集委員でありながら今年の7月から泡盛業界の関係者にもなってしまったので「関係者の利き酒はチョット…」といわれてしまい、泣く泣く利き酒をあきらめ、飲まずにいつも間違ってしまう米や芋、麦の焼酎と泡盛の香りだけを確認したのであった。

そうこうしているうちに主会場が解放されると、すぐに泡盛を手に取り今回は酔わないようにとチビリチビリと飲んでいると、沖縄県酒造組合会長の佐久本学氏の主催者あいさつが始まった。

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「本日11月1日は泡盛の日に、日頃お世話になり泡盛をご愛顧いただいている皆様をご案内いたしましたところ、公私ともにご多忙な中、県知事の玉城デニー様や沖縄国税事務所長の脇本利紀様をはじめ、多くの皆様のご臨席を賜りありがとうございます。

さて、泡盛業界は、沖縄県の伝統ある地場産業として今日の発展を迎えることができました。泡盛業界を取り巻く環境は消費者のし好の多様化や若者のアルコール離れ、他の酒類の増加、価格競争の激化などにより年々厳しさを増しています。業界といたしましては泡盛の美味しい飲み方の訴求、黒麹菌を使用する伝統的な仕込みの泡盛、古酒の良さを前面に打ち出し啓蒙活動を行い、国や県の支援による琉球泡盛再興プロジェクト事業などを通じて業界が一丸となって取り組んでいるところであります。

また、海外展開におきましても本年4月に官民一体となった琉球泡盛海外輸出プロジェクトを立ち上げ、関係団体のご支援をいただきながら増加するインバウンドへの対応策や、輸出拡大に向けた取り組みの強化を図っております。この9月には香港のクルーズ船内において、10月にはユネスコパリ本部で開催されたジャポニズム2018において販売に向けたプロモーションを実施したところでございます。そして本日から当組合のホームページ泡盛百科がリニューアルしました。多言語対応をはじめスマートフォン対応した消費者提案型集約サイトとしてご利用いただけます。

また、本日から11月を泡盛月間として多彩なイベントを展開し、県内はもちろん海外へ泡盛の歴史や文化、美味しさや楽しい飲み方、さらには効能や効果など謳い、販売活動を展開していきます。さらに琉球泡盛のユネスコ文化遺産への登録への活動も泡盛業界として引き続き推進してきたいと思っております。

先ほど、泡盛鑑評会表彰式が行われ、審査委員長から泡盛の品質に極めて高い評価をいただきました。私どもはさらなる品質の向上や新商品の開発に勤め、消費者に信頼される高品質の泡盛造り励んでまいりたいと思います。

本日は鑑評会出品銘柄をはじめ全酒造所の泡盛を取り揃えております。充分にご堪能いただき、叱咤激励やご高評賜れば幸いでございます。結びに本日ご列席の皆様のますますのご健勝のご多幸を祈念して私のあいさつとさせていただきます。本日は誠にありがとうございます」

続いて来賓祝辞は、今回、初めて県知事として会に出席した玉城デニー氏。大きな拍手に迎えられあいさつした。

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「はいさいぐすーよ―、ちゅうがなびら(皆さんこんにちは)。ビンに仕込まれたばかりの新酒のような、ほやほやの(知事の)玉城デニーと申します。みーしーっちょーち、くぃみせーびり(よろしくお願いします)」と自己紹介。

さらに「沖縄県酒造組合におかれましては、日頃から本県を代表する地場産品である泡盛の普及に御尽力いただき、感謝を申し上げます。また、本日泡盛業界の発展に御尽力なさったことにより「琉球泡盛賞」を受賞された石原昌則様には、北海道泡盛の会をはじめ、道内における泡盛の普及啓発に25年という年月にわたり御尽力いただいており、その御功績に対し、心から敬意を表します。消費者嗜好が多様化する中、沖縄の誇りである琉球泡盛を、今後もさらに多くの方々に楽しんでいただくためには、製造に携わる皆様の更なる技術向上への取り組みと、関係者による力を合わせた普及活動が重要となります。

沖縄県としましては、沖縄県酒造組合及び那覇市と共催で実施する、販路拡大イベントの島酒フェスタをはじめとして、泡盛のブランド力強化や泡盛業界の経営安定化に向けた各種施策に取り組み、泡盛製造業のより一層の振興に努めてまいりますので、皆様の御協力をお願いします。

特に、平成31年5月に期限を迎える酒税軽減措置の延長につきましては、沖縄県としましても、全力で取り組む決意であり、来る11月6日には、私自らが政府及び関係国会議員に対して要請活動を行ってまいります。引き続き、泡盛業界の皆様と緊密な連携を図りながら、酒税軽減措置の延長の実現に向け取り組んでまいりましょう。結びに、泡盛業界の限りない御発展と御参集の皆様の御健勝、御活躍を祈念申し上げ、お祝いの挨拶とします。

一言だけ末尾に付け加えたいと思います。昨日、駐日米国大使のハガティ大使に、赴任して初めてお会いしてごあいさつしました。普段は大使館で儀礼的にやり取りするのですが、大使公邸でソファーにゆったり座りながら、公使の方と私どもの職員と一緒にお話をさせてもらいました。ハガティ―大使は1959年生まれで私と同じ年なんですね。しかも子どもが4人いらっしゃることも同じで、非常に話が弾んで和やかな雰囲気で進みました。

その途中でプレゼントとして持っていったのが泡盛の10年古酒。しかも泡盛だけではなんだろうとちゃんとカラカラとちぶぐゎーも持っていき、これに入れてジックリお楽しみくださいといってプレゼントしました。

