琉球泡盛に悪い成分は含有していない!!(昭和47年1月30日)

   

泡盛ガン説 “沖縄産”とは何事か カンカンに怒る泡盛業界

「異常に高い食道、喉頭ガン、沖縄医学会総会で発表、沖縄産の酒とタバコに関係か」。昨年11月29日付某日刊紙朝刊9面トップ記事の見出しである。内容には「沖縄の泡盛とタバコの質的な問題も究明すべき」とあるからコトは穏やかでない。吾々愛飲家にとってはまさに青天の霹靂。

泡盛業界は文字通りハチの巣をつついたような上を下への大騒ぎとなった。それもその筈、何しろ500年の伝統を誇る琉球王朝時代から珍重され、保護育成されてきた沖縄独自の基幹産業とあってみれば、巷間騒然となるのも至極当然なことと云えよう。

泡盛業者数58場、年間生成数量4万2,753石、販売数量4万22石、販売金額2,456万4,420ドル89セント(石当たり61ドル50セントで30度換算、県内販売数量だけで本土輸出数量含まず。1970酒造年度、琉酒連調べ)、琉球政府のフトコロに入る(税金)が94万2,498ドル70セント、他に輸出数量1,000石を合わすと売上金額はまだ上回る計算になる。

以下消費者、わけても世の泡盛愛好者が納得するようコトの詳細について報告することにする。
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口腔咽頭癌の疫学的調査のレポート概要

昨年の11月28日、沖縄医学会の第40回総会が開かれているが、そこで本土に比べ胃ガン、直腸ガンは2分の1と少ないのに対し、食道ガンは5倍、喉頭ガンは3.5倍と高いうえに、毎年増えつつあると報告され、原因については種々あるが、その中でタバコと酒が大きな影響を及ばしているとして、沖縄の泡盛とタバコの質の問題も究明すべきと報道されているわけだが、ここで問題のレポートのコピーの中から、「口腔咽頭癌の疫学的調査」の内容を抜粋して列記してみる。

口腔咽頭癌の疫学的調査(一部抜粋)

「沖縄に於ける癌の疫学的研究の一環として、頭頸部腫瘍の中から、口腔咽頭の癌についてアンケートにより調査したのを報告致します。アンケートは主として耳鼻咽喉科を診療とする施設に依頼し、1970年10月1日より1971年7月31日までの10ヶ月間に来院した患者について調査した。

回答していただいた件数は26件で、その中2施設以上で受信したもの、アンケートの不備のものを除いて、全部で18例でした。

レポート抜粋

1.部位別
舌癌5例、頬粘膜癌4例、歯肉口底癌4例、口蓋癌3例、扁桃細網肉腫1例、下咽頭癌1例である。

2.性別(男:女)
舌癌(3:2)、頬粘膜癌(2:2)、歯肉口底癌(4:0)、口蓋癌(2:1)、扁桃細網肉腫(0:1)、下咽頭癌(1:0)。全18例の男女比率は12:6である。

3.年齢別
19歳の女子舌癌、31歳の男子歯肉口底癌、18歳の男子の口蓋癌が見られるが、大多数が50歳代の所謂(いわゆる)癌年齢に発病している。

4.職歴
農業、労務、家事に従事しているのが多く、学歴は小学校卒が大部分である。

5.既住歴(きおうれき)
アルコール中毒が1例あるが、梅毒、結核等の既住はない。然し頬粘膜癌、歯肉口底癌の半数に不適合義歯がある。

6.居住地域
那覇地区6、中部地区7、名護地区2、南部地区・宮古・八重山は各1例づつである。

7.飲酒
男性の半数以上に、主として泡盛を毎日、又は時々2合から5合位飲んでいる。女性では飲酒歴はない。」

報告書以下8~12までは喫煙者について述べているが、紙面の都合で省略することにする。

愛飲者、今更気にしない

業界がカチンときたのは、たった18例でしかも“主として泡盛を飲んでいる”では納得できない。他の酒も飲んでいたか、また何を混ぜて飲んでいたのか、食生活や環境条件はどうか等、不平不満は最高潮に達した。

