ご飯はお済みでしょうか。
今回は端から下品な話題に入ろうと思います…。
居酒屋の雰囲気の中では毎晩のように常連仲間たちが泡盛を汲み交わしながら他愛ない話が延延と続くものでありますが、時として為になる話が出てくることもあります。
過日、私より若いOS君がこう切り出してきた。沖縄の方言で「かば」と「かじゃ或いはかざ」の違いについてその使い分けをどうお考えであろうか、という内容だったとおぼえております。
まあ、だいぶできあがっていた時点でのことでありますからあまり定かではありません。
彼のお説によれば前者は「香り」とか「匂い」などに使う場合で、後者は「臭い」とかに使い分けられている、というのでありました。
かばさっさーは香ばしいとか、いい匂いだなーとなり、くすかじゃ(かざ)は糞の臭い、ひーかじゃは屁の臭いとなるわけですな。
琉球舞踊の谷茶前でもアングヮー(うら若き女性)達がミジュンという魚を売り捌いた後を決して生臭いイユー(魚)かじゃしてとは言わずに、にうい(匂い)ぬかばさよーと表現しております。
泡盛鑑評会の酒質審査でもこれまでは容器臭(カーミカジャ)とか異臭という表現を近年から容器香に変えています。
昔々日本の国がアメリカ等と戦さパチパチ始める以前、沖縄は至極のどかで今よりもずーっとのんびり暮らしていました。
祭りの日など農村では昼下り頃から各家々からはティンプラー(てんぷら)を揚げているのを、ティンプラーかばしやー(香ばしいてんぷらの匂いだなあ)と言っていました。
これもまた敗戦間もない頃のことでありますので昔々のお話になりますが、その頃の泡盛の中にはナンジチカジャ(焦げ臭)、コージカジャ(麹臭)とかいろいろありましたがそれ等はみんな「かじゃ」と称しておりました。
そんな中でシーダカジャグヮーという表現がありますが、クースになり始めてきたという意味なのかメーカーにお聞きしても確かな答えは得られていません。
と、まあここまでくると「かば」と「かじゃ=かざ」の使い分けは納得しかけるのでありまするが、あ?待てよ。
尚順男爵の遺稿の中の「古酒の3大特長」では〝白梅香かざ″〝トウフナビーかざ″〝ウーヒージャーかざ″となっている。
つい近年まで桜坂に通称ションベン横丁なる飲み屋街がありました。
そこの南側に簡単な便所があって毎晩大勢のサキヌマー(酒飲み)が飲んでは垂れ、垂れては飲むわけで入れ替り立ち替りの大繁盛ぶりでありました。
あの強烈なアンモニア臭は脳天をぶち割られるような臭さでありました。これをシーバイカジャ(小便臭)と言ったな。
しかし、人間の馴れは不思議なものでこれが1種郷愁みたいなものになって通いつめたものでありす。
ところで、酒気帯び運転で停車させられた運転者に警察官が言った。「サキカジヤスシガ」(酒の臭いがするが)…ン?。
沖縄の方言の使い分けはムチカサンドー(むつかしいですゾー)。
2002年10月号掲載