そこで『泡盛は3年寝かすことでクースと呼ばれるようになり、子どもが生まれた、結婚したなどのお祝いの席に土を焼いた甕に入れ、それが5年10年といい味になるまでずっと置いておきます。これを沖縄の人は、友情に例えて“クースのように長く付き合おうね“という意味も込めます。ぜひこれからも沖縄と日本とアメリカと末永くお願いします』という言葉を添えさせていただきました。

ハガティ―大使はテネシー州出身なので、お返しにもらったのは、そう、テネシー州のテネシーウィスキー・ジャックダニエルとアメリカ大使館特性のエッチンググラスでした。いつか沖縄で泡盛を傾け、テネシー州ではジャックダニエルを傾けましょうと和やかに、地場産品を通してお互いの地域に興味を持ちました、という話になりました。そういった広がりを今後も泡盛を通して業界の皆さんと力を合わせていきたいと思います」とあいさつした。

続いて沖縄国政事務所長の脇本利紀氏は「ご紹介にあずかりました国税事務所の脇本でございます。泡盛を応援いたしているものといたしまして、ごあいさつを申し上げたいと思います。まず始めにこのたび琉球泡盛賞を受賞されます石原昌則様、まことにおめでとうございます。引き続き泡盛を牽引いたしましてご助力を賜れば幸いでございます。

本日は平成30年度の泡盛鑑評会の表彰式を行いましたわけで、泡盛の最高峰でありますクースを出品いただいて、その中から酒質の優れた15の酒造所を表彰させていただいたところでございます。今年からクースの審査では泡盛フレーバーホイルを使って審査をいたしております。今日はこの会場に受賞した各酒造所の古酒を展示していますが、そこに酒質を見える化したチャートを添えています。私どもといたしましては泡盛フレーバーホイルをさらに普及させて消費者とのコミュニケーションツールとしてご活用いただきたいと考えているところでございます。

最後に泡盛製造関係者やご臨席の皆様のますますのご発展、ご繁栄を祈念いたしまして、簡単でございますがごあいさつとさせてもらいます」とあいさつした。

と、あいさつが続いた後、琉球泡盛賞の贈呈式があり、受賞者の石原昌則氏のあいさつ、県知事や酒造組合会長などの鏡開きが行われた。その後、乾杯の音頭が行われ懇談の時間となった。

全てのあいさつをここで紹介しようと思ったけれど、あいさつとネットの記事は短いほうがいいと聞いたことがあり、このレポートを読んでいる人も、全てのあいさつを載せたらさすがに長いのではないか、それに、いろいろやることもできないのではないかと思い、ここでいったん割愛させていただく。

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が、石原正則氏の功績までは、当然ながらお付き合い願いたい。

石原氏は平成6年に北海道泡盛同好会を発足。同好会の運営に当たっては、発足同時の事務局であった沖縄県北海道事務所と連携して、会の組織体制の構築やポスター制作に携わるとともに、現在に至るまで、同同好会の司会を担当している。

平成12年の沖縄県事務所閉鎖に伴い、同好会の運営は全て泡盛大使である石原氏にゆだねられ、事務局、幹事長として円滑な運営に尽力してきた。

平成23年に役員改選により、副会長・幹事長に就任。年2回開催する同好会は、約600人を擁する全国でも最大の会に発展しており、発足25周年となった今年度は、約800人が参加するまでに成長した。

さらには平成27年2月に、函館泡盛同好会を設立し、副会長を務めるとともに、毎年、札幌から出向いて司会を担当している。

加えて、マスメディアに精通し、同好会開催の告知や取材依頼に努め、雑誌や地域の広報誌等に泡盛のPRを行うなど、同好会の活動を通じて泡盛の振興や普及啓もうに尽力した功績が認められての琉球泡盛賞の受賞となった。

懇親の時間に入ると、ボクは宴の会場で出会った人のほとんどと乾杯してまわった。料理も食べてなかったのを思い出すと途端に空腹になり、泡盛を飲みつつ一人もぐもぐタイムとなった。

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お腹が落ち着いたので知り合いが集まっているテーブルに行くと、県知事賞を受賞した泡盛を並べて試飲していたのでボクも参加することにした。

まずは県知事賞から。最初は瑞泉酒造の「瑞泉古酒」。甘味があって角がなく飲みやすい。まろやかにのどに落ちていく。続いて菊の露酒造「古酒7年38度」。オイリーでナッツ香がたち、チョコレートのような甘い香りも感じられる。次は神村酒造の「芳醇浪漫 守禮古酒」。あ、香りが高い。リンゴのような香りでフルーティ。香りに厚みがあり、黒糖系の香りもする。続いて瑞穂酒造の「熟成古酒 瑞穂」。甘味があって深い味わいなのに飲み口がさっぱりしている不思議な味わい。次は石川酒造場の「玉友 甕仕込み 秘蔵古酒」。旨味があり飲んだ後に古酒香というか、かすかに甕の香が感じられる。

いやあ、どれもうまい。続いて今回受賞した他の泡盛を飲んでみるが、どれも美味しく感じられる。特徴的だけどみんな美味しい。よく考えてみるとチビリチビリと飲んでいたはずなのに、会場であったいろいろな人とユンタクしているうちにチビリチビリがグビリグビリになっていたようである。それで、沖縄国税事務所長賞を貰った他の古酒も飲んだのだけど、なんというかどれも美味しい。何を飲んでも美味しいモードになったボクはこれ以上、酔っぱらうと原稿が書けなくなって、さらにカァちゃんに叱られると思ったので、宴の終了とともに二次会の(誘いがあったかどうか不明だが)前にバスに乗って帰宅したのであった。

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