壷が飲んで酔っ払う~ウフソウ壷は即刻換える~

   

前号(2001年8月号)でクースづくりの絶対条件は壺の厳選であると説いた。awamori_yomoyama_33_kosyu_ufusou_tuboそして昔の沖縄での壺の多用途についても述べた。

だから外来の年代ものの壺ほどその道の専門家や泡盛メーカーに鑑定させたほうが無難である。同時に近作の壺にもウフソー(利口でなくオッチョコチョイ)壺がたまには出てくる。

長期間貯蔵して置く間に中身が半減していたり、ひどい壺になると全く1滴残らず消えている例もある。

漏る壺であれば横っ腹か底の部分が染みて匂いが漂うからすぐそれと解る。が、クセ者は1滴も外に漏らさずにみんな自分で飲み込んで澄ましているのだから主(あるじ)にとってこれ以上腹が立つことはない。

今ではあまり聞かないが昔はよく連合会やメーカーへの苦情があった。

2合壺、5合壺、1升壺等を観光おみやげに買って帰り、大事にして置いて、久しぶりの珍客を前に自慢げにいざ開封して客と一緒にクースを味わおうとしたら、中は空ッポだったという例がよくあった。

漏ったのか、いやそうではなく紛れもなく『犯人』はこの壺である。

本土の観光客があまりのくやしさと不合理さに沖縄タイムス朝刊に怒りの投稿をしたこともあった。なにしろ買った観光客は化粧箱入りのままで置いていたのであるが、その底には漏れた形跡は全く無かったのである。

しかし陶工たちの酒壺造りの技術の向上で今ではそういう話はあまり消費者から聞かない。

或る泡盛メーカーなどは過去に何度となく売ったしゅろ巻きの5升壺入りの中身の酒が無くなって、新しく5升入りの壺を本土へ送った例もある。

全く以て2重負担を強いられたわけだ。

更にこのメーカーは校区内の中学校の創立記念日までタイムカプセルに泡盛も入れてはどうか、という呼びかけに応じて5升壺1本と1升びん詰め2本を埋めた。いよいよその記念日がやって来て開封してみたら5升壺入りの泡盛が『水』に化けていたという。

片や1升びん詰めの泡盛は度数もしっかりしていてうまいクースに熟成していて、並み居る来賓の目の前でようやく面目が立ったそうだ。それ以来このメーカーは壺は決して信用しないで今日に至っている。

これなどは極端な例で、ウフソー壺と悪縁が深かった不運といわざるを得ない。

以前にも書いたが5升壺、1斗壺、2斗壺、或いは3升壺入り等は月に1~2回程度その壺を揺り動かすことだ。その壺に振動を与えることによって中のアルコールと水の会合のテンポが早くなる、と私流に考えている。

つまり新酒はアルコールと水が短期間では仲良くならず、絶えず両方共相互に一定の距離を置いて荒々しく落ち着かない訳だ。

それが年月が経つに従って同じ器の中で生活している身の程をお互いに認め合い、反目から和合へと進んでいくのである。その過程を『熟成していく』というのである。

つまりクースになりつつあるという表現になるわけですね。

いまひとつ1~2回揺り動かすというのは中身の欠減加減を確かめるためでもあるということを忘れないで欲しい。振って見てあまりにも軽々しく感じた時には即開封をして中身の分量を確かめ、極端に減っている場合はその壺のどこかから漏っているか、それともその壺自体が飲んで酔っ払って知らんぷりしているか、である。

漏っていたら必ずあたりに匂いが漂うから誰にでも解る。が、この匂いも無いのに極端な量の欠減は最早この壺が『確信犯』だから即刻壺を換えることだ。

そしてそのウフソー壺は別の用途に活用することである。

2001年9月号掲載

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