沖縄の大事な特産食源~ゴーヤーの苦味は泡盛に最適~ 

   

私の小さな本棚から酒類の文献を探していたら『ゴーヤー料理60選』なる本が出てきた。著者は松本料理学院院長の松本嘉代子さんである。awamori_yomoyama_55_goya_snacks_yaesen_zakimi発行所は月間沖縄社(協力・久米島新聞)で今から19年前の昭和59年となっている。読まれた方々も多かろうと思う。そんなふた昔も前にこの健康野菜に着眼した松本さんはさすが料理の大家である。

苦瓜とは中国語の学名だそうで、ゴーヤーは沖縄の方言とある。また涼瓜は中国語異名だそうだ。熱帯アジア原産のウリ科の植物で沖縄に伝来した時期は明らかではないが、「琉球国由来記」(1713年)に苦瓜の名称が見られるところから、それ以前に入ってきたものと推定される、と同著で外間ゆき琉球大学教育学部教授は述べている。頁をめくるといろんな調理法がある。いや実のところ人生この年になるまで知らなかった食べ方や飲み方が何と多いことか。オドロキである。

私の時代は小学校の低学年時から屋敷内に簡単な棚を作ってゴーヤー栽培をしていた。食べ方はタテに割って中の種とわたを取り除いて適当な長さで輪切りにしてウブシーにするか、ラードでいためいわゆるチャンプルーにするかの単純なものであった。

食べ物が乏しくてひもじいから仕方なく食べるような存在でしかなかった。ところがどうだろう、近年は夏野菜の代表としてビタミンCやビタミンAが豊富なこのゴーヤーが全国的に人気を博している。嬉しい限りである。この本の説明によると切り方にもいろいろある。輪切り、半月切り、拍子子切り、みじん切り、薄切り等で料理によってその用い方も異なる。

前出の外間教授によれば、「可食部の成分上の特徴は第一にビタミンC量の多いことで、野菜中で最も多いグループに属し、油炒めにした場合も殆ど損失がない。第2にカロチンを含み、中程度のビタミンA効力を有しまた、緑色の濃いものほどカロチンの多い傾向が見られる」と述べている。

ゴーヤーケーキなど菓子類の作り方から飲み物、煮物、漬け物、焼き物、揚げ物、炒め物、飯物、汁物、酢の物・和え物・サラダの作り方までカラー写真入りで解りやすく説明している貴重な一冊だ。

改めてわが県産のゴーヤーのすばらしさを見直した1日となった。相当以前のことだが石垣島取材の折り、八重泉酒造の座喜味盛光さんを訪ねたらゴーヤー料理と泡盛をごちそうして下さった。

この人、泡盛造りもうまいが料理づくりもプロ並みの腕前である。ゆがいたゴーヤーの中にたまご焼きを入れてロール巻きにし適当な長さで切ってつまようじで止めた物だった。

これがめっぽう泡盛と合った。座喜味さんの話のよると、泡盛は特に苦味のある料理とは相性がよく酒のピッチも早い、と説明していた。なるほど言われてみるとこの苦味のあとの泡盛の味が1段と冴え甘味を感じどんどんいけた。

今をときめくもろみの酢の原料のカシジェーでドレッシングを作ってマグロのさしみにたっぷりとかけて味わわせてくれたのもこの人であった。赤身のさしみがしばらく経つと白っぽくなって歯ごたえがよくこれまた上等のうまさだった。

ま、私にとっての琉球泡盛は世界の料理と1番調和する酒だと思っているのであるが、やはりゴーヤー料理には一目も二目も置く。

もうすぐ暑くて長い夏がやってくる。二日酔いの激しい朝や、そうでない朝でも私はゴーヤージュースが大好きで飲んでいる。近年は「ゴーヤーの日」も設定されその人気は益々上昇中だが、私にとっては毎日がゴーヤーの日である。

それにしても近頃のゴーヤーは昔に比べて苦味が薄くなってきている感じがするが、これは最早や年令と共に私の味覚が老化している証拠なのであろうか。いずれにしてもゴーヤーはわが沖縄の大事な健康食源である。

2003年7月号掲載

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