ある泡盛メーカーの営業マン氏は得意先の雑貨店を毎日廻っているが、1口3軒平均で「泡盛を飲むとガンになると云うがほんとうですか?」と聞かれ、いちいち説明するのに頭をかかえていると語っていたが、愛飲家は割りと冷静に受け止めているようである。

愛飲家のA氏は

琉球泡盛の特徴は色々あるが、例えば肉を柔らかくするにも必要で料理にも多様に使用されており、ガンになるなんて考えられないことだ。

他酒を飲むと頭が痛いが、泡盛を飲むと頭がスッキリし、ビールに少し泡盛を混ぜて飲むとビールの味がよく解る。ビールだけ飲むのが嫌いな方はこうすれば飲めると思う、サッと飲むんではなく、チビリチビリ飲むことですね。

とにかく泡盛の利用度は広いし、例えば同じ辛子でも生のものを泡盛に漬けておくと5日間ではとても美味くなる。

何でも量が多すぎると人間、病気にかかるのは当たり前だ。適量に飲めばまぁ人によって量は違ってくるが、私は2日置きに約5勺位飲むと太りますね。

愛飲家B氏は

今更チャンチャラおかしくって、それが止められますか?もっとも私が止めたら手を叩いて1番喜ぶのはウチのカカァでしょうね。しかしこれだけは止められませんな。

愛飲家C氏は

「確かにR紙の見出しはまずいね、あの“沖縄産の酒”というのは余計だと思うね。一時は影響すると思うが、しかし私は止めませんよ」との返事である。

愛飲家D氏は

わずかな量を飲んでも病気にかかるのか、量に問題があるのか、原料は米であるが、製法がかわってきているのでその工程に問題があるのか。いずれにしても昔から飲まれてきているのであり全然気にしないね。何百年と云う時代から愛用されてきた泡盛を、しかも民族の酒として育ててきた酒を今更気にする必要は毛頭ない。

しかし、メーカーはそれに対しては真剣な気持ちで研究して、もう一度世の愛飲家に問う必要があるでしょうね、新聞紙上に載った以上は。

沖縄耳鼻咽喉科学会の医師に聞く

ではここで医学総会でレポートを発表した沖縄耳鼻咽喉科学会の日賀久雄医師に話を聞いてみよう。

日賀久雄医師

沖縄は本土に比べて率が非常に高い。第1回目はやるのが精一杯だったので今度の報告でも原因説明は強調していませんし、報告では病気の人だけであり、原因として云えるか疑問であり、泡盛とガンが直接関係があるとは云っていません。

ただ機械的刺激によると云う説が有力と云われている。泡盛が原因かどうか私も知らないし、結果報告が出たに過ぎない。土地柄に関係しているのか、環境的なものか、あるいは食物一切が発ガンの素になるかもしれないし、これからの段階です。

今度のは1日1合以上と2合以下に分けて調査したが、普通は何を飲んでいるのかと云うアンケート式であったが、泡盛だけ飲んだからガンになるわけじゃないし、水質の関係や色々あるだろうし、あくまで今度のは結果報告である云うことです。

ガンを撲滅するには原因究明はやらなければなりません。

最後に先生は「泡盛は飲んでいますか?」との問に、私も泡盛は大好きだとの返事がはね返ってきた。

怒る泡盛メーカー

この辺でカチンときた泡盛メーカーの話を聞いてみよう。

Z酒造工場の話

長い歴史を持つ琉球泡盛であり、僅かなデータで発表するのもどうかと思うが、それよりも私が云いたいのは、報道の取り上げ方が問題であり、3面記事で載せると云うことは編集方針もどうかと思う。記事内容に“質的面の問題か”とあるが、泡盛、焼酎のつくり方を記者が知っているかと聞いてやりたい。

記者が書いても編集局の方であまり簡単に掲載したと云う姿勢が問題である。地元の新聞と云うのは地場産業の隆盛によって育つのであって、その面は新聞も気をつけて貰いたい。吾々酒造業者は逆に医者につっ込むべきが筋道じゃないかと云いたい。

