第10回 鶴見ウチナー祭レポート(文・写/岡山進矢東京支部長)
- [公開・発行日] 2025/11/09
- 飲む
令和7年11月1日(土)、2日(日)の二日間、神奈川県横浜市鶴見区の入船公園にて「第10回 鶴見ウチナー祭」が行われた(主催:鶴見ウチナー祭実行委員会/共催:鶴見区、琉球新報社)。
筆者が訪れたのは初日の開会直後。予報では雨が心配されたが、雲間から時折青空が覗き汗ばんでしまうほどの祭り日和となった。
平成28年にスタートしたこのお祭りは、コロナ禍でのオンライン開催や縮小開催を挟みつつ、今年で10回目を迎える。
泡盛蔵の出店は比嘉酒造(読谷村)、忠孝酒造(豊見城市)、多良川(宮古島市)と例年より少なめだったが、沖縄県の「琉球泡盛魅力発信」試飲ブース出展や、出店していないはずのまさひろ酒造(糸満市)営業さんが飲食ブースで売り子をしていたりと、泡盛ファンが十分楽しめるものとなっていた。
「基本的にはいつもと変わらない、鶴見らしさや沖縄感を出した“ウチナー祭”を心がけてます。出店のブースの位置も毎年変えないようにしてるんです。いつものお客様が『今年もここだ』『ここで、あの泡盛も飲もう』という風になってくれるように。」と話してくれたのは、実行委員会事務局長で沖縄企画ユンタクヤ代表の野村拓哉さん。
まつりでの泡盛人気はどうですか?と聞くと
「大人気です!ボトルで買って行く人が多いですね」とのこと。
ウチナー祭の目玉はメインスペースにドンと鎮座する大きなステージ。そのステージを楽しむ相棒として泡盛は欠かせない。上級者は、客席のいい位置にビニールシートで本拠地を構え、周囲を取り巻く屋台ブースで仕入れたフードや泡盛を携えて沖縄音楽を楽しんでいる。
ここ数年、神奈川県で“沖縄”や“泡盛”が盛り上がっている。
この「鶴見ウチナー祭」や「逗子沖縄まつり」「川崎ハイサイフェスタ」はすでに地元民、そして首都圏沖縄ファンにはお馴染みのイベントになっており、ウチナー祭に川崎沖縄県人会が出展するなどの横の繋がりもできている。その中心には常に野村さんがいる。
そしてもう一人のキーマンが、泡盛マイスターの小杉宗谷さん。逗子沖縄まつりや、今年8月に10年ぶりの復活を遂げた横浜の「琉球泡盛文化の会」を成功させた立役者だ。このウチナー祭にも数年前からボランティアスタッフとして参加している。
「神奈川の泡盛ファンが、じわじわと熱を広げてくれていると感じます。酒造さんの出店も増えていくと嬉しいですね。」と話してくれた。
戦後、鶴見の工業地帯に沖縄の方々が集団就職で定住し、コミュニティが形成された。その後「沖縄タウン」として外向きに開かれ、沖縄関連イベントやお店が増えてメディアにも取り上げられるようになった。
「でも、今ではイベントをやる側でも沖縄にルーツがない人が多く、古くからのコミュニティの方々は『大丈夫かな?』と不安に感じているはず。文化をどう継承していくか。イベントを通じ、古くからの団体と若者たちとが接点を持つことで、少しずつ理解が深まればいいと思ってます。」(野村さん)
(文・写真/岡山進矢東京支部長)

「琉球泡盛魅力発信」試飲ブースで泡盛を振る舞った、泡盛の女王・稲嶺真理菜さん。
「沖縄好きが集まってるのはわかっていたのですが、こんなに泡盛にいい反応してくださるんだな!と驚いてます。気に入った銘柄のラベルの写真を撮って帰る方もいます。」

現役女王とともに泡盛の案内役を務めた、2023年度泡盛の女王・稲福美咲さん。
「幅広い銘柄が揃っていて好みに合わせた提案がしやすいので、皆さんに美味しいと言ってもらえます。ウチナー祭なのでアウェー感がなく、温かいですね(笑)」




























