生焼きは臭いが出る~良い酒をいい壷に詰める~

   

awamori_yomoyama_58_shima-takemi_kosyu_keme-select-story過日、日本の名陶工、島武巳さんと泡盛居酒屋「うりずん」で酌み交わしながら取材したクースづくりのカーミ(壺)について今回は話してみたい。以下はこの人の何十年間にわたり体験してきでのカーミに対する持論である。

 

 

 

 

【島武巳氏談】

「他のは1,050~1,100度位いでちょっと生い。私の場合はあぶりから中火を通して仕上げの段階となるが温度は1,200度にもっていく。中火でも500~800、900度いっている。上り窯で普通で一週間、雨が降ると8日かかる。

カーミは土色が少しでも残っている物は保証できない。管理してもダメ。喜納焼き・知花焼きの完全に焼かれている壷は絶対に臭いは出ない。壷屋焼きも南蛮と言うのは外固から技法が来たからそう呼ぶ。元々はアラヤチーと称している。喜納・知花焼は南蛮技法で、上焼きの古我地焼きよりも全体的には信用度が高い。

喜納・知花はマンガンが多く含まれている。薪窯と他との違いはインスタントと足てぃびちーのちがいがある。人間にも物体にはみんなガラスがある。上り窯で灰が少ないのはガラス成分は熱と一緒に飛んでいくからだ。それが壺の側面に付着してつやが出る。薪にもガラス成分がある。1,18O度から現われて、1,200度以上になるとガラス成分は蒸発していく。

カーミを割って見て中に少しでも赤い瓦色が残っているのは生焼きで、土の香りが残っている壺ではいいクースにはならない。タイ、ルソン、中国ものの南蛮には良くないのも多い。びんは完全に焼かれているからカビが入る余地がない。

しかし、個性的なクースはカーミに絶対にかなわない。半年位い熟成させて飲み、仕次ぎする。これをくり返すと味がうまくなる。それ以上寝かせると容器臭が出てダメになる。生焼きはぼうちょうがきくから臭いも出る。

『焼き締めとは締まっているからこれ以上は焼けない』。『良い酒をいい壷に詰めて熟成させ、いいカラカラーとチョコで飲む』。これが沖縄の泡盛の文化を語るにふさわしい。

泡盛のクースづくりは古い壺ほど5~6回くり返し灰汁でアク抜きをする。最初は1週間位い入れて置く。その次からは2~3日置きにやる。それが終ると水をいっぱい入れ灰のアクを抜く。アクはアクで抜く。完全に水を切り乾いたら酒を詰める。

壺屋では灰のことをアクという。アクはゆう薬用に使用されている。上澄みは容器臭抜きに、沈澱した灰はゆう薬用になる。壺は水、火、土で成り立っている。焼きしめ壷は花の生きも長もちする」。

ざっと以上が島さんのクースづくりの壷を選ぶ時の基本的な知識と提言である。クースづくりは誰でもが簡単にできるものではあるが、正しく熟成させるということは並大抵のことではない。

私は度々主張していることであるが、いいクースづくりは「いい壷」選びが絶対条件である。かの尚順男爵もその遺稿集でクースづくりのむつかしさを説いている。昔、各家庭で味噌づくりをしていた時代、その担い手であったおばぁ達はあのカーミで造ったのがおいしい、このカーミのはまずいと話し合っていた、と或る陶工が語っていたのを思い出す。

もう何十年も前のことだが、私が或る泡盛メーカーの2合壷入りを1ケース買った時、その中から先ず一本を取り出して味見をしたらすばらしいクースに育っていた。これを友人の取り引き先の“大物”に進呈したら最大級に絶讃された。気をよくした私は早速2本目を取り出して飲んだ。

・・・?

そんな筈ではなかったのである。

【征幸の狂詩】

水は方円の器(うつわ)に随(したが)い
泡盛(さき)は良悪の壷による
古酒と女房は古いほど味が深い

 

2003年11月号掲載

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