沖縄産とは何ごとかといいたい。公正な報道は歓迎するが、ああいうことはいただけない。

とにかく凄まじい剣幕である。怒り心頭に発するとは、まさにこのことだろうが、この人が「全泡盛業界の共通した怒り」であることは記者が業界を飛び廻って聞いた話と大同小異であったのでも伺えることではある。

O酒造工場の話

沖縄の伝統ある泡盛が、今までは何ともないのに、急に出てきたことは残念でならない。泡盛の製造工程も本土の焼酎と同じ工程であるのに、じゃ本土の焼酎もそうなのか。これは大きな問題でありこの際、琉球酒造組合連合会として医学会の云い分、R紙記者の感じを徹底的に究明すべきだ。うやむやにして、消費者に運動でも起こされたら泡盛業界はつぶれてしまう。早急に手を打つべきだ。

医学会、一部誤解を招き申し訳ない

沖縄医学会副会長の城間祥行医学博士の話

あくまでも学問的な調査研究であり、私達が先に沖縄の成人病である心臓病、糖尿病、先天性心臓疾患の調査をしたために、本土に送られるようになったし、寄生虫についてのシンポジューム悪性新生物(ガン)、沖縄にはどういうガンが多いかという調査も4年前から行われておりますが、それがわかってきた。

それだけでも非常に意義深いことで、私たちは全体的な調査をしてきましたが、こういう県は本土でも余り無い。例えば岡山県、宮城県、大阪府くらいのもので、沖縄では4年間やってきたが、将来も続けていきたいが、先生方には余分な仕事ですので苦労するわけです。

今年(1971年・編集者注)沖縄のガンのシンポキュームをし、医学会でとりあげて討論しようと云うことで、それぞれのガンの詳しい調査をしようと云うことになり、去年の10月から今年の7月まで10ヶ月間の患者に対して精密検査をしたわけです。

こういう仕事は段階が必要であり最初はアウトラインなんです。

酒の項目がありまして、「1:泡盛、2:日本酒、3:ウィスキー、4:ビール、5:その他」と出したが、酒をどのくらい飲むかとは聞いていない。洋酒でもたくさん飲んでおれば結果が同じに出たかもしれない。

肝臓に対する障害は何酒を飲んでも同じなんで、ご存知のように悪い酒ほど悪酔いする。今度のは将来の研究課題であり、酒の種類についてはどう云う差があるかまだわかっていない。

タバコだけが肺ガンの原因だとは云われていない現状であり、これも将来の問題といえましょう。

今度の調査で大酒飲みに多かったのが解ったので、その結果が何を意味するのか、例えば嗜好物を入れて飲むとか、生活環境との関係とも将来の調査を待たねば解らないことで、あくまでも結論ではありません。

私個人の考え方としては、業界の皆さんが怒るのも御尤(ごもっと)もだと思います。私としても泡盛もウイスキーも変わらないと思っておりますので、薄めて飲む方法も業者が指導した方が良いと思いますね。カクテルにして飲むとかも宣伝して。

私がこう申し上げると大変失礼とは思いますが、あの記事で愛好家が減ると思われないし、又そうあって欲しい。何故ならタバコがあれほど云われながら消費者は上る一方ですよ。私はどうぞお飲み下さいと云います。只、医学的に考えて飲み方を考えて貰いたいと思います。

18人のデータで数が少ないとのお話もありますが、ガンと云う病気はもともと数少ない病であり意義はあった。酒は1人の人間が量を多く消費するよりも万人がすこしずつ飲んだ方が酒の功罪にもなりましょう。

結論として、1つは今度の調査はあくまでも学問的調査であって結論ではなく、将来も色んな面から調査研究しないと出せないということ。2つは、こういう調査結果が報道によって一部誤解を招いたことは業界の皆さんに対して申しわけなく思っていること。3つは、酒に限らず量が多すぎれば健康を害する恐れがあるので、量、飲み方については十分考えなければいけない。」

以上が城間医博の談話であるが、最後に先生は「飲むなよと云っても、酒飲みは飲みますよ」と付け加えた。

学識者、泡盛が原因とは考えられぬ

厚生局の沖縄公害衛生研究所の疫学室長、新城長重氏は

そんな短期間でわかるものではない。ガンの原因は遺伝か、伝染病かもわかっていない段階です。泡盛が原因とは考えられないことですよ。私も過去15年間ほとんど毎晩飲んでいるが、これこの通りですよ。

と胸をポンと叩いてみせた。

一方、琉球大学農芸化学化の宮里興信助教授は「医者のようにデータで云うわけではないが」と前置きして、

宮里興信助教授

戦後台湾にガン患者が多いと云うので、向こうで使用されている自家用味噌に使用する麹菌の中に発ガン作用を起こす物質が含まれているのではないかと云うことで、東大の研究員の方が私の所に見え、研究結果は含まれてれば連絡するからと、私から麹菌を貰って帰りましたが、その後連絡がないから、なかったわけですね。

泡盛は蒸留酒ですので、たとえ麹にあったとしても、酒にはあり得ない。原因は泡盛ではないと思う。現在は嗜好品の発達でいろんな飲み物も出廻っており、砂糖の代わりにズルシンを混ぜていた時代もあったし、泡盛を昔の飲み方で飲んでいるのかどうか、酒も色々飲まれている時代であり、いずれにしてもどんな酒であれ飲み過ぎると病気の原因になるのは至極当然なことである。

戦前は一部を除いては泡盛一色であり、しかも度数の高いものだけ飲んでいたが、どうもなかった。戦前辻通いも盛んにやり、酒もグイグイ飲んだ91歳になる人がピンピンしているし、現在90歳になるある老人も水割りで毎晩2合飲んでいるが元気なものですよ。

又、89歳になる或る老人など、今でも時たま酔って管を巻くほどの元気者ですが、こう云う人達は何十年と泡盛を飲み続けてきているのです。

本紙ではR紙に載った翌日、早速国税庁醸造試験所の第四研究室長、菅間誠之助農学博士(醸造学会の権威者)に問い合わせたとこと、次のような詳報がよせられたので、その全文を掲載し、消費者へのレポートの締め括りとしたい。

泡盛とカビ毒~菅間誠之助農学博士~

カビの功罪

多湿の国に住んでいる我々の生活はカビと共存しているようなものである。味噌・醤油のように日本人の食卓にかかせない食品、調味料も、泡盛・清酒のような伝統的な酒類も、その風味はカビなしでは形成されない。

しかし、一方ではカビは家庭の食物に生えて、これをカビ臭くしたり、住まいや衣服を汚し、さらには人体にまで寄生し、またある種のカビは毒を出して微量で人間や動物を倒す恐ろしい力を持っている。

日本列島中、特に多湿な沖縄にガンが異常に発生し、泡盛との関係が取り沙汰されていると聞くが、多湿な気候と因果関係の深いカビによる発ガンの可能性を考え、泡盛関係があるかどうか検討してみよう。

カビの出す発ガン物質

餅などによく生える青カビの中には色々な毒を出すものがある。終戦後(1954年)東南アジアから輸入された外米による中毒事件(黄変米事件)があったが、これはある種の青カビが米に生え、イスランジトキシン(シクロクロロチン)という強烈な毒素を出したためであった。このものは発ガン性もあることが確かめられている。

1960年英国で七面鳥のヒナが原因不明病で数ヶ月のうちに10万羽死亡するという事件があり、その原因はブラジルから輸入した落花生飼料に生えた黄色のカビの出したアフラトキシンという毒素によるものであることが究明された。

このものは急性毒性を示す他に発ガン性が強く、5ガンマ(1ガンマは1グラムの100万分の1)という微量でハツカネズミに肝ガンを誘発することができる。

我が国の醸造工業とカビ毒

このアフラトキシン事件では、その毒性をつくるカビが古来、我が国で清酒、味噌、醤油の製造に使われている黄麹菌と近縁なものであることがわかっため、醸造界に与えた驚きは大きく、国税庁醸造試験所、農林省食糧研究所、厚生省予防衛生研究所、同衛生試験所等で合同調査研究がはじめられた。

その結果
(1)アフラトキシン生産性のカビは外国から輸入された農作物からは分離、検出されるが、日本産のカビにはアフラトキシンをつくるものはなかった。
(2)菌学的にアフラトキシンをつくるカビは醸造に使われているカビと異なるものであることがわかった。

すなわち、醸造用に使われているカビはこのような発ガン物質をつくることはないが、第2次大戦後の食糧事情から、外国産農産物の輸入が盛んとなっている現在、これらに附着している発ガン物質をつくるカビが日本に持ち込まれている可能性があり、従って十分な管理のもとに製造されている醸造物には問題はないが、自家用の味噌、醤油、カツオブシ等野生のカビが入り込む余地のある食品類は十分注意しなければならないと考えられる。

泡盛麹とカビ毒

我々の研究室では常に酒類醸造用麹にこのような悪性のカビが混入していないことを確認する仕事を行っている。筆者は1971年9月より10月にかけて泡盛醸造を指導したが、その際、沖縄本島、宮古、八重山の各製造場でつくられている麹を採集し、これより黄麹カビ119株を分離して、そのアフラトキシン生産性を調べたが、全く無害であることを確認した。

また研究室で試験的にアフラトキシンをつくるカビを使用し、麹をつくってみた。この麹は1グラムあたり320ガンマのアフラトキシンを含み、この1グラムで3,000匹のハツカネズミにガンを誘発させることができるほどの毒を持つものであった。その麹で焼酎を清掃してみたが、焼酎には全くアフラトキシンは移行しなかった。

すなわちカビの出す毒は蒸留した時、焼酎の中に出てこないので、蒸留酒はその意味で非常に安全な飲み物であるといえよう。

泡盛の蒸溜廃液はブタの好適な飼料となるときいているが、もし発ガン物質が泡盛のモロミに含まれているなら、その物質は蒸留廃液の方にもっと多く残留しているはずであるから、人間が害を受けるより先にブタにガンを発生させているに違いない。

泡盛の成分

本題とやや離れるが、米製焼酎の成分をブランデー、ウイスキーのそれと比較して、次表に示した。

  蒸留酒
成分 米製焼酎 スコッチ
ウイスキー
ブランデー






|

n-プロピルアルコール + + +
第ニブチルアルコール +
イソブチルアルコール + + +
n-ブチルアルコール + + +
イソアミルアルコール + + +
n-アミルアルコール + + +
フェニルエチルアルコール + + +




酢酸エチル + + +
酢酸イソブチル + +
酪酸エチル + + +
酢酸イソアミル + + +
カプロン酸エチル + + +
乳酸エチル + +
カプリル酸エチル + + +
カプリン酸エチル + + +
コハク酸エチル +
ラウリル酸エチル + + +
酢酸フェニルエチル + + +
ペラルゴン酸エチル + +





アセトアルデヒド + + +
ヴァニリン + +
シリングアルデヒド + +

蒸留酒である泡盛は成分的にほとんどウイスキー、ブランデーと変わらない。タル貯蔵しているウイスキー、ブランデーはタルから溶出する成分が変化してヴァニリンやシリングアルデヒド等の特異な芳香を発し、タルからの色素の溶出で製品も着色するが、タルで貯えない泡盛にはこれらの成分がない。

このことからみて、泡盛のみが健康に悪い成分を含有しているというのは当たらないと思われる。飲酒族にガン患者が多いという説はあるが、アルコール投与しただけではネズミにガンを発生させることはできないということである。

後手打つ 琉球酒造組合連合会

それにしてもこんな一大ハプニングが起こったと云うのに、肝心な全琉の泡盛業者の連合体である琉球酒造組合連合会(崎山起松会長)の態度は大きな後手と云えよう。或る業者が電話で問い合わせたところ、まだ新聞も読んでいなかったらしく、キョトンとしていたと云うことに至っては、最早救い難いのではないだろうか。

本紙記者がインタビューに行っても談話も出さず、ただただ大事主義をとることに自体連合会にバックボーンがあるかと業者から指摘されても無理からぬことであろう。R紙や医学会に云いたい放題云うのもよいが、先ず日刊紙に載ったからには、その前後策を臨機応変に講ずることこそが現代企業家にとって一番大切なポイントではなかろうか。

ともあれ、以上の各階層のレポートからはどうやら泡盛は大いに飲んでもよいようだ